Q : 臀部を使って走るにはどうしたら良いですか? に、 理学療法士が回答します。
FIRST TRACK は、専門分野の異なるスペシャリストから形成されています。日々、アスリートや市民ランナーの目標達成に向けて、アスリートがトレーニングに励む現場でのサポートや市民ランナーさんの治療・トレーニングサポートを主な活動としています。
理学療法士は身体と動きの専門家であり、個々の身体を評価し身体と動きを目標とする状態へ導くことを得意としています。
今回は理学療法士の視点から臀部を使う動きの理論と評価に焦点を当てたnoteになります。
Q : 臀部を使って走るにはどうしたら良いですか?
「お尻(臀部)を使った方がいいというのは分かるけど、どうしたら出来るか分からないです。」というような質問を受けることは多いです。
まずは臀部を使う走りを理解する為に少しアカデミックに言語化してみたいと思います。
・競技レベルの高いランナーの筋活動
競技レベルの高いランナーの筋活動を確認してみます。(図1)
接地直後から大臀筋とハムストリングスが主動作筋として働いていることが分かります。(文献1
スイングに向けて腓腹筋やヒラメ筋(膝下)も補助的に働きますが、メインではありません。
臀部が使えていない人は膝下の筋が過剰に働き、大臀筋やハムストリングスは働きにくい傾向があります。
この時、中臀筋や大内転筋も股関節の安定、大臀筋やハムの補助として関与してきます。(以下note参照)
・競技レベルの高いランナーの関節運動
次に競技レベルの高いランナーの関節運動を確認してみます。(図2)
図2の左下のグラフをみると股関節の伸展という動きを大きく出していることが分かります。(文献3
それに伴い、膝関節の関与が少ないことも分かっています。
臀部が使えていない人は股関節伸展の動きが少なく、膝関節や腰椎が過剰に動く傾向があります。
膝関節や腰椎が過剰に動くことによって走りの効率が低下し、怪我のリスクも高まります。
・臀部を使って走るとは?
つまり”臀部を使って走る”というのは、
”大臀筋やハムストリングスの作用による股関節伸展を使って走る”
ということになります。
ここからは股関節伸展可動域、臀筋筋出力の評価の話です。
・股関節伸展可動域の評価
まず股関節伸展可動域がなければ意識的に臀部に力を入れようしても物理的に不可能です。
股関節伸展可動域が不足していると、腰や膝など周囲の関節を使って代償しようとする動きが起きます。
臀部を使うためには腰や膝ではなく、純粋な股関節伸展を行えることが大切です。
・臀筋筋出力の評価
理学療法ではMMT(Manual Muscle Testing)と呼ばれる徒手で行う筋力検査法があります。
その中でもBreak Test(抑止テスト)という対象の筋(関節運動)を収縮させた状態で抵抗を加えて耐えられるかを確認する手技で筋力測定を行っています。
私のトレーニング・コンディショニングを受けたことがある方は股関節や肩周り、腹筋や足首に対してもこのBreak Testをされたことがあるかと思います。
・股関節伸展可動域と臀筋筋出力が整った選手の動作
股関節伸展可動域と臀筋筋出力が整った選手の動作はこのようになります。
対して、整っていない選手はこのようになります。
どちらの動きが安全で効率的に見えるでしょうか?
臀部を使えるようになることで安全で効率的な走りを目指しましょう!
どのようなトレーニングをすることで臀部が使えるようになるのかは、
アスレティックトレーナー御共の記事をご覧下さい↓
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執筆者:FIRST TRACK理学療法士 佐橋
参考文献:
1)馬場ら,2000,疾走1サイクルにおける筋腱複合体の長さ変化とEMG,体育学研究
2)金子ら,2011,バイオメカニクス-身体運動の科学的基礎-
3)伊藤ら,中間疾走局面における疾走動作と速度との関係
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