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3歳児に学ぶ 運の磨き方

息子は、気分によって、入浴をとてつもなく嫌がることがある。特に保育園帰り、19時近くになって帰宅すると、彼の疲れと空腹の度合いは限界に達するようだ。

保育園がある日ということは、私(と夫)は仕事の日だ。当然、夜ご飯の準備もそこからとなる。なので、夜ご飯の作り手としては、できれば料理をしている30分弱の間に、夫と息子でサッとシャワーを済ませてもらえると助かるのだけど、それがどうしても難しいようだ。

「ご飯が先がいい!」
「テレビ観たい!」

一日中保育園で遊び倒した疲れによるグズグズ状態も加わり、手がつけられなくなる。ここで対応をミスると、最悪の場合、せっかく慌てて用意した食事にも手をつけてくれない事態となる。

そこで始めたのが、バスボール作戦、だ。

効果は絶大なので、お風呂嫌いなお子さんを持つ親は、ぜひ試してみてほしい。100均でバスボールを買い込んでおき、どうしても今すぐ入浴させたいけどそれが叶わないというような、いざというとき、伝家の宝刀とばかりに出す。

さすがは伝家の宝刀、3歳児はこれでイチコロだ。お湯を溜める手間はかかるが、機嫌を損ねた子供をどうにか寝かしつけというゴールまで連れて行く大変さに比べたら、ちょろいもんである。

最近、どこに行ってもバスボールを見かけるが、流行るのにも頷ける。だって便利だもん。(我が家は数を消費するため、100均で安く済ませることが多いが)

そしてさらに、息子がバスボールに魅了され、使う頻度が増えてきたあたりで、作戦変更。

「バスボールは休みの日の『特別』にしよう!」

平日のスーパー作戦かのように紹介しておきながら、おいお前、結局節約するんかいという感じも否めないが、100円だって毎日続けば数千円。バカにならない金額である。

ただ、これは子供の可愛いところなのだが、彼らは「特別」というワードにめっぽう弱く、息子は案外すんなり受け入れてくれた。週末の特別を楽しみにすることで、平日のお風呂もスムーズに。

ということで、我が家は毎週末、休みの日はバスボールを使って入浴している。

念のため説明しておくと、バスボールとは、球体に固められた入浴剤(粉)の中に、小さいおもちゃが入っているもののことだ。お湯につけ、入浴剤が溶けるとおもちゃが出現する仕組み。その種類は多種多様で、アンパンマンやディズニーなどの各種人気キャラをはじめ、恐竜や昆虫、中には「ウンチ」をモチーフにしたものもあった。

「バスボールから何が出てくるか」を見届けるのは、ちょっとしたおみくじのようで、大人も割とワクワクする。パッケージの袋に書いてある「この商品から出てくる可能性があるのは、こんなラインナップです」という趣旨の紹介イラストを見ながら、あれがいい、これがいいと、自分の希望を伝え合う。この時間も、結構楽しい。

ただ、やはりそこはランダム(またはメーカーの采配)なので、希望のものが出ないことも少なからずあるのが現実だ。

そうなったとき、私や夫は自然な流れで「あー」とか「えー、またこれか!」などと言って大袈裟に悔しがるのだが、そんな私たちに息子は言うのだ。

「これが良かったんだよ!」

最初にそれを言われたとき、私は「?」となって、息子に対し、「え、違うのが良いって言ってなかった?」と聞いた。すると息子は断固としてこう答えた。

「出てきたのが、いちばんいいの!」

偶然自分の手元に訪れたものに対して、たとえそれが数秒前の希望とは違っていたとしても、「これが自分にとって最良」と言い切る息子は、なんだかかっこよかった。

メインキャラでもレアキャラでもない、名前も知らないようなキャラを洗面器に浮かべ、決して我慢しているとかではなく、本気で楽しそうに遊ぶ息子を見ながら、運を受け入れて自分のものにしていくって、こういうことなんだなと、私は思った。

息子はバスボールだけでなく、ガチャガチャでも同じ反応をする。

もちろん希望や好みは口にしていいし、むしろ口にするべきだと思う。でも、そうじゃないものが自分の元にやってきたとき、その偶然を喜べるか、不平不満を言いながら受け流すかで、その瞬間の幸せ度は大きく変わる。長い目で見れば、幸せな瞬間が多ければ多いほど、それはつまり、幸せな人生ってことじゃないか。100円と同じように、幸せだって、チリつも案件だ。

小さいおもちゃ(踏んだらかなり痛い!)が増えていくのは微妙だが、大切なことを息子に教えてもらった。


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yuki
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