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10月7日(月):東京都で全国初のカスハラ防止条例が成立

昨日にはコンビニ大手でカスタマーハラスメント対応の基本方針が明示された旨を記しましたが、先週末の10月4日には東京都議会でカスタマーハラスメントを防止する条例案を可決、成立させました。

カスハラ防止に関する条例は今回が全国初となり、来年4月1日から施行されます。

都議会でカスハラ防止条例を制定することを決めたのが今年の2月だったので、そこから8ヶ月で可決・成立となったのはスピーディーに進んだほうですし、それだけ喫緊の課題になっているからでもあるでしょう。

東京都の条例では、カスハラについて「著しい迷惑行為であって、就業環境を害するもの」と定義し、「何人も、あらゆる場において行ってはならない」とカスハラの禁止を明記した形です。

加えて条例と別途でカスハラの具体例などを示した「ガイドライン」をつくることも定めています。

なお、今回の条例では違反者への罰則は設けられていないため、条例に抵触した事象については事柄に応じて刑法に当てはめて対処していくことになります。

カスハラに関連するところでいえば、以下が代表的なものです。

威力業務妨害罪(刑法234条)
3年以下の懲役/50万円以下の罰金
強い勢いをもって相手の意思を制圧し、相手の業務を妨害
例:大声を出して騒ぐ、カウンターを叩く、犯罪予告、爆破予告など

偽計業務妨害罪(刑法233条)
3年以下の懲役/50万円以下の罰金
虚偽の風説を流し、信用を毀損し、業務を妨害するもの
例:作り話をばら撒く、他人名義で大量発注、宿泊予約して無断キャンセルなど

脅迫罪(刑法222条)
2年以下の懲役/30万円以下の罰金
生命、身体、自由、名誉、財産に対し、害を加えることを告知して脅す
例:「死ね」、「殺す」、「痛い目にあわせるぞ」といった発言など

不退去罪(刑法130条)
3年以下の懲役/10万円以下の罰金
要求を受けたにもかかわらず、人の住居・建造物等から退去しない
※「お引き取りください」との意思表示が必要

恐喝罪(刑法249条)
10年以下の懲役
暴力や脅迫により、人に畏怖を感じさせ金銭や財産を脅し取ること
例:カツアゲなど

強要罪(刑法223条)
3年以下の懲役
権利の行使を妨害し、義務なきことを強要すること
例:土下座の強要、解雇の強要、「●●しないと、●●するぞ」等の脅しによる特定行為の強要など

今回は東京都の条例ですが、これと並行して国でもカスハラ対策の法整備に向けた動きが進んでおり、自民党のプロジェクトチームの提言案をもとに、厚生労働省が法改正を調整していく流れになっています。

前述した自民党による提言のポイントは以下の通りです。

・カスハラに該当する範囲や事例を明確化して定義づけ
・相談体制の法整備などを事業主に義務付ける法整備も念頭に対策強化
・消費者の権利抑制にならないように留意して検討
・カスハラの予防に向けた顧客対応の従業員研修
・消費者の権利と責任について正しく理解する教育強化

全国初のカスハラ防止条例成立を受けて、働き手にとって仕事のしやすい環境整備にも弾みがつくことでしょう。

自社のサービス店舗では、もともとカスハラに該当するような事案はありませんが、これまで以上にスタッフが心身ともに健全で仕事ができる環境づくりを進めていきたいと思います。

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