北の国から2022 エゾメバル
日本には4500種以上の魚類がいると言われています。しかも、日本は南北に長いため、沖縄と北海道では全く異なる魚類相になっています。今回は、知り合いから送ってもらった北海道の魚についてです。
和名:エゾメバル
学名:Sebastes taczanowskii Steindachner, 1880
分類:スズキ目、メバル科、メバル属
生息:北海道オホーツク海 沿岸.北海道~石川県の日本海沿岸.北海道~宮城県の 太平洋沿岸
解説
北西太平洋沿岸でよく獲られるメバル科の魚類です。和名の由来は、文字通り北海道(蝦夷)でよく取れるからです。北海道の知人にエゾメバルが欲しいことを伝えると、お安い御用と言わんばかりに、翌日採集報告が届き、5日後には冷凍で送られてきました。北海道の地方名は“ガヤ”とよぶらしく、由来は「がやがや」騒がしいほど良く取れるからとのこと。
多くのメバル科の魚種と同様に卵胎生です。魚類のほとんどは、体外受精を行います。これは、サケの産卵シーンを思い浮かべてもらえばよいです。卵胎生は、11月頃にメスはオスの精子を取り込み、3〜4月にメスの体内で受精し、5月に仔魚が放出されます。要は、魚だけどメスの体内で受精と孵化を行うということです。哺乳類との違いは、哺乳類はお腹の子供に養分を与えて育てますが、卵胎生の魚はお腹の中で孵化させるだけです。
このエゾメバルは、White-edged rockfishという英名がついています。名前の通り尾鰭の端が白くなっています。他にも、胸鰭が丸かったり、顔中に棘があったりします。中でも、このエゾメバルは他のメバル科の魚類に比べて小型です。そのため、飼育が容易で、長期的な生理的変化を観察できるモデル生物として利用されています。先述の卵胎生の周期が詳しくわかっているのも、これが理由です。
私が、この魚を扱うのは寄生虫がいるからです。もちろん、見つけました。コガタツカミムシ属に属する単生類(扁形動物門)の1種です。メバルやカサゴやソイ類などにもこのコガタツカミムシ属単生類が寄生しています。すでに、この寄生虫についてある程度調べているのですが、とても細長いです。体長は他のコガタツカミムシ属単生類と同じくらいなのですが、体幅が他の種の半分くらいしかありません。柔らかい動物なので、体の形だけではなんとも言えません。生殖器官やDNAなども調べなければなりませんが、ここまで細長いのは例がありません。
もしそうなら、アイヌ語を調べておこうかな?
参考文献
Takahashi, H., Takano, K., Takemura, A., 1991. Reproductive cycles of Sebastes taczanowskii, compared with those of other rockfishes of the genus Sebastes. Environ. Biol. Fish 30, 23–29.
Takemura, A., Takano, K., Takahashi, H., 1987. Reproductive cycle of a viviparous fish, the white-edged rockfish, Sebastes taczanowskii. Bull. Fac. Fish. Hokkaido Univ. 38, 111–125.
Yamaguchi, Y., Nagata, J., Nishimiya, O., Kawasaki, T., Hiramatsu, N., Todo T., 2021. Molecular characterization of fshb and lhb subunits and their expression profiles in captive white-edged rockfish, Sebastes taczanowskii. Comp Biochem Physiol A Mol Integr Physiol. Part A, Molecular & integrative physiology 261 111055 – 111055
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%82%BE%E3%83%A1%E3%83%90%E3%83%AB