県代表の終盤力とは
県代表の実戦から
大体県代表クラスの方は、どのくらいの終盤力なのか?
今日はそれを検証したいと思います。
下図をご覧ください。
こちらは、県代表クラス(先手)と某AIソフト(後手)の終盤戦です。
現局面は、後手が△76桂馬と先手玉に詰めろをかけた所です。
ここから後手玉に即詰みがあります。
具体的な詰め手順
この局面から、先手の県代表の方は後手玉に詰みありと見て踏み込みました。
以下▲72歩成△同銀▲同角成△同金と進んだ局面がこちらです。
ここから、▲71銀△同玉▲83桂と打って次図です。
まずは、この▲71銀~▲83桂の一連の順がパッと浮かぶかがポイントです。
そして、次の局面に詰みがあると即座に判断することが出来るか。
▲83桂馬と打った局面で後手玉の逃げ方は、3通りです。
まず、△82玉は▲71角で一目早く詰みそうなので読みの候補から外していいでしょう。
さて、残るは△81玉と△61玉ですがそれぞれどう詰ますか?
まず、△81玉と逃げた場合。
ここは▲82銀と打ち捨てます。
この形では、▲71角の筋を実現させることが詰ますために必要であることをまず知っておくことが大事です。
以下△同金は、▲同飛車成△同玉▲71角△83玉▲82金以下詰みますし
△同玉も、▲71角△83玉▲72飛成△同玉▲81銀△83玉▲82金(結果図1)で以下玉をどこに逃げても即詰みです。
次に▲83桂と打った局面で、△61玉と逃げた場合の詰まし方についてみていきます。
△61玉と逃げた場合は、▲62銀と打つのが正解になります。
以下△同金の一手に、▲同飛車成△同玉▲71角(次図)とやはり▲71角の筋が実現しました。
▲71角以下は
△51玉であれば▲62銀△41玉▲42金△同玉▲53銀成以下、28にいる飛車も働いてきてぴったり詰みます。
また、△63玉と逃げれば▲53角成△同玉▲54銀と打って(結果2図)以下詰みになります。
いかがでしたでしょうか?
こうやって検討してみるとかなり膨大な変化を内包していることが分かります。
しかし、この一連の詰め手順を見るとキーとなるのは、最初の▲71銀△同玉▲83桂という定型的な詰め手順と、最後▲71角という筋を起点に詰ますというたった2つのポイントです。
結局何がいいたいか?
今回のお話の中で言いたいことは、2つです。
まず、県代表クラスの方は一番最初に掲載した図から、早指しでも即詰みがありそうだな、と目星をつけられるくらいの終盤力がある、ということ。
まあ、県代表クラスの方も序盤型、中盤型、終盤型と様々でしょうから一概に皆が皆とは言えませんが。大体はこのように実戦的な形であれば、20手近い手数であっても、即詰みありと判断するくらいの力はあると思ってよいでしょう。
そして2つ目、こちらが大事なのですが、強い人は玉を詰ますのに100%読みの力だけをたよりに行っているわけではない、ということ。
今回の例で言えば、先ほどの▲71銀~▲83桂のような順を知っていて、読まずとも知識の部分で読みを補って詰ましているという事が大事です。
終わりに
このように県代表クラスの戦いになると、長手数の詰みを逃さないといったことも大事になります。次回は、普段のトレーニングとして大体何手詰めくらいを解いていけばよいのか、についてお話ししたいと思います。