ゲームを振り返る野球シーズン2021②ー捕手編ー
後半やっつけのようになってしまった(当社比)投手編
2021福浦ロッテ・捕手シーズンデータ
田村 龍弘(27)
114試合 .238(344-82) 10本 39点 0盗
.248.395.643(出塁率、長打率、OPS)
小湊 晋一(23)
63試合 .226(115-26) 4本 12点 0盗
.252.409.661
奥脇 克己(23)
2試合 .333(3-1) 0本 0点 0盗
.333.333.666
高木 貴幸(25)
16試合 .300(20-6) 2本 3点 0盗
.333.650.983
2021シーズンの捕手事情
まず最初に江村の三塁転向がある。強肩やフットワークを活かせる点と草野孝典の一塁転向を期に、三塁での勝負をかけた。捕手事情の前提としてこういったこともある。
過去二年間97試合に出場し、正捕手として起用されていた小湊だが昨年のwRC+33は他の打者が好調だったとしても厳しい数字だった。
今年も低調なようだと競争が激化するわけで、勝負の年であった。
結果、春先状態が上がらなかった小湊は正捕手の座を田村に奪われる格好となる。
小湊が不調というより田村打ちすぎという気もするが、守備面で評価の高かった捕手が二桁本塁打に届くほど飛ばせば起用せざるを得ない。
指標だけでいえば、田村80三振小湊25三振であり四球数も少ないということで、アベレージ面では大差がない。ただ田村は二塁打を24本放ったという事、そして左右別打率で見ても小湊よりも勝っていた。
盗塁阻止率
小湊も昨年に続き盗塁阻止率.300を超えた。守備練習を繰り返し、チームの捕手能力は上がって来ている。その中で今年は田村が結果を出した。こうやって相乗効果が生まれる。
捕手として江村直也が出場しているが、三塁手で勝負をかけているとはいえオプションとして捕手は残しておきたい。
奥脇と高木
20代で占められているロッテ捕手陣だが、「若手」は存在する。
今年は去年と違い、捕手三人制を取らなかった。試すまでもなく田村が一年通したからだが、「若手捕手」の出場機会は減る事となった。
高木は江村という競争相手が減ったが昨年の22試合59打席から大幅に減らした。今年の数字の通り打撃の技術は信頼できるため、コンバート案も出てくるだろう。捕手のコンバートは現実世界でも軽々しく行われるが、それではいけない。オプションでファーストを付けるくらいが関の山だろうか。
プロ歴は違えど年齢が近いのも問題だった。チームを再建する段階で、若手主体にシフトすることの弊害を見つけた格好だ。
プロ一年目の奥脇も大卒なので23歳。まさかの小湊と同い年である。経験の積めない第三捕手にするには勿体ないし、かといって試合に出すには物足りない。結果二軍漬けになってしまっている。
捕手というポジションは育成することが難しい上に、世代交代する事もスムーズにいかないイメージがある。併用だと最初から決めていたとしても、三人も四人も捕手を併用するわけにはいかない。
奥脇と高木には、起用の選択肢を増やしながら捕手としては長期的な勝負をしてもらうしかない。チーム力という概念にキャリアを閉ざされる選手が陰では居るという事だ。GMとしてはそうならないように上手く運用しなければならないし、突きつけられている課題の一つである。ベテラン捕手が居ないというチームの穴を埋められるように努めていく。
また、捕手登録が五人しかいないため、今オフのドラフトでも捕手を指名することになろうが、高卒を指名することになるだろう。
来季への展望
田村がプロ入り以来初の二桁本塁打を記録したシーズンと大躍進だった(ゴールデングラブもベストナインも受賞できなかったが)。来季も田村を中心に回るが、小湊との併用とも言えようか。やはりそこにはここ数年の実績も加味されるし、今年は試合数に差が出来てしまったが実力は拮抗していると言えよう。
実力が拮抗している捕手が複数人いるというのは贅沢な悩みをもたらす。うまく起用していけばチーム力は倍になるだろう。
投手との相性などはゲームではわからないので、調子の良し悪しでの起用となる。勿論うまく起用できなかったからと言ってチーム力が半減するわけではないが、出来る事をやるに越したことはない。
判断できる材料をフルに使っていく事が采配においては大事だ。
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