遮蔽礼讃
隠されると見たくなる、透けて見えれば想像する。
現代は何も隠されていない時代です。
近代以降、”視線”はすべてを均質化し平板化しました。
見る事によって、絵は価値を判断されます。しかし
見られない事によって価値が上がる場合もあります。
”遮蔽”です。
日本には遮蔽する建具が多くあります。
屏風(びょうぶ)・障子(しょうじ)・格子(こうし)・衝立(ついたて)
結界(けっかい)・御簾(みす)・垣(かきね)・幕(まく)・暖簾(のれん)
などです。
・御簾越しの天皇
・結界の張られた聖域
・光を通す格子と障子
・場を区切る衝立や屏風
・閉じられているが気配は感じる襖
・屋外に空間を生み出す幕
・風で揺れる暖簾
門・扉・壁・堀・なども隠して見えなくする役割ですがこちらは
”遮断”かもしれません。
日本人は”陰影”を好んだように”遮蔽”も好んだと思われます。
遮蔽され、隠され、淡い輪郭と気配を感じつつ
よく見えない事に鑑賞の価値を持っていたかもしれません。
明るくハッキリと見える鑑賞から
暗く、遮蔽され、視点をずらすと見えてくる鑑賞を体験してください。