将棋は精神力
将棋の敗因を分析して見えてきたこと
まだ、本格的には指していませんが、ちらほら将棋ウォーズで実戦を指すようになって痛感したことがあります。今日はそのお話をしたいと思います。
ウォーズを数十局指して敗因を分析すると、体感ですが負けた10局の敗因の内訳はこんな感じかと思います。
いわゆるポカ・・・4局
難しい局面での判断ミス・・・2局
時間切れ(時間切れが迫った中での指し手ミスも含む)・・・2局
純粋に力負け・・・2局
すなわち敗因のトップは単純ミスということです。また、時間切れについては純粋にウォーズに慣れていないとか時間配分などやはり棋力以外の要因と考えられますので、実に敗因のうち60%(いやそれ以上?)は実力以外の要因で負けているという感じです。自分の実力が出せずに負けることほど悔しいことはありません。
いわゆるポカをどう防ぐか真剣に考えた
このいわゆるポカというのは、つまり単なるミスではなく、指した直後に分かるようなはっきりした悪手のことを言っています。ポカを指してしまう原因としては、油断、気の緩み、局面が煮詰まるにつれて頭の方もヒートアップしてしまう、などが考えられます。
ポカを指すのも実力が足りないからだ、という声も聞こえてきそうですが、私はそうは思わず、ポカは意識すれば防げるものだと思います。
そして、これまでは、このポカに対しては少し寛容になりすぎていたきらいもありましたが、先日の対局で勝ちの将棋を負けたのがどうしても悔しくて本気でポカをなくすにはどうすればいいか悩み考えました。
まずは、問題の局面を上げます。
相手が最後のお願いとばかりに桂馬を成って来た局面です。私は、この局面は自玉が詰まなければ相手玉はほぼ受けがない状態なので勝ちと思い、半ば手拍子のような感じで、すぐに▲同玉と指してしまいましたが、これが大ポカでした。
すなわち、▲同玉のあと△6五桂から相手の王手が続き、どううまく逃げても角で王手金取りをかけられ攻め駒の金を抜かれてしまい、先手の劣勢になります。あとで、評価値を見るとそれでもまだ難しい勝負だったのですが、王手金取りを掛けられた精神的ダメージは大きくその後も粘ることなく負けてしまいました。
正解は、▲7九玉と引く手で、こうすれば相手の持ち駒に金がないので詰まないばかりか、王手で金を抜かれる筋もないので先手が勝ちになっていました。
この負けは本当に悔しく、負けてしばらくは茫然としていました。そして2度とこういうすぐわかるようなポカをしないためには『どんなに勝ちに見える局面でも、最後の1手まで「こうだからこう指す」とちゃんと一手一手指し手の理由付けをするくせを付ける』ようにする、という結論に至りました。
例えば、図の局面でしたら
1.相手の持ち駒に角があり、玉と攻め駒の金の配置がいかにも危うい形
2.成桂を取ったら王手金取りを掛けられる可能性が大
3.相手玉は受け無しに近い詰めろ
4.成桂を取らなければ詰みもないし、金を抜かれる心配もないので勝ち
とここまで考えて着手しなければなりませんでした。
このように、一手一手指し手の理由を考えることはとても大事なことです。
将棋は気持ちの面が本当に大事
将棋は怖いもので、始めは冷静に指すつもりでいても、難しい局面が続いたり、激しい応酬が続くといつの間にか冷静さを失い、不用意な一手を指してしまうということがよくあります。しかも、残酷なことに大体の場合その何気なく指した一手が命取りとなってしまうのです。
将棋は本当に精神力のゲームだと思います。プロ棋士の久保9段も将棋は精神面が大事ということに気づき、護摩行を行いましたが、なぜそこまでして精神力を鍛える必要があったのか、いまになってその意味がとてもよく分かります。また、実際にもその後棋王、王将とタイトルを取っていますので、やはり精神面を意識することは大事であると思います。
今回の負けを機に、どんなに勝ちの将棋でも最後の最後まで気を抜かずに一手一手を大事に指していこうと決めた次第です。