5月19日(木):ジムエリアの活性化を
昨日は書籍「弱くても稼げます シン・サッカークラブ経営論」を引き合いにコロナ禍で曲がり角に差し掛かった大型総合クラブを再構築するにあたってプロサッカークラブを参照してみるのもひとつだと記しました。
この数年、自社では小型クラブの運営に軸足を移してきたなかで再確認したこと、そしてジム・スタジオ型クラブも運営するなかでの自戒ですが、再構築にあたって不可欠なのはジムエリアの活性化だと思っています。
大型のフィットネスクラブではコロナ禍で程度の差はあれ在籍減を余儀なくされたわけですが、そのなかでも辞めずに継続をしてくださった会員様がいます。
そうした辞めない母集団が形成されている要因を見ていくと、概ね以下の3つに集約されると思います。
それは①お気に入りのスタジオレッスンがあって通うことが習慣化されている方、②スパエリアなどを中心に日常生活の延長線上として利用している方、そして③セルフモチベートによってトレーニングをしている方です。
これをクラブ内のエリアで捉えてみると、それぞれスタジオ、スパ、そしてフリーウェイトと置き換えることができます。
このような状況を踏まえてクラブ全体を俯瞰した時に提供価値がもっとも希薄なエリアがどこかといえば、それはジムエリアだと感じます。
その一方で少し視点を変えてフィットネスクラブでもっとも代替が難しいエリアがどこかと考えてみると、それもまたジムエリアのように思えます。
なぜならスタジオプログラムはコロナ禍でのオンライン化が進んだように、自宅に居ながらにしてレッスンを受けることは可能です。
またスパほどの広々したスペースは自宅にないかもしれませんが、自宅でもお風呂に入ってくつろぐことはできますからね。
これに対して自宅にトレーニングマシンを置いている人なんてほとんどいませんから、物理的にもっとも代替しにくいのがマシンの並ぶジムエリアだと言えるでしょう。
そんなもっとも代替しにくい要素を持っていながらも、そのエリアを目的に定着している方が少ないということは、そこでの価値が乏しいと受け止めるのが自然です。
私たちが小型クラブをメインに運営している旨は前述した通りですが、そこには小型クラブゆえにスタジオもスパもなく、数台のマシンがあるだけです。
クラブ全体は45~50坪の規模ですが、実際にトレーニングするエリアだけでいえば30坪前後になります。
それだけで200~300名の会員様に継続をしてもらおうとすれば、必然的にこのエリアでの提供価値を高める以外にありません。
仮に大型クラブがジムエリアで300名の辞めない母集団を形成することができたなら、それだけで現状から会員数の10~15%ほどはプラスになるはずです。
もちろん大型クラブであれば30坪以上のジムエリアを持っているわけだから、そこでの価値さえ高めることができれば、もっと多くの方の定着にも寄与できるでしょう。
マシンとアルバイトスタッフを並べてお茶を濁すということではなく、マシンジムとトレーナーを価値の源泉にしていくような考え方の転換が必要だと思っています。