11月5日(日):「消齢化社会」を機会にかえる8つの観点
一昨日から書籍「消齢化社会(博報堂生活総合研究所著)」のことに触れていますが、本日もその続きをもう少しばかり。
タイトルの「消齢化」とは前述の研究所が各種のデータを読み解くなかで見えてきた「生活者の年代に基づく価値観や意識の違いが小さくなっている現象」を指して命名されたワードです。
同書によれば、これは無視できない大きな潮流であり、消齢化がさらに進んだ先ではどのような世の中になっていくのか、その未来の可能性が4つ提示されており、前々回は「個人の生き方」の変化について、前回は「社会構造」や「市場」にもたらす変化を記しました。
こうした消齢化をポジティブな機会と捉え、変化を推進していくための考え方として、書籍の末尾には発想転換のヒントとして以下の8つが提示されています。
1、人口減少×消齢化で社会を捉えてみよう
量的な変化である人口減少と質的な変化の消齢化を掛け合わせ、両面の視点からこの先の社会を俯瞰すること。
2、「近づく」ではなく「消えていく」と捉えてみよう
世代間が近づく捉え方ではなく、生活者の年齢そのものが「消えていく」とのニュアンスで「年齢ニュートラル」の発想をしてみる。
3、「高齢」を「消齢」に置き換えてみよう
「高齢化社会→消齢化社会」、「高齢世帯→消齢世帯」など、日頃から社会のなかで使われている高齢を消齢に転換して、それを起点にアイデアを膨らませてみる。
4、デモグラを疑ってみよう
「脱デモグラ」をしてみる。ある特定の年代を掘り下げて「違い」を探求するよりも、年代を広くとらえて「同じ」を探すアプローチ。
5、年齢によるバイアスに気をつけよう
身体的な見た目の印象に引っ張られて内面の消齢化を見落とすことがないように、年齢による先入観を取り払っていくこと。
6、消齢化≠同質化に留意しよう
年代に基づく価値観や意識の違いが小さくなっている消齢化は、決して同質化や均質化とは異なる。年代による違いが小さくなっても、同年代内での意識や好みの多様化は進んでおり、「大きな同じ」や「小さな違い」を掘り下げて考えることで生活者の理解に近づく。
7、次に「消える」ものに着目しよう
消齢化は年齢に着目した傾向で、それ以外に昨今のジェンダーレスように性別に置き換えれば「消性化」も見て取れる。このように以前よりも境界線があいまいになっているものに着目してみること。
8、新たなモノサシを探してみよう
デモグラの属性の説得力が弱まっていくなかで、何が生活者の実態を捉えるための新しいモノサシになりうるのか、それを身の回りを観察しながら探索していくこと。
ひとついえるのは起こっている現象をポジティブな文脈で捉えること、そして私たちのような民間企業であればそのなかで新たに生起するニーズを拾い上げて、それに応えていくことでしょう。
先のような観点を持ちながらサービスの現場やマーケットを見ていこうと思います。
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