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音楽と時代の記憶 ~TOTOと共に歩んだ青春の日々~


1. はじめに

昨日、次男の自転車の修理のために隣の市までドライブする機会があり、ふと車内で懐かしいTOTOサウンドを堪能しました。現代ではスマートフォンひとつで音楽が聴ける時代ですが、あの頃のレコードやミニコンポ、カセットテープが私にとってはかけがえのない宝物であり、今もなお青春の日々を鮮明に蘇らせます。
ちなみに、車中で聴いているの2枚組のCDは「オールタイム・ベスト 1977-2011~イン・ザ・ブリンク・オブ・アイ-TOTO~」は、1977年から2011年までの12枚のアルバム等から全32曲が収録されているベストアルバム。「Rosanna」や「Africa」といったヒット曲はもちろん、私のお気に入りのインストゥルメンタル「Jake To Tne Bone」やマイルス・デイビスと共演した「Don't Stop Me Now」が収録されていて、スローなバラードから、AOR、ジャズ、少しハードなロックまで飽きの来ない構成になってます🎶

2. 音楽との出会いと個人的記憶

中学生の頃、ラジオから流れてきた「Stranger In Town」に衝撃を受け、TOTOのファンになりました。記憶に残るのは、私が2枚目に購入したレコード(LP)が『Isolation』だったこと。実は1枚目はビートルズの『Help!』。当時、AMラジオのFEN(現・AFN)で土曜日の午後に「全米トップ40」が放送され、洋楽に出会う貴重な機会となっていました。
また、アルバム発売後しばらくしてから、グラミー賞7部門受賞の大ヒットアルバム『TOTO IV(聖なる剣)』の存在も知ることになりました。こうした体験は、単なる音楽鑑賞以上に私の感性や価値観に深く影響を与えている気がします。

TOTOのオフィシャルサイト

TOTOの曲をご存じない方は、こちらの代表曲満載のライブ映像をご覧ください(なんと、2025年2月5日のロンドン公演、最新映像!)。

3. 当時のテクノロジーと音楽体験

中学生の終わり頃や高校に入る前の時期、ミニコンポが大流行していました。アンプ、デッキ、イコライザー、レコードプレイヤー、スピーカー、ウーハーがそれぞれ別々になっている機種に憧れ、お年玉を貯めて購入を目指していた日々。
私は、ケンウッド、デンオン、オンキョーといったブランドが並ぶ中で、ダブルデッキでドルビーCが使えるモデルにこだわり、捻出できるお金も限られる中で結果的にAIWAの製品を手に入れました。TOTOのレコードからお気に入りの曲を選び、テープに録音しては友人にプレゼントする―そのためにクロムテープやメタルテープまで購入していた当時のワクワク感は、忘れれられない思い出です。
(ちなみに、ダブルデッキの回転スピードに若干の不具合があり、録音した音楽が別の機器で再生されると、ほんの少しだけゆっくりと聴こえたのを覚えています。また、その直後にCDが普及し始め、レコードの黄金時代が終焉を迎えるのを実感したことも…)

4. 時代背景と文化としての音楽

あの時代は、レコードやカセットテープ、ミニコンポといった「モノ」に対する特別な愛着がありました。入手できる音楽媒体もラジオやレコードに限られていたこともあり、その希少性がかえって音楽への情熱を一層高めたのかもしれません。
高校生時代はFMのJ-Waveができて勉強中に流しっぱなしにしていたことも影響し、洋楽ばかり聴くようになっていきました。大学生になって以降はTOTOの来日コンサートに何度か足を運びました。その時点でお付き合いしていた方々も連れて行ったのですが・・・、音楽の趣味の合う/合わないはあったようです。
さて、Facebookなどで同じような思い出を共有する仲間たちからコメントをいただきました。私の勝手な類推ですが、私と近い世代の人々が共に歩んだ音楽体験が、個々人の記憶だけでなく、社会全体の文化として再構築されているのではないか、とも感じています。

5. 社会構成主義の観点から見る記憶と共感のメカニズム

ここからは、社会構成主義の視点をもとに、なぜこうした音楽の記憶やテクノロジーへの思い入れが、同世代の人々との共感を生むのかについて考察してみます。

5.1. 個人的記憶と集団的記憶の融合

類型①:個人的記憶の社会的再構築
個々の体験は、直接的な感情として心に刻まれますが、それが同時に集団の記憶として共有されることで、個人の体験はより豊かに、そして意味深く再構築されます。私の場合、TOTOや当時のオーディオ機器にまつわる記憶は、同世代の仲間たちと共有することで、単なる懐古ではなく、文化的なアイデンティティの一部となっています。

5.2. メディア技術の変遷と記憶の伝達

類型②:技術と記憶の媒介
レコード、カセット、ミニコンポといった媒体は、当時の音楽体験を形作る重要な要素でした。これらの技術は、音楽の「体験」を物理的な形で保存・伝達する役割を担い、その記憶は単なる聴覚体験を超えて、視覚や触覚、匂いまでも含めた全体的なノスタルジーへと変容します。

5.3. 同世代間の共感と共有文化

類型③:共感の社会的生成
FacebookなどのSNSを通じたコメントのやり取りは、個人の記憶が他者の体験とリンクし、共感の輪を広げるプロセスを象徴しています。同じ時代背景を持つ者同士が、共通の経験や懐かしさを語り合うことで、その記憶は社会的な資本となり、仲間意識を強固なものにします。

5.4. 歴史・時代背景が作る記憶のフィルター

類型④:時代背景と文化的フィルター
各時代には独自の音楽シーンや技術が存在し、その環境が記憶にフィルターをかけます。例えば、当時のAMラジオでの「全米トップ40」や、限られた音楽媒体の存在は、私たちの音楽体験に独特の枠組みを与え、今なおその時代の「色」を感じさせる要因となっています。

5.5. ノスタルジアの再生産と社会的アイデンティティの構築

類型⑤:ノスタルジアとアイデンティティの再生産
ノスタルジアは、単に過去を懐かしむ感情ではなく、現在の自分自身や所属するコミュニティのアイデンティティを再確認する重要な要素です。当時のオーディオ機器や音楽そのものが、私たちの生きた証として記憶に刻まれ、同世代との共感を生み出す土台となっているのです。

6. まとめ

現代は、スマートフォンやストリーミングサービスのおかげで、いつでもどこでも音楽を楽しめる時代となりました。しかし、あの頃のレコードやミニコンポ、カセットテープといった物理的な媒体に対する特別な愛着は、単なる懐古ではなく、私たちの個人や集団のアイデンティティを形成する重要な要素です。
TOTOの音楽や当時の体験が、今日の私たちにどのような影響を及ぼしているのか。個人的な記憶と社会的な共感の両面から、そのメカニズムを考えることで、時代を超えた文化の連続性や、ノスタルジアの持つ力を改めて実感することができます。
読者の皆さんも、ご自身の懐かしい記憶や、当時の体験を振り返り、その中に秘められた共感やアイデンティティの形成について考えてみてはいかがでしょうか。

こちらのYouTubeチャネルでは、TOTOの主要曲のライブ映像が紹介されています。
https://www.youtube.com/@gerald.c99





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あおさん
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