プロスピを振り返る野球シーズン2022④ー野手
先述している投手編と捕手編は以下リンク
本稿は野手編。10項目ほどに渡る長編となる見込み。
2022福浦ロッテ・内野手シーズンデータ
川崎 宗則(30)
132試合 .286(461-132) 4本28点25盗
.318 .371 .689(出塁率、長打率、OPS)
中村 奨吾(30)
134試合 .294(435-128) 17本53点6盗
.333 .485 .818
田中 広輔(33)
62試合 .279(129-36) 5本18点4盗
.301 .496 .797
江村 直也(30)
6試合 .000(11-0) 0本0点0盗
.000 .000 .000
ソラーノ(28)
39試合 .255(98-25) 0本5点1盗
.295 .296 .591
草野 孝典(31)
138試合 .329(526-173) 26本75点1盗
.361 .557 .918
北條 史也(28)
12試合 .259(27-7) 0本2点1盗
.286 .370 .656
島井 秀浩(26)
103試合 .216(167-36) 4本12点8盗
.237 .329 .566
田原 龍平(28)
12試合 .320(25-8) 3本3点0盗
.320 .720 1.04
丸山 和史(22)
63試合 .235(183-43) 0本14点14盗
.247 .284 .531
今江 敏晃(39)
26試合 .391(23-9) 0本8点0盗
.346 .565 .911
河野 剛裕(21)
11試合 .216(37-8) 1本3点0盗
.237 .378 .615
白川 浩也(21)
20試合 .163(49-8)2本5点0盗
.180 .306. 486
鎌田 智規(24)
14試合 .200(10-2) 0本0点0盗
.200 .200 .400
★一軍出場無し
竹下 純三(20)
内野レギュラー事情
開幕スタメン
昨年と本当に変わらない布陣。右打者という事もあってライトに鈴木誠也を起用したくらいで内野は昨年と全く同じの布陣を組んでいる。
一塁手
キャリアハイを残した草野孝典が一塁手として136試合出場。休養を挟みつつ自己最多の打席数を確保。五番一塁手のポジションで勝利に貢献。
二塁打42本、猛打賞16回、19試合連続出塁と打ちまくった上に、85三振と28四球はいずれも良化した結果。三振数が100を超えるシーズンが続いていただけに、一皮むけたと言えよう。OPSも.918に乗った。
二塁手
また今年もゴールデングラブを獲得した中村奨吾。シーズン序盤から中盤にかけては確実性の面で物足りない数字だったが、最終的には打率も.294に乗せOPS.818に到達。打率の左右差も無く、終盤は安定していた。中盤以降は打順は六番だったがそれで通した。二塁打32本、四球26個も例年通りの活躍だった。併殺数14個は現実世界と似通っているが、今年も中村奨吾を見せてくれた。昨年はホームランが30本を超えていただけに長打の期待も大きかったというだけで、中村はようやっている。
セカンドで二番目に出番をもらったのが新外国人のドノバン・ソラーノ。
数字は少し物足りないが、内野全体をカバー。中盤はファーム暮らしをしたが、ポストシーズンでも活躍し、来季の戦力となる。
三塁手
島井102試合も丸山が56試合、田中26試合の起用。島井と田中の戦いに丸山が割り込んだ格好。球団内のプロスペクトランキングにも名を連ねる丸山和史が、期待も込みだったが出番をもらった。
昨シーズン、三塁手の一番手に挙げられながら出場0に終わった若手。勿論物足りない数字だが、守備走塁(盗塁成功率.778)は確実に一軍レベル。21打席無安打や対左投手の打率.226など課題は見えた一年。夏場以降は島井にポジションを譲ったので、打力に磨きを掛けたい。
島井も昨年と比べると数字を落とした印象。打力の伸び悩みはやはりあるが守備は安定。結局島井に帰ってくる、と言ったところ。
コンテンダーのサードとして物足りないとみるかどうか。一流守備を持つことを忘れてはいけない。
遊撃手
昨年の123試合に比べ129試合と伸ばした川崎。規定打席にも久しぶりに到達した。一方で24試合だった白川が11試合と減らし、まだまだ川崎宗則のポジションであることがわかる。
実際今年の川崎は好調であった。二塁打27本、得点圏打率.290、12回の猛打賞を記録。三振85個に22四球も近年では良い方だった。
2017年にベストナインを獲ったっきり、リーグトップの遊撃手にはなれていない。ただ今年は上位打線での起用も増えてきた。
左右別打率と併用
左右別打率
中村奨吾は課題だった対左打率にて.300を二年続けてクリアし克服。川崎も対左に対して不安なし。こうなると田中以下五名の三塁手およびバックアップ争いに目が向く。(白川はショートだが。)
三塁手の併用
三塁手の併用事情。左右別で考えれば、右投手に対して島井・ソラーノ、左投手に対して田中広輔となる。しかしこのくらいの差であれば、期待枠の若手として丸山の起用があるという事だろう。
併用という話でいけば、河野や北條といったところが左投手相手にしっかりとアピールをすれば出番はすぐ訪れるという事。
期待の若手(内野手)
プロスペクトと言える選手達となるが、球団内No.1の河野、NO.2の白川、No.8の竹下、No.10の丸山などが候補。
守備打撃共にアピールした昨年と比べどちらも大きく数字や印象を落としてしまった。来期、まだ高卒四年目だがチームとしても考えることを辞めてはいけないだろう。現状守備から土台を作っている最中だが、それを実戦に落とし込むための出場機会を、球団として設けられているか見つめなおしたい。
超高校級のパワーは充分。こちらも守備面の鍛錬は必要だが、三塁手問題に終止符を打つ可能性を持つトッププロスペクトである。
2022福浦ロッテ・外野手シーズンデータ
張 志豪(33)
127試合 .290(473-137) 11本41点54盗
.310 .425 .735(出塁率、長打率、OPS)
横田 慎太郎(27)
139試合 .300(507-152) 31本78点6盗
.339 .533 .872
淺間 大基(26)
114試合 .305(387-118) 17本47点22盗
.338 .525 .863
水沢 直輝(28)
137試合 .327(535-175) 43本106点0盗
.357 .630 .987
梶谷 隆幸(34)
31試合 .304(69-21) 3本6点2盗
.342 .522 .864
岡田 幸文(38)
13試合.125(16-2)0本0点2盗.125.188.313
鈴木 誠也(28)
45試合 .278(126-35) 0本8点1盗
.316 .389 .705
長内 信介(26)
58試合 .306(173-53) 5本19点2盗
.335 .445 .780
吉村 裕基(38)
7試合 .167(18-3) 0本0点0盗
.167 .167 .334
朝倉 祐貴(25)
3試合 .000(2-0) 0本0点0盗
.000 .000 .000
梶原 敦志(19)
7試合 .000(10-0) 0本0点0盗
.000 .000 .000
喜多 友也(21)
17試合 .235(17-4) 1本2点1盗
.235 .412 .647
★一軍出場無し★
伊志嶺 翔大(34)、俊介(35)、藤原 昭光(29)
外野レギュラー事情
レフト
横田が139試合に出場したように、レフトは横田で固定。休養のために張や梶原がレフトに入る事もあったが、押しも押されもせぬスター外野手。まだ来期28歳の主砲はこれからもチームを引っ張り続けるだろう。
得点圏打率.224はクリーンアップとしては物足りないも、二塁打25本を含む長打力は別格。守備力の向上も著しく、来期はキャプテンを務める。
センター
張志豪が基本となったセンターのポジション。念願の盗塁王を獲得した。61回の企図数での54回成功なので、成功率は.885を誇る。
13回の猛打賞と15試合連続出塁、二塁打も27本、三塁打を2本記録。100三振など気にならない成績で会った。
トップバッターとして申し分ない。張の天下が終わった時が怖いが、まだその時は来そうにない。
ライト
やはり、とも言うべきかずっと決まっていないライトのポジション。決まらないというか決めていないというか。14名が出場した外野のポジションで、若手からベテランまでライトを狙って調整を続けてきている。
開幕スタメンは鈴木誠也。
ライトにコンバートされたシーズン。TDLにて加入した昨年と違ってキャンプから外野での調整十分で開幕を迎えた。ホームランは0に終わるも、二塁打12本は立派。広角に打ち分けられる右打者で右の外野一番手だろう。
ただ、左投手相手に無類の強さを誇るわけではない(.276)ので他の野手に隙を見せる形とはなってしまっている。
次に対右投手、左打者としては梶谷隆幸。
TDLで加入してから二年半、右投手相手に活躍してきたベテラン。鈴木誠也とのプラトン起用でスタートしたシーズンだったが、夏場からファーム暮らしが続いた。TDLではトレード候補に名が挙がるなど、煮え切らないシーズンとなってしまった。
そんな中で、ライトのポジションで激戦を繰り広げた野手がいる。入団以来期待をされてきた淺間と長内の2選手である。
長打、走塁共に本領発揮といったところ。ライトの守備も上達してきたが、淺間はセンターを狙う立場。今チームの外野手で一番勢いのある選手と言っても過言ではない。
32本の二塁打に、盗塁成功率.759。猛打賞13回とスター選手への道を歩みだした。脂が乗ろうとするこの年代で、WAR5.0を積める選手になる。
次に出番をもらったのが大卒四年目の長内。ルーキーイヤーに数字を出すも二年目のジンクスにて定位置を失っていた。三年目に続き少ないチャンスをものにしている若手で、左打者じゃなければといったところ。
実は左投手相手に.309と苦にしないところは昨年(.333)に続いており、左右は関係ないと言えそう。後は守備走塁で違いを生む事、長打を増やすことが課題だった。
結果的には本塁打は5本放ちOPSも.780と合格点。得点圏も苦手にせず(.349)一軍の選手になったと言えそうだ。犠牲フライも3本放つなど、状況に応じた打撃も出来ており、淺間と並んで来季に期待感を持たせている。
指名打者
指名打者は水沢直輝しかいない。
二年連続本塁打王に100打点越え。
後述するが、日本シリーズは5試合で5本塁打。化け物っぷりを見せた。
外野手左右別打率
鈴木誠也と水沢以外左打者の布陣だったが、左投手は苦にせず。左投手を苦にしていたシーズンもあったが、今年は良かったようだ。
期待の若手(外野手)
レフトとセンターのポジションが埋まり、外野も淺間と長内の競争となると若手の入る所がない。編成部門は、若手のプロスペクト集めを着々と進めているが、彼らの出番は少ないのが実情である。
交流戦頃は梶原を起用した。スタメンは僅か2試合だったが計10打席立たせる事を念頭にした起用。
25歳の朝倉は守備走塁で価値があるのでコールアップしているが、あまり出番なし。レギュラー陣が皆オールラウンドプレーヤーなだけに、アピールする方は大変である。
少ない機会でインパクトを残した選手は喜多。
本塁打は逆方向、初盗塁も記録したプロスペクト。朝倉を獲得した当初も、編成は喜多を欲しがったというくらい。高卒三年目としては5ツール全てがハイレベルの喜多友也は、来シーズン以降楽しみな存在となる。
野手総括
BABIP
内野手と外野手のレギュラー陣についてBABIPを計算してみたい。
昨シーズンのBABIPを計算していないので比較することに意味がないというとんでもなのだが、来季を見据える一つの要素にはなりそうだ。
BABIP(batting average on balls in play)はグラウンド内に飛んだ打球の中でどれだけ安打になったかを示す。三割前後を推移し、リーグの平均やシーズン毎の数字と比較して使用する。計算式は、
で計算することが出来る。
超打高環境により、BABIPは高めに出た。
確かにこれだけ違えばBABIPも大きくな差がうまれそうだ。
以下、ロッテ主要選手のBABIPをまとめてみた。
思ったよりもだいぶBABIPが高く出てしまっている。リーグ平均(.329)と比較して、横田、中村、小湊、田中あたりは平均に近いと考えて良さそう。
丸山や島井は、それぞれ打率を.235・.216としているのでBABIPが低いのは仕方がない。
高いBABIPをどう考えるかだが、参考までに2023NPB(現実世界)のBABIPを見てみることにしよう。
サンタナや柳町はバビりまくっている印象。木浪はゴロ率が55%と高く、このようなBABIPになるのもわかるところである。
一方で近藤や柳田、大山など長打率に秀でた選手のBABIPが高いのは来シーズンへの影響を心配しなくてもよいだろうか。指標を扱うものとして、高いBABIPは高い!!と声高に主張する事が正しいのだが、数年好打者とし活躍している選手のBABIPが高めに出ているのは指標の性質上仕方がないというか、それが正しいのかも。
草野(.352)長内(.378)高木(.401)この辺のBABIPは高そう。長内と高木は打率も例年よりは高めに出ており、来シーズンに警戒が必要か。
草野は引っ張り方向のシフトが敷かれている結果に出ているBABIPであろう。プルヒッターではあるので、シフトはあるが三塁線や二遊間などに開きがあるように思う。打球速度の遅い打球がよくその辺を抜けていくので、今年の打率.329はその恩恵も十分に受けていると思われる。
三振率や四球率
早打ちだし、プレイヤー操作で四球を獲るのは難しい。
三振率で見ると、草野15%、川崎・淺間17%、中村・水沢18%、横田19%が優秀か。30%を超えた主な選手はいないので、そこは優秀である。
守備
去就
吉村裕基の引退試合が、本拠地最終戦で行われた。
2016年にFAで加入してから両翼や一塁、ある日は三塁を守るなどユーティリティ性も発揮しつつ活躍。
長打力が衰える晩年での移籍ではあったものの、出場機会が有りさえすれば結果を出してきた。レギュラー格として期待されていたことを考えれば物足りないかもしれないが、チームを7年間支えてきたことは評価出来る。
総括
内外野共に、安定しているポジションは安定していた。一塁草野、二塁中村、遊撃川崎、レフト横田、センター張志豪はほぼ固定で、これは来シーズンも同じ、もしかするとあと三年間ほどは同じ状況が続きそうだ。
ライトとサードが長年決まっていないが、ライトは淺間と長内に喜多を加えた競争になるのだろう。
となると三塁手争いがこれから激化する事になる。野手の空いているポジションは実に少ないが、競争を促していきたい。
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