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93 アパレルスタッフをしていたときのこと

大学生のころ、アルバイトでアパレルスタッフをしていたことがある。

アパレルスタッフといっても、メインはカバン屋さんで、洋服の取り扱いも一緒にしていたため、いわばセレクトショップ的な立ち位置だった。

わたしはそのお店で4年半ほどアルバイトを勤め上げた。

こうやって書くと、なんだかわたしがキラキラ系の人間に見えるかもしれないが、そんなことはない。これまでわたしの記事を読んでくれている人であれば、わたしがキラキラ系の人間ではないことくらい容易に想像がつくだろう。

人並みにオシャレに興味はあったのだけど、キラキラしているお店で働くのは気が引ける。しかもわたしは人見知りなので、ガツガツ接客するのは無理・・・。と、思っていたところにカバン屋さんの求人があった。

カバン屋さんなら、ガツガツ接客に行かなさそうだし、人見知りを克服するために接客業をやってみたい!

大学2年生のわたしはそんな決心とともに求人に応募した。

もちろん、カバン屋さんのスタッフはそんな甘い考えで成り立つものではなかった。

事前にしっかりと調べていかなかったわたしが悪いのだが、そのお店が洋服も取り扱っていることは面接の時に知ったし、思ったよりもがっつり接客を求められた。

結構早い段階で、「向いてない、辞めよう」と思った。

しかし、スタッフさんがみんな良い人だったのもあるし、わたしは意外にもカバンが好きだったみたいで、そこから意外にも長く続くこととなった。

❄︎❄︎❄︎

わたしはこの4年半のうちに、実は人と話すことが好きなんだということを知った。

間違いなく人見知りで、根暗な方なので、外観からはアパレルスタッフらしからぬ人材だったとは思うが、接客をしているときは意外にも楽しかった。

何より、自分の接客でお客さんがカバンを買っていってくれるととても嬉しいし、前にカバンを買ってくれた人がまた来てくれると、とても嬉しい。

確かに、自分から話しかけることに関しては、とても勇気のいることだったし、基本そっけない態度をとられるので、しんどい部分もあった(わたしが客側だったら基本話しかけないでほしい)。

だけど、お客さんの中にはカバンを探しにている人が当然いて、そうなると提案力勝負になるので、しっかりわたしの話を聞いてくれるし、良い提案をすると、良い反応を見せてからカバンを買ってくれるのですごくやりがいがあった。

生々しい話になるが、お高いカバンを提案力で買っていただいたときなんかはとても嬉しい。もちろん、買ってくださるだけで嬉しいのだけど、高い値段のものというのはそれなりに覚悟が必要で、財布の紐も硬いので、それをこじ開けることができたと思うと、素直に嬉しいのだ(そんな日は一日ルンルン)。

※余談だが、こういうお店は一日の目標売上が決まっていて、うちのお店は個人売り上げのノルマまでも決まっていた。ノルマ未達でとやかく言われることはないし、スタッフ全員で日の目標を達成すればOKだったが、個人売上のデータは全て残る。つまりはそういうこと。お店で洋服を買う時、ちょっと考えますー。と言って一度店を出て、やっぱり買う!となって店に戻ると、同じスタッフさんが接客にくるのはこういったカラクリがあるのだ。

あとは、お客さんとのなんでもない雑談が楽しかった。むしろわたしはカバンの販売よりもこっちの方が楽しかった(仕事せい)。

お客さんとの雑談は、お客さんの心がある程度開いてないとできない。接客の第一声で雑談から入ってくる店員さんがいたらわたしはどん引いてしまう。

なので、ある程度はカバンの話をしながら、ちょっとカバンに興味を持ってくれたタイミングで雑談を振る。

お客さんのお仕事の話だったり、このカバンで旅行に行く話だったり、プレゼントをどうしようか悩んでいて、渡す人の情報を聞きながら、一緒に喜んでくれそうなプレゼントを選んだり。

今思い返しても、やっぱりいいなって思える。

ちなみに、わたしはどのプレゼントが良いか一緒に選んでいる時間が好きだった。なんていうか、その人の素のようなものが見られるし、相手の人に喜んでもらいたくて、悩んでいる姿を見るのが微笑ましくて好きだった。

何歳になっても、人にプレゼントを贈りたい人の感情は変わらないのだなあって思った。

わたしは、そういった人の心の中を見れる時間がなんだか好きだった。

なんだか、こころが暖かくなるから。

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ふと、思い返しながら書いていたら、また働いてみたくなった。

もちろん辛いこともあったけど、終わってみれば暖かい思い出ばっかり残っているな、と気付かされる。

今でも、ドラマなどでアルバイトをしていたお店のカバンが使われているとテンションが上がる。

日々新作が入るので知らないカバンが増えてしまってはいるが、なんというか特徴があるので、知らないカバンでも、すぐに気がつくことができる。

そうなると、ドラマを見る観点も少し変わる。

それもなんだか面白い。

わたしにとって、アパレルスタッフは貴重な体験だったらしい。

本当に良い思い出だ。

それでは今日はこの辺で。

雪白真冬

P.S

人見知りを克服するために始めた接客業だったので、少しは知らない人と話すことに耐性がついたと思ったけど、今でも全然変わった気がしない。

やっぱり知らない人に話しかけるのは苦手だし、そこから話を盛り上げるのはもってのほか。

このときは仕事だから出来ていたし、カバンを買うっていう目的があったから話しやすいだけだったんだろうなあ。

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