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日本の風景の裏側

新型コロナウイルスの一件による制限もなくなったことで、観光地に行くと外国の方をよく見かけるようになりました。私たちが見慣れている春の桜や秋の紅葉といった風景も、外国の方にとってはたいへん珍しいようです。ただ、これらの四季折々の風景も日本のバイオームによってできています。
少し前にテレビでも取り上げられていましたが、日本って意外と大きいです。少し科学的でない言い方になっていますが、国土面積で比較するとヨーロッパの先進国よりも広いです。また、南北に伸びているため気候区分も3つあり、それに伴ってバイオームも4種類+αになっています。今回の内容を知って国内旅行をすれば、風景の違いを感覚だけではなく、知識としても感じることができるのではないでしょうか?

水平分布

前回、世界のバイオームについて紹介した時に述べましたが、植生の違いは”気温”と”降水量”によって決まっています。日本は島国ということもあり、地域による降水量の違いはないのですが、南北に長いことから平均気温については違いがあります。そのため、沖縄や小笠原の亜熱帯多雨林、九州や四国と本州の南側の照葉樹林、東北地方と本州の山岳部の夏緑樹林、北海道の針葉樹林と夏緑樹林となっています。このような、緯度に応じたバイオームの水平方向の変化を水平分布といいます

簡単に色分けしてしてみました。ピンクが亜熱帯雨林;緑が照葉樹林;黄色が夏緑樹林;紫が針葉樹林です。北海道は夏緑樹林が混在しています。

日本の植生は照葉樹林が中心で、続いて夏緑樹林になっています。照葉樹林と夏緑樹林は、外観は同じでも特徴は異なります。(針葉樹林は名前の通り針のような葉で、亜熱帯多雨林はヤシみたいなの?雰囲気が異なるというのを理解していただけるでしょうか?)例えば、照葉樹林は、ぶ厚く、光沢のある葉をもち、夏緑樹林は、厚さはないが、紅葉して、葉を落とす、でしょうか。それを意識すると、秋の観光地はまさに植生のなせる技であることがわかると思います。
少し余談なのですが、北海道の短い秋にも紅葉シーズンがあります。ただ、本州と違うのは、紅葉&落葉する夏緑樹林と落葉をしない針葉樹によって、赤・黄色・緑の3色の風景を楽しめます秋の北海道はオフシーズンということもあって安い上に、収穫したての食べ物が多いので、超おすすめです!

垂直分布

気温は、一般的に標高が100m上がるごとに0.5℃ほど下がります1000mでは5〜6℃ほど。そのため、標高が上がるごとにバイオームの分布が変化するのですが、これを垂直分布といいます。本州の中部(日本アルプスとか)を例にとると、標高700m付近までを丘陵地帯、1700m付近までの山地帯、2500m付近までの亜高山帯になっています。ちなみに、丘陵地帯にはシイ類やカシ類などの照葉樹林、山地帯にはブナやミズナラなどの照葉樹林、亜高山帯にはシラビソやコメツガなどの針葉樹林が分布しています。文字で説明されてもイメージはわかないと思うので、それぞれの植物が説明されているリンクをはっておきます。

2500m以上には高山帯の植生があるのか?」という予想されると思いますが、その前に考えて欲しいことがあります。まず、2500m以上の場所は平地よりも15℃ほど平均気温が低くなります。それに、雨は雲よりも低いところで降るため、高い山は気温が低く、乾燥した場所ということになります。前回の記事のグラフをもとに考えると、2500m以上のところには樹木は生えません(強風も理由の1つです)。この樹木が生えなくなる標高を森林限界といいます。ここでは、太陽の影響をしっかり受けるので、南側より、北側の方が森林限界は低くなります。ちなみに、高山帯には草原が広がっているのですが、夏になると花がたくさん咲くことから、”お花畑”とよばれています。

こんな感じです。標高を書き忘れてた。

このように、植物は光合成をしているだけではなく、地域の風景も作っています。その風景を利用して人は生きているのですが、それについてはまた今度・・・。

Youtubeで寄生虫の紹介もやっています。興味を持っていただけましたら、チャンネル登録していただけると幸いです。


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