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「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論446」

みなさん こんにちは アバター近藤です。

「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。

「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。

~Fitness Business通巻第9号(2003.11.25発行)「定着志向のクラブづくり」15~※名称等は当時、一部文章省略

4.定着志向のマーケティングとセールス

ここでは会員定着のためにどのようなマーケティングやセールスが有効かについて話します。

(1)従来型のマーケティングと定着志向のマーケティング

まず従来型のマーケティングがどういうものかについて見ていきましょう。

日本に来て何軒かのクラブを訪ね、パンフレットやチラシを見せて頂きましたが、多くは施設や設備をフィーチャーしていました。

駅の電飾看板も見ましたが、そこにもやはり施設の写真が載っていました。

これは日本だけの傾向ではなく、世界の多くのクラブに見られる傾向です。

あるクラブの広告で、「サイズが重要」と謳っています。

スタジオクラスが倍になり、ジムと託児施設が1.5倍になりましたと記しています。

そしてこのクラブは入会金を80%オフにして、集客の促進を狙っています。

なぜこのクラブが「サイズ」を前面に出して訴求しているのかと言えば、近くにある競合クラブが同じやり方で優位に立ったからです。

だから同じ方法で対抗したのです。

ですが、その競合クラブはまた同じ方法で対抗してきました。

施設の規模や、最新マシンの導入、スタジオクラスの本数といったサイズや数での競争には果てがありません。

結局、お金を持っている方が勝つことになります。

もう1つ従来型のマーケティングとして、価格やディスカウントを訴求する方法があります。

先ほどの広告にもありましたが、よく入会金がディスカウントされます。

価格のディスカウントについても、先ほどの「サイズ」の例と同じく、この方法を取り続ける限り、競合クラブとの間の価格競争はどんどんエスカレートし、両方のクラブが得られるべき収入を減らしてしまいます。

この方法で生き残る企業というのはありません。

サイズや数、あるいは価格のディスカウントで勝負しているクラブに勝つためには、ある一定の生活者に好まれる価値を備えたクラブにならなければなりません。

大きなクラブや安いクラブだからといって常にNO.1であるとは限りません。

皆さんのクラブだからこそ提供できる独自の価値をマーケティングで謳っていかなくてはいけません。

~ここまで~

記事の指摘を見れば、20年前から現在まで、ほとんど同じようなマーケティング施策で日本のフィットネスクラブも展開されてきたことが分かります。

例えば、ご自宅に投函される近隣クラブのチラシをご覧頂ければ、ほとんどのクラブが同質化競争をしていることがハッキリと確認できるはずです。

もし、読者の中で、マーケティング担当の方がいらっしゃったら、ご自身の1年間のチラシ等のクリエティブを確認してみて下さい。

ここに書かれている通りの内容であることに愕然とする方が、恐らく多く発生すると思われます。

本日もお読みいただきありがとうございました。


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