「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論800」
皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。
~Fitness Business通巻第36号(2008.5.25発行)「独立系クラブが成功するために必要なことーMAC CEOティム・ロード氏に聞く」4~※名称等は当時、一部文章省略
ー今後の方向性は?
ティム:クラブを増やすことによってお客さまのアクセスの利便性が高められますので、できるだけたくさんのMACを作りたいと考えています。
基本的には旗艦店の周りにエクスプレスのようなサテライト店舗を複数作っていくハブ&スポーク戦略をとっていきます。
また、共通利用ができるようにもしていきます。
そしてMACブランドが地域で一番価値の高いものになるようにしていきます。
また実店舗以外にオンラインメンバーシップも作ります。
今、MACでは9900円の月会費を払って1万人近い会員が利用してくださっていますが、その同じマーケットには月々1000円でフィットネスのやり方だけ教えてほしいという方々もいるはずです。
だから、オンラインメンバーシップを作って、Webサイトでそうした方々に合った運動の仕方や健康情報、栄養情報などを提供するサービスを始めたのです。
このサービスは基本的に非会員対象ですが、MACの会員も無料で受けることができます。
今は全ての方々に対して初めの2週間だけを無料にしてプロモーションしているところです。
1ユーザー当たり月200円のコストで運営しようと考えていますので、計算上はかなりの利益が見込めることになります。
結果については1年後またお教えしましょう。
ー今のマーケットをどのように見ていますか?
ティム:マーケットの中のおよそ20%の生活者はアクティブな人です。
フィットネスクラブは、この20%の人すべてを取り込めているのではなく、取り込めているのは15~16%です。
4~5%の人は外か自宅かどこかで運動しているということでしょう。
マーケットの残りの80%の人はアクティブではない人でしょう。
ですが、この中にはアクティブな人に近い人もいます。
以前クラブに通っていた人や通った経験はなくとも今まさに興味を持っている人たちです。
業界関係者の多くは、アクティブな20%の人に目を向けがちですが、アクティブでない人の中でアクティブの人に近い層に着目すべきです。
アクティブな20%の人たちは一定以上の品質のクラブを作れば、自然に入会してくれます。
この20%の人たちより、もう少し幅広い人たちにアピールしたければ、それはクラブではなくプログラムを提供することです。
プログラムなら参加してくれる人は、います。
ですからMACではできるだけプログラムも外に向けて売り出しています。
そうすることにより、プログラムだけを受け続ける人がでれば、その中からクラブに入会してくれる人も出てきます。
例えばMACは2ヶ月で6000円、週1回参加計8回といったスクール形式のプログラムを売っています。
高価なプログラムとしては減量プログラムも売っています。
これは8~12週間で80000円という設定です。
プールで行う腰痛や関節炎痛の方向けのプログラムもあります。
先ほどお話ししたオンラインメンバーシップも80%のアクティブでない人のうちの何%かを獲得することには有効と考えています。
~ここまで~
記事にある20%を3%に置き換えると、現在まで続く日本のフィットネス業界であると言えます。
これまでの投稿でも幾度となく触れてきましたが、業界関係者の多くは、アクティブな3%の人に目を向けがちです。
ここ最近の動きで言えば、24時間ジムのフリーウェイトエリア充実化に追随し、総合型クラブにおいても同エリアの拡張や高重量ダンベルの増設、マニアック部位対応マシンの設置など一般ユーザーのニーズとはかけ離れた施策を推進するクラブが後を絶ちません。
それはまさに、パンデミックからの復帰が遅い一般ユーザーの真のニーズに呼応することなく、安易な手段で動きそうな客層を奪い合う構図と言えるでしょう。
ただ何れこれらのクラブは、シェアの分散と低価格競争が相まって、深刻な打撃を受けることになるとアバター近藤は予測しております。
お読みいただきありがとうございました。