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中国を理解する上で整理するキーワードとは…(近代以前の歴史的観点より)

 中国は捉えどころのない中華という漠然としたイメージに領土、制度、民族、文化がくっついている不思議な空間である。
 国民国家にどっぷりつかった思考から、王朝が中心の世界をイメージすることは難しいが、中国の唐~清時代の基本的な整理軸は次のようにまとめられる。

【中華思想】
 全ての中心に中華があり、周辺に波及する力があるという思想。
 国という概念ではなく文化の中心(他より優れている)があり、そこから外側に影響力を行使していくという思想。漢民族がそれを担うことになっている。素晴らしいと皆から思われること自体が価値であり、消えることがない不思議な力がある思想。

【「大きな中国」と「小さな中国」 】
 大きな中国と小さな中国が繰り返される。
 日本では想像つかないが侵略してくる民族と地続きになっていて、環境が変われば攻め込まれるという緊張感がいつもある。

大きな中国:多民族を内包した王朝(唐・元・清) 
小さな中国:漢民族を中心とした王朝(宋・明)

【北方騎馬民族と対立・統合】
 北方騎馬民族は狩猟民族。生活すること自体が軍事訓練になっている。
生活の糧が農業中心の土地柄では軍事訓練が出来る環境でなければ占領されてしまう。国内事情(政治、権力安定性、北方に避けるソリューションがある)、自然・技術環境(食料生産状況、戦争に関わる武器の材料と技術、馬)が戦争の準備に力を避ける状況であるかその時々による。
北方騎馬民族   王朝   概念
突厥        唐  大きな中国(統合)
ウイグル      唐  大きな中国(統合)
契丹        宋  小さな中国(分離)
金         宋  小さな中国(分離)
モンゴル(元)      大きな中国(統合)
モンゴル・オイラト 明  小さな中国(分離)
清            大きな中国(統合)

【大枠として各項目①~⑤の濃淡グラデーション】
 王朝を治める方法としてどれを採用するかは、その時の問題による。
 王朝が変更になる場合は既存の方法とは違う方法を取ることが多い。
 既存の方法の強化では権力が集中しすぎて腐敗しているため、解決しないことが多い。
①~⑤は統治する上で、王朝の性質を決める大きな枠組み。
①封建制度  中央集権国家
②血親族   科挙制度
③宦官    官僚
④地主    均田制
⑤儒教    その他宗教

【租調庸(現物・貨幣)】
 農民から富を集める方法として何を軸としているのかの基準。
租・・・地租
調・・・絹等
庸・・・労役

参考:『東アジアの中の中国史』著者:岸本美緒 浜口允子 出版社:放送大学教育振興会

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