【マリオ&ルイージRPGブラザーシップ!】レビュー・感想
シリーズは 初代、2,3をプレイ済です。
サブイベントや探索、レベリングなどはほとんど行わず、メインシナリオを淡々と進めていくプレイでしたが、クリアタイムは28時間でした。
総合評価は……「5」です。(10段階中)
以下に理由を綴ります。それなりにネタバレあり。
■良かった点
〇独自性の高いバトルシステム
敵の攻撃を完全に回避したり、カウンターをすることができるというもの。
一般的なRPGは一定のレベル以上でなければ敵に勝つことはできませんが、
このゲームはプレイングによってはレベリングをしなくても敵に勝てるのでプレイテンポは(一般的なRPGと比較して)良いです。
特にボス戦は高難度であり、プレイヤースキルの上達による達成感も得られます。
〇アニメーションのクオリティが高い
イベントムービーや、待機モーションなどの細かい動き、兄弟の表情などがとてもコミカルで、見ているだけで楽しさが感じられます。
特に、兄弟が連携して技を放つ”ブラザーアタック”のアニメーションは迫力あるカメラワークで高クオリティです。
〇コネッタのキャラデザが良い
シンプルながらも原物の特徴を無駄なく生かした、秀逸なデザインだと思います。
■悪かった点
〇あまりにもテンポが『悪すぎる』
とにかくこれが一番つらかった…。
今作はとにかく無駄に歩かせるイベントや凡庸な会話が多く、
メインの島繋ぎイベントが特に酷いです。
【グラングラン島】
①チュートリアルバトルを計4回行う
②謎解きを2つ解く
③プラグ抜いて終わり
(中ボスなど、何かの障害を乗り越えたわけでもないので、
「一つのステージを攻略した」という実感がわきません)
↓ ウルーサの子供2人を探しに行く
【ツイス島】
①ワックス屋の島民を運ぶ
②ワックス届ける
③プラグ抜いて終わり
【ジャン・グール島】
①ザコ敵だらけの島を、ギミックを解きながら歩き回る
敵は2種類だけ(その内1体は色違い…)
②プラグ抜いて終わり
↓ グラングラン島に戻る
初のボス戦。ここまで2時間。
中ボスなどの特別な敵や魅力的なイベント、手ごたえのある謎解きやアスレチックはほとんど用意されておらず、基本的にはただ島を歩き回らせてプラグ抜いて終わりというだけです。
クリアタイムは28時間なのでボリューム自体は多いのですが、そのほとんどはこのような中身のない水増しに費やされた印象です。
バトルは基本的には面白いのですが、テンポは悪いです。
特に、敵と味方の攻撃演出がどちらも長すぎることは問題だと感じました。敵の体力が高く、長尺の攻撃をしてくる敵もそれなりにいるので、ザコ戦は基本的に退屈でした。
〇ストーリーやイベントの内容が浅い
ゲームボリューム自体は多いですが、そのほとんどは内容の薄いイベントに費やされている印象です。
キャラクターたちが深く絆を深めたり、精神的に成長するような展開も
無く「敵が現れたので兄弟が立ち向かう!」というだけ。
サブイベントは数回手を付けましたが、「ただ指定の場所に行っただけ」「ザコと戦っただけ」「アイテムを渡しただけ」こういった内容のものが多く、サブイベントの内容はあまり面白いとは思えませんでした。
イベントの内容が薄いので、当然キャラクターへの愛着も湧きづらいです。
コネッタのキャラデザは良いですけど、そのキャラクター性の深堀りが
充分に為されたわけではありませんし、その他のキャラクターに関しても
「”繋がり”というテーマを描くためにただ用意されただけのキャラクター」
という印象を受けました。
「グラングラン島の家族」はグラゴンとの関係性が説明不足すぎます。
和解イベントも子供たちの説得でしぶしぶ…といった感じなので、
絆パワーが生まれる納得感は薄いです。
「グズグズ団」は扱いに困ったのか、ずっと調査ばかりしています。
ただ集団で行動しているだけで、強く絆を深めるようなイベントは無いですし…
「カンダーン島のカップル」も改めて絆の深さを再確認するような見ごたえのあるイベントは無し…ボルドルド隊が何やら画策していたので、結婚式で襲撃でもされるのかと思いましたが、何ごともなく平和に終わりましたね。
「ディオード師弟」はどこかに現れては画一的なダンスを踊るだけの面白みのない存在。関連イベントの内容が薄すぎて師弟の絆の深さに納得感がありません。
「コネッタと先生」に関しては、終盤までコトゼットというキャラクターがプレイヤーにとって”知らない存在”であり、コネッタとの重要エピソードも描写されないので、絆の深さが伝わってきません。
今回のメイン悪役である「ボルドルド隊」。個性的で良いキャラクター
だと思いますが、扱いはすごく雑でしたね。もっとこのキャラクターに
関するイベントが欲しかった…
唯一「フレンとジュニア」に関しては、ある程度絆の深さが示されていると感じました。
〇”兄弟の絆”がそんなに描かれていない
「おまえたち兄弟の絆は本物だ!」といったような、兄弟の絆の深さを
客観的に説明されるシーンはあるのですが、兄弟が改めて絆を深める
ような、そういったエモいイベントはとくに無かったですね。
そういうの期待してたんですけど…
島の人々よりも、マリオとルイージの絆にもっと焦点を当ててほしかったと思います。
唯一、序盤にめちゃくちゃねっとり時間かけて
「マ~リオゥ!♡」「ルイ-ジィ?」 「マ-リオー」「ル!イー↗ジィ~⤵︎♡」の掛け合いやってくれるのはしつこすぎて良かったです。
今作ではマップ上でルイージを操作する必要がなくなりました。
マリオの後ろを勝手についてきてくれますし、マリオの指示一つで特定の作業を行ってくれます。それによって快適になった部分は確かにあるのですが、このシリーズの独自性が薄まっているとも感じました。
2人を操作することで攻略するギミックはほとんど存在せず、”マリオとルイージ”で謎を解いているのではなく、”マリオとAI”が謎を解いている感覚が常にありました。
番号パネルを兄弟で順番に踏んでいくギミックでは、ルイージが勝手に間違ったパネルを踏んで進歩を台無しにしてきます(?)
過去作のマリオとルイージはシステム上でも対等な関係であったように記憶していますが、今作のシステムからはその要素が悪い仕方で抜け落ちているように思えます。
■総評
「全体的なテンポはかなり悪く、シナリオも浅いが、バトルは面白い
ゲーム」
プレイ時間を水増しするのではなく、規模を縮小してクオリティを高めて
ほしかったなという印象です。
昔の私のように、子供 (及びゲーム慣れしていない人) は単調なお使いイベントや水増しなんて気づかずに、楽しんでプレイすることでしょう。しかしそれは ”子供向けに特化”しているわけではなく、単なる”子供騙し” なのではないでしょうか。
今回は不満点が多かったですが、このシリーズは少しの変化で極めて面白いゲームになると感じています。特にバトルにおいては唯一無二のゲームだと思うので、シリーズ自体は続いてくれることを願っています。
■その他 細かい所感(重大なネタバレあり)
・ことあるごとに兄弟がお互いの名前を呼びあうのが良い。
・大ボスのBGMすき。サントラほしい。
・大ボスの内、最初の3体はボルドルド隊が生み出したぽっと出のモンスターであるため特別感が薄い。同じことを繰り返しているような感覚がある。
・カメックの攻撃ながすぎー
・アダップルさんを連れてくるくだり不要では?結局協力せずに帰っちゃう し…「何のためにこれやってたんだろ…」という気持ちになる。
・ゼツエン状態って”孤独を求める状態”だと思うんだけど、なぜか狂暴化
し群れを成して襲い掛かってくる敵。
・ゼツエンクッパかっこいい(小並
・コネッタのデザインは良いんだけど、殆どの場合シナリオの進行上必要なことしか話さないのでNPC感が強くて愛着が湧きづらいというのはある。大灯台でも何もせずに後ろついてくるだけだし。
・いざラスダンヘ!みたいな雰囲気出しておいてキズナ集めのために各地を歩き回らせる展開には辟易した。特に面白いイベントも起こらないし。
・キズナ集めのくだりで「マリオとルイージの絆」やってほしかった。
・ボルドルド隊のキズナイベント自体はつまらないけど、手をつないだだけであっさり絆パワーが生まれるのはなんか良い。
・オムスビさまのカップめっちゃ固いのなんで?
・オムスビさまがカップ混ぜてくるの、本当になんで…?
・オムスビさまとのコラボブラザーアタック、面倒で使いどころがない。
・というかオムスビさまのくだりいる?
・ラスダンの冗長な燭台部屋は何のために設置したのかが理解できない。
・兄弟が花に寄生される展開自体はよかったけれど、精神世界でのラスボスとの追いかけっこが長すぎて流石に面倒だった。無理にアスレチックを組み込まなくてもいいと思うんだけど…
・ラスボス戦には正直がっかりした。冗長すぎて面倒くささが勝ってしまうし、後半戦BGMもなにか特別なアレンジが入るわけでもなく、ハイテンポになっただけという印象。過去作のBGMと比較すると、魅力を感じない。
・ラスダン、ラスボスはごちゃごちゃ詰め込みすぎていると感じた。
もっと不要な要素を間引いて簡潔な構成にしてほしかった。
(ダークゼツボッチとゼツボッチコア、いらなくない?とは思う)
・過去作もそうだったと思うけど、同じブラザーアタックを使い続けるだけの単調な戦闘になることが多かった。ゲーム側の構成によって別の技も使っていけるように誘導してほしかったとは思う。
・戦闘中のルイージの行動をAボタンで選択する仕様には最後まで慣れなかった。
・見たところ、ボスとの再戦ができるような施設はないのだろうか?
ボス戦前のセーブデータを残しておこうにもデータスロットが5つしかないからなぁ…
・バトルプラグシステムは悪くないが、不便さも目立つ。
プラグ同士のシナジーを考えて戦略を構築していくことは面白いが、
「この2つを組み合わせるとこうなるんですよ!」といちいちレクチャー
してくることには若干の不満がある。
付け替えの手間と、使い切らなければ充電できない仕様も改善すべき。
・今作には 「ころび」「ゼツエン」「やけど」などの状態異常が存在するが、これらにはアイテムを使う以外の対処法が存在せず、理不尽に感じることも多かった。
「操作が逆になる」「コマンドの難度が上昇する」「視界が悪くなる」
「タイミングがシビアになる」など、プレイヤースキルによって被害を軽減できるデザインであったならゲーム性ともマッチしているはずだし、遊びの幅が広がったのではないか、とは思う。