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「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論422」

みなさん こんにちは アバター近藤です。

「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。

「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。

~Fitness Business通巻第7号(2003.9.25発行)「業態の研究」16~※名称等は当時、一部文章省略

Ⅲ業態の分析

(3)トレーニング(ソリューション)系のフィットネスクラブ~ハンズオンでソリューションを提供できるクラブ

事業スキーム

事業の基本スキームは、首都圏のターミナル近辺のビルに大型ジムと2つのスタジオを中心としたアイテム構成でテナント出店し、「トレーニング」に専門特化したサービスを魅力に中・上級のフィットネスマニアにターゲティング、6,000~10,000円程度の月会費で1,500~2,000名の会員を集客して、2~3億円の売上高を確保し、2億円前後の経常支出ー損益分岐点会員数で1,000~1,500名ーで回すというものである。

月間客単価が1万円と比較的高く、会費外収入とりわけ物販の売上構成比が3~4割と高い。

この比率は利用率の上昇に連動して高まる。

またこの業態ではブランドによる品質訴求が集客と会員定着に大きく寄与する。

ちなみに月間退会率は1~3%前後である。

広告宣伝費が極めて少なく済むことも特徴の1つである。

一般的なクラブと違い、立ち上がりの会員数は少ないが、対前月比でマイナスに陥ることがなく、ゆるい右肩上がりで確実に会員数が増えていく。

通常1~2年度で経常損益がプラスに転じ、2~4年で総投資を回収する。

出店基準

プールを備える必要がないことや、巷間「2003年問題」が話題となっているように空室となるビルが増加していることから、候補となるビルの数はある程度あるが、この業態を成立させるためには、まず賃料が極めて低く抑えられなければならない。

特に本業態は立ち会がりの集客が遅いため、本業開始初年度は経常損益がマイナスとなることが予想されるからである。

「ゴールドジム」を展開する株式会社スィンク代表取締役T氏は出店時の賃料交渉について次のように語っている。

「当社は当初の家賃を坪単価では決めません。想定される集客数、売上高がこうだから、いくらまでなら支払えます、というふうに交渉します。大抵7千円~1.1万円/坪くらいの間に落ち着きます。ただ、集客数、売上高が伸びてくれば、家賃の値上げに当然応じます。」

また、T社長は初期の負担を軽減するため、賃料同様保証料も基本的に月家賃の6ヶ月以内として貰えるよう交渉しているという。

前提条件として次に大事な点はフィットネスが盛んなエリアに出店することである。

この業態の主要顧客はフィットネスの中・上級者たち、またはトレーニングに対して上昇志向の強い方たちである。

そのため理想的には出店エリアにフィットネスクラブが既に何軒かあり、激戦状態となっていることが相応しい。

逆にいうと、クラブが1軒もないエリアにこの業態のクラブを出した後で大手チェーンクラブに代表される「標準的なクラブ」が進出してきた場合、相当苦戦を強いられることになるということである。

できることならクラブ自体が目立つところにあり、ジムでトレーニングしている様子が外側から見える方がよい。

また駅からできる限り近いビルがよい。

これは「特に遠くからお越しになるお客様にできる限り駅から歩くことのストレスを取り除き来場しやすくするため」(T社長)である。

ゴールドジムの場合、主要商圏は「時間距離」で15~20分圏である。

~ここまで~

ゴールドジムさんは、フィットネス業界の中で数少ないブランディングが確立しているクラブだと思います。

従って、ここ20年でも堅調に出店数を伸ばしてきました。

ただ、ライザップ系の短期間ダイエットジムやパーソナルトレーニングジム、フリーウェイトが充実しパーソナルトレーナーも配した24Hジムなどが乱立状態となっている現在においては、ポジショニングが近いクラブが増え、その独自性を維持することが難しくなっていることも事実だと言えます。

本日もお読みいただきありがとうございました。


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