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生態系ってどういう意味か知ってる?

最近、論文の修正などに時間を取られてしまってい、「生物あるある」の投稿頻度が下がっておりました。あと、間違えて原稿を消してしまうなどのトラブルもあったのですが・・・。そのため、前回の内容と言われても忘れてしまっているかもしれませんが、世界と日本の植生の話をしていました。簡単に言えば、日本や世界の各地域にどのような植物が生えているのかということです。それらは、主に年間の平均気温と降水量によって決まっています。当然、そこに生息する動物も地域によって異なっていす。今回からは生態系という植物だけではなく、動物も含めた生物の集まりについて説明します。

生態系とは

“生態系“と聞けば、多様な生物の集まりをイメージする人が多いと思います。しかし、生態系の正確な意味は、単に生物がたくさんいるだけではなく、「生物とそれを取り巻く環境の関わり合い」です。つまり、生物だけではなく、生物を取り巻く光や水、空気や土壌なども含みます。この光、水、空気などを非生物的環境と言います。そして、そこに生息する全ての生物と取り巻く非生物的環境を合わせて1つのまとまりとして捉えたものが生態系です
そのため、何をまとまりとしてみるかで、生態系の規模が違っています。日本や瀬戸内海といった大きなまとまりで考えることもできますし、近所のため池や公園の生態系という小さなまとまりで考えることも可能です。

生物どうしの関わり合い

生態系を考えることで重要なのは、「生物どうしの関わり合い」です。有名な生物どうしの関わり合いの例としては、食う食われるなのですが、これは次回説明します。ここでは、生物と非生物的環境の関わり合いについて説明します。これは簡単な話で、「夏の暑い日に木陰に入って暑さをしのぐ」や、「大きな木があることで、木陰ができる」などです。前者の「暑さをしのぐ」と言うのは、気温(非生物的環境)が動物を木の下に動かしています。これが作用と呼ばれます。もっと簡単な例を挙げれば、土壌が豊かになれば植物がよく育つと言うのも作用です。後者の「木陰ができる」というは、生物の働きにより地面の温度(非生物的環境)が下がるという現象です。このような生物によって非生物的環境が変化することを、環境形成作用と言います。
非生物的環境と生物を繋いでいるのは、光合成をする植物と生物の死骸や排泄物を分解する分解者です。それぞれの役割はまた詳しく説明します。

これぞまさに、作用と環境形成作用!

種多様性

生態系があることで、地球の各地で多様な生物が生息できるようになっています。これを生物多様性といい、この分野で学ぶ目的となっています。種多様性は難しい話ではないのですが、実は3種類あります。1つは名前の通り、地球上に多様な生物種がいることを指します。もう1つは、生態系多様性といって、森林や海洋、草原など様々な環境があり、それに伴う生態系が多様にあることを言います。そして、3つ目が遺伝的多様性になります。これが分かりにくくなっています。具体例をあげると、遺伝的多様性が減少している代表例のメダカは日本中にたくさんいるというところでしょうか。「たくさんいるのにどうして多様性が減っているのか?」という理由なのですが、生物種としては一緒でも、遺伝的には異なることがあります。メダカであれば、生まれた川から海や山を挟んだ別の川に移動できないので、日本ができてから長い時間をかけて地域によって違う遺伝子を持つようになります。それが、ヒトによって別の地域に移入されると、2つの地域のハーフが生まれてしまいます。ハーフと聞けば新しい組み合わせができたように思うかもしれませんが、遺伝的な多様性が減っています。具体的に説明すると、関西のメダカが関東に移入されて、関東のメダカとの子供を作ったとします。すると、関東には関西の遺伝子を持つメダカが生まれ、関東の遺伝子の割合が減ります

遺伝的多様性が減ることの問題点とは何でしょうか?簡単に言えば、遺伝子が多様であると言うことは、色々な強みを持った個体がいると言うことです。色々な強みを持った個体がいれば、環境の変化が起こっても生き延びる個体ができて、絶滅を避けられます。最後に、絶滅を引き起こす可能性のある環境の変化とは何でしょう?地球温暖化などが思いつくかもしれませんが、これはかなり時間がかかるので、別の形で生物は対応します。絶滅を引き起こす可能性のある環境の変化は、少し前に私たちも経験した感染症だと言われています。

Youtubeで寄生虫の紹介もやっています。興味を持っていただけましたら、チャンネル登録していただけると幸いです。以下の動画はまさに、感染症の話もあります!



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