声に出していう事
ワイナリーの立ち上げを始めて半年ほど経ち、つくづく感じる事はなんでも「声に出す」という事。
ワイン業界の経験はあっても、栽培の経験もましてや来年から始まるであろう醸造の経験もない中で、ワイナリーを立ちあげるという事は簡単ではない。
もちろんやる気はあっても、自信や根拠なんてひとつもない。
それでも千葉市を盛り上げたい、千葉市に残る文化にしていきたいという大義を持って進めてきました。
最初は実は逃げ道を作りながら、自分以外の誰かが責任をもっているような、そんな話し方をしていたと思う。
「葡萄は何を植えてるんですか?」
一番多いこの質問に、事実ではあるのだけれど「前任者が苗を急遽購入したので、サンジョヴェーゼとカベルネ・フランと。。。全部で7種です。」
”こんなところに、この品種植えて困っちゃいますよね。”そんな意味を込めた話し方をしていると、あたりまえだけれど誰の胸にも響かず、同業者には冷めたい目で見られることも。
そんな時も、どこか自分ではなく他の誰かに目を向けられていると思っていた。
けれど、同じことを何度も話すうちに「まてよ?こんな事を言っていても現状は良くならないし、誰がこんなワイナリーを応援したいと思うんだろう?」そう思うようになり、自分が最初にこのワイナリーで成し遂げたいと思っていた千葉のワインが世界で評価されるようになるという目標をこのままでは達成できないと大いに反省しました。
野球の大谷翔平ではないけど「ワイナリーやワイン醸造家にあこがれることはやめる。自分もワイナリーを運営する側に行くのだから虚勢でも良いから自信を持とう」と決意。
葡萄の品種については本意ではなかったとしても、それで出来る未来の話や面積に対しての品種が少なかったことを改善する施策を打っている事、来年の圃場拡張ではここまでやるという話をするようにした。
葡萄に半年触れてくる中で、経験も得たこともあるかもしれないが栽培や葡萄の品質を上げるためにやりたい事なども臆せず話したし、勉強不足なことは頭を下げて教えを請うた。
クラウドファンディングを始めるころには、未来の話やワイナリーを通じて何を成し遂げたいかなど、多くの人の前で話してきた。
沢山の人に話すことで、考えもどんどん整理され洗練され、自分の言葉になっていった。
自分の言葉で話すことで、物事に説得力が生まれ、また自分に対しても責任が生まれて、自らもその言葉から自信を持つ勇気をもらった。
何か新しい事や大きなことにチャレンジするとき、誰もが成功する保証が無く、もちろん今でもこのプロジェクトの成功が保証されているわけではないが、声に出して多くの方に知ってもらう事で自分たちだけ知っていたモノから、話したすべての人から認識されるコトになる。
数の力は偉大だ。
これからも多くの方に千葉市ワインを言葉に出して伝えていくだろう。
千葉市だけでなく、日本中、世界中に。
その話した一人ひとりから自信と力をもらえると考えただけでもわくわくする。
未来の自分はどこまで成長できているだろうか。