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自立した人材で自律したチーム! 組織力の評価は成熟度モデルで!

分かっているようで難しい同音異義語。
先日、リスクアセスメント報告書に、「運用管理が俗人的…」と書いてしまい、同席されていた先方役員の方に悲しそうな表情をさせてしまったことがあった。「俗人的」ではなく、正しくは「属人的」でした。
 
一方、「体制」「態勢」はこだわりを持って使い分けている。「リスク管理体制」と「インシデント対応態勢」といったように。前者はなんとなく静的な〝器〟のイメージ、後者は動的な〝備え〟のイメージを強く持っているので。
ただ多くの企業はすべて「体制図」と説明される。〝形を作ったから大丈夫だろう〟と聞こえてしまって、〝形は作ったけど実は属人的〟なのではないのではないか…と邪推してしまう。
社内的にも対外的にも、「体制図はこうです」より「こんな態勢がある」と表明した方が、説得力があると思うのだが…。
 
さて、「自立」「自律」

  • 自立:ひとりで立てる…ということだから、「自分だけでできる」ということで、

  •  自律:自分を律する…ということだから、「自分をコントロールできる」ということかな。

よく使う言葉だけど、正直、正しい使い方がよくわかっていなかった。
そしたら、サッカー元日本代表監督・岡田武史さんがある講演で、『「自立」した選手と、「自律」したチームをつくる』とお話しされていて、なるほどと腹落ちした。
個人のスキルを磨き(自立)、そういう人たちが集まると、自ら考えながらチームとして最適な行動をとる(自律)ことができる…ということなのだ。
なるほど会社組織でも全く同じ! 個人のスキルを磨き、一人ひとりが高い意識で行動すると(自立すると)、おのずと組織のリテラシが向上し、自ら考えながらチームとして最適な行動をとることができ(自律的に)、その結果、属人的な形だけの体制図から、真の組織力(ガバナンス)が構築できる。
 
では「自立した組織」をつくるにはどうすればいいか。
最近、駅のトイレなどでよく見かけるこのような張り紙。以前は、「きれいに使いましょう」「汚さないでください」のような命令調が多かったのに。

たとえ紙の上でもこんなふうに理性に訴えられて感謝されると、掃除してくださる人のニッコリした顔が思い浮かび、反対にこれまでの命令調なら、目を吊り上げて怒っている顔が…。
 
組織に属していると、
・ 管理側は、ポリシ等ルールを定め、厳しく管理したり、行動を監視しようとする
・ 従業者側は言われたことはやる一方、言われていないことはしない…わけではない!
短絡的に厳しい管理を強要するのではなく、時間はかかるかもしれないけど、自律的な組織づくり=協力的で前向きな職場環境づくりに注力したほうが、急がば回れ…長期的な組織風土の醸成に。
 
そこで提案したいのが「成熟度モデル」
私はリスクアセスメントを行うときに〝成熟度〟の考え方を取り入れている。往々にして内部監査・自己点検、外部監査では、〝できている/できていない〟という[◯×評価]=現時点でのスナップショットになりがち。しかしそれでは、組織の真のレベルが測れないし、×→○にしたからといって目指すべき姿かどうかわからない。そもそも全ての×を◯にする必要があるのか? 

【5.0:最適化】=常にレビューが行われ、ビジネスニーズやコンプライアンスに基づき内容が改善されている
【4.0:管理】=遵守状況が、例外措置を含めて管理・把握できている
【3.0:定義】=ルール、計画、管理プロセスが定義され周知できている

【2.0:再現性】=個人依存、暗黙ルールなど再現性はあるが直感的な対応
【1.0:初期】=初期状態、その場対応
【0.0:不在】=問題の認識がない、必要性を感じていない
 
成熟度モデルを取り入れることによって組織のベースラインは3.0で、J-SOXや会社法の内部統制では限りなく4.0を求められていることが理解できる。
評価しやすくするために、成熟度モデルをテーマ毎にアレンジしてみるとわかりやすい。例えば「社内規程」にアレンジするとこんな感じ。
―――――
【5.0:最適化】=常にレビューが行われ、ビジネスニーズやコンプライアンスに基づき内容が改善されている
【4.0:管理】=社内規程の遵守状況が、例外も含めて管理・把握できている
【3.0:定義】=ルールや管理プロセスがオーソライズされ、社内規程として全社に周知できている
【2.0:再現性】=暗黙的なルールで運用。または属人的に文書化されており網羅性が確認できていない
【1.0:初期】=ルールは局所的で明文化されていない
【0.0:不在】=ルールの必要性を感じていない
―――――
単に社内規程があるか…という[〇✕評価]なら、1.0でも2.0でも〝あれば[〇]〟。しかし4.0を目指そうとするなら3.0が前提になるし、今が2.0では一足飛びに4.0は難しい。今が2.0ならまず3.0を目指すべき。これまでの取り組みを振り返ることができるし、これから先何をすべきかが示唆できる。つまり段階的にレベルアップしていくことで、成熟度が高い組織は、おのずとガバナンス強化に拍車がかかるというわけ。
ただ…成熟度という考え方が多くの組織の中に浸透してはいないのも事実。
「経営に理解してもらうのが難しい」と言われたり、「3.0から4.0にするためにはどうすればいい」と先に答えを求められたり。それらを自分自身で〝考えること〟こそ大切な取り組みだと思うのに…残念でならない!
 
(おまけ)
前に読んだ「People CMM」には評価指標とともに、以下のような方針(抜粋です)が謳われている。
▻      成熟した組織で、人的組織の真の実力が直接事業の成果に結びついている。
▻      人的組織の真の実力は、組織の戦略的事業目標に結びつけて定義されなければならない。
▻      知的集約型の仕事では、単なる仕事の要素から人的組織のコンピテンシに重点が移っている。
▻      組織は、事業の核となるコアコンピテンシを決定する人的組織のコンピテンシの真の力を改善することに投資しなければならない。
古い本だが、今でも通用する…いや、今だからこそ必要な教えのように感じる。成果だけで人事評価するのではなく、人の成長を計るためにも。人の成長は組織の成長の礎なのだから

#創作大賞2024


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