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サッカーのフィジカルフィットネスとは


そもそもサッカーとは

1.ニードアナリシス:必要性の分析とは

主にストレングストレーニングの現場では「ニードアナリシス」といって,「その競技者に必要なフィジカルフィットネスや動きの質はどのようなものか」を一番最初に定義して決めてしまいます.そうすることで,トレーニングに必要な筋肉,時間(=エネルギー供給系),動き(=神経系)がはっきりします.

2.サッカーのニードアナリシス

環境・ルール
11人×2チーム=22人がピッチ縦105m×横68mの広大なスペースをカバーします.必然的に生まれるスペースをとるために攻防ではスプリントを行います
 →スプリントを間欠的に繰り返す.
前後半90分プラスアディショナルタイムの中,一人10-14kmを走行することになります.
 →走り切る持久力が必要

運動様式
ボールを蹴る,走る,相手と駆け引きをするという運動です.
 →「片足支持」の走型運動がメイン
もちろんGKはジャンプやダイブがありますし,フィールドプレーヤーも空中戦ではジャンプが必要です.

戦術的要因
サッカーは「ゴール型球技」に分類されます.バスケットボールやラグビーもゴール型球技です.これらは,「ボール,ゴール,味方,相手,スペース」という5つの要素があり,ゴールとボールを中心とした戦術的な動きが必要となります.
必然的に視野を確保しながら視野と違う方向に動くシーンが多発します.
 →ステップワークが必要(サイド,バック,クロス,反発ステップほか)

エネルギー供給系
一連の運動は数秒から数分、アウトオブプレーや遠いサイドのプレーで若干の休息を挟み断続的にプレーが続きます.
 →ATP-CP系、解糖系、有酸素系、いずれも必要

・・以上のように,サッカーに必要なフィジカルフィットネスや運動が導き出されました.

サッカーに必要なフィジカルフィットネス

サッカーに必要な動きやフィジカルフィットネスが明らかとなりました.
これらを踏まえて,フィジカルトレーニングとフィットネスの関係を私は以下の図のように考えています.

サッカー選手のフィジカルフィットネス(筆者作図)

この図は,私が2006年に体力テストで博士論文を執筆した際に作成したものですが,真理をついていると思っています.サッカーは総合的な体力が必要で,筋力も持久力も調整力もトレーニングの専門性が増すとかなり運動様式が似てくるというものです.

いずれにしても,必要なフィットネスは以下の3つに分類できます.
1.90分走りきるための間欠的持久力
2.ラインブレイクをめぐる攻防に必要なスプリントスピード
3.サッカーの動きに必要なコーディネーション

1.90分走り切るための間欠的持久力

間欠的持久力とは,スプリントなどの高強度運動とウォーキングなどの休息を交互に繰り返す間欠的運動の持久力です.いかに高速で移動し,いかに回復させるか,が必要とされます.

2.ラインブレイクをめぐる攻防に必要なスプリントスピード

サッカーではスプリントが勝負の要所で必要です.相手を突破してフリーになり,ラストパスを出しシュートを打つ必要があるからです.主に10〜40m,平均して20mほどのショートスプリントのスピードが必要です.

3.サッカーの動きに必要なコーディネーション

サッカーは,ゴールやボールを見ながら,相手と駆け引きをしてスペースを取り合うゲームです.ボールとマーク,ボールとゴールを「同一視」するためには体の向きが大切で,体の向きと違う方向に動く必要があります.
ですので,クロスステップやサイドステップ,バックペダルといった動きや1対1で相手に合わせたステップを行う必要があります.
また,相手と混在する「ゴール型球技」ではコンタクトが発生するため,コンタクトに競り勝つ体の動かし方「コンタクトスキル」が必要です.

まとめ

このように,サッカーに必要なフィジカルフィットネスは主に3つに分類できます.
1.90分走りきるための間欠的持久力
2.ラインブレイクをめぐる攻防に必要なスプリントスピード
3.サッカーの動きに必要なコーディネーション

もちろん,ここに定義されていない柔軟性,アジリティ,筋力は上記のフィジカルフィットネスを支える基礎的体力として必要なので,障害予防にも大変重要なのですが,ここではあえて割愛します.

いかがでしょうか?皆様の参考になれば幸いです.
また,後日それぞれのフィットネスやトレーニングについて解説していきたいと思います.


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