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「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論694」

皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。

~Fitness Business通巻第24号(2006.5.25発行)「世界の動き~フィットネスクラブの空間設計の行方」2~※名称等は当時、一部文章省略

ベビーブーマー世代を意識したワークアウトスペース
メリーランド州シルバースプリングを拠点とするWTSインターナショナル社の上級副社長フランク・キングリッチ氏は、利用者の高齢化と技術の革新とが、今後のワークアウトスペースのデザインに大きな影響を与えるだろうと予測する。
「今後、クラブ利用者の中にベビーブーマー世代が占める割合が増えていくに従い、ワークアウトスペースは高齢者にとって親しみやすく利用しやすいものになっていくことでしょう。すなわち、強度の低いエクササイズが主流になっていくので、スペースもそれに応じた造りとなり、マシンも調節つまみが大きく、椅子の高さの調節が容易なものが増えていくことでしょう。」と同氏は語る。

また、内装のトーンはより開放的で明るく晴れやかなものとなり、ストレッチやコアトレーニングができるようなスペースが増え、その周りに会員が読書をしたり、リラックスできるようなラウンジが設けられるだろうと同氏は予見する。
マシンについては、より省スペースでありながら見た目が美しく、耐久性の高いものが増えると共に、無線技術の向上によって、MP3プレーヤーなどと統合されてエンターテインメントを提供したり、利用者の個別のマシン設定を呼び出したり、トレーニングの進捗をモニタリングできるようなマシンが増えるだろう、と同氏は予想する。
さらにキングリッチ氏は「人々は短時間で効果を出せるエクササイズを求めています。今後のマシンはテクノロジーの向上により、複数の筋肉群を同時に鍛えるなど、より時間効率の良いトレーニングを可能にしてくれることでしょう。」と語る。

より柔軟性の高いプールエリア
プールエリアの今後の展開については、詳細な予測は難しいものの、より柔軟性の高いエリアになることは確実である。
マサチューセッツ州ウォータータウンのササキ・アソシエーツのシニア・アソシエート、ブライアン・ダンケルバーガー氏は、プールとプールで提供されるプログラムはもっと広がりを持たねばならないと主張する。
「現状では、プールの利用者は、自由遊泳者とプールプログラム参加者の両方を含めてもクラブ全体の12~18%程度に過ぎません。人々をいかにプールエリアに呼び込むかを考える必要があります。またY世代はグループ志向が高いため、自由遊泳を好まないというデータもあります。」と語る。
同氏は、クラブの会員構成を見て、家族やシニア層の割合が高いようなら、グループレッスンをしやすいようプールに段を設けるべきであると主張する。
また、家族利用が非常に多い場合は、噴水や滑り台などをプールに設けることも検討に値すると述べる。
こうした設備は、コストが掛かり柔軟性も低いが、幼少年層をプールに呼び込むのに効果的であると同氏は語る。

もしクラブの会員の中心が25~35歳台の独身者層や、結婚はしていても子供のいない層であるのなら、自由遊泳とアクアビクスのクラスの両方に対応できる、水深1.2mのラッププールを設けるのが良いだろう。
この場合、メンバーをプールに呼び込む鍵は、いかに魅力的なプログラムを提供するかにかかる。
またこの層は、洗練された高級スパを思わせるようなプールのデザインを好む。
「プールは、グループレッスンのスタジオ同様、空間の柔軟性が高ければ高いほど、またプログラムの内容が魅力的であればあるほど、利用率が高まるのです。だからこそ、設計の段階では予算が許す限り、幅広い用途に対応できるものを作る必要がありますし、プログラムを開発するスタッフにも、クリエティブで革新的なプログラムを作るよう働きかける必要があるのです。」と同氏は語る。

~ここまで~

日本においても、プールエリアの利用者は、平均年齢が年々、上昇してきた中でも減少傾向のクラブが多いと思われます。
一般的に、高齢者層の割合が増えれば、浮力によって膝や腰への負担が少ないプールの利用が増えてもおかしくはありません。

しかしながら、そのようになっていかなかったのはプールエリア特有の煩わしさも影響していると考えられます。
特に日本においては、「必ずスイムキャップを被る」「お化粧は事前に落とす」「一旦、泳ぎ出したら止まってはいけない」「飛び込み禁止」「追い抜き禁止」などの利用マナー、ルールが多く、面倒くさいと思う人がそれなりにいることでしょう。

さらに土地の狭い日本では、プールは画一的な仕様となり、ゆったりとした空間演出は高級クラブ以外は企画されないので、魅力という観点でも弱いと言わざるを得ません。
新設のプール設置がほぼ無い現在、徐々に減少していく流れは止められないと推測されます。

お読みいただきありがとうございました。

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