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本当の強さを身に付ける
いつだったか、彼が言った。「僕は、貴方を好きな気持ちには自信がある。でも、自分に自信がないんです」と。
私は言った。「不安だと言う人の隣で生きていくのは、もっと不安です」と。
今思えば、私は全てを彼のせいにしようとしていた。二人で生きていくのなら、彼にないものは、私が補えばよいだけだ。
逃げたかった。仕事から。入庁2年目で、異例の決算リーダーを任された。泊まり込みで頑張っても、それでも追い付かず、トイレで泣く日もあった。
辞めてもいいよと言ってくれる人が欲しかった。だから、忙しいのに、そんな暇もないのに、マッチングアプリを始めたのかもしれない。
条件的に、彼は私を窮地から救ってくれる人では到底なかった。でも、何故だろう、彼の瞳があまりにも優しくて、穏やかで、…今思えば、惚れにくい私が、生まれて初めて、一目惚れをした瞬間だったのかもしれない。
彼は、想像していた以上に、複雑な背景を抱えた人だった。それらを、本当の意味で受け止めることができるだろうかと、日々悩んだ。
楽になりたくて踏み入れた世界で、新たな悩みに向き合う毎日は、過酷だった。私は、逃げた。しかも、どこまでも真っ直ぐに愛してくれた彼を、一番傷つける言い方をして。
できることなら、時計の針を巻き戻したい。「来てくださいましたね」と、彼が待ち合わせ場所で微笑んでくれたあの瞬間に。
けれど、それはどう足掻いても、できっこない。もう遅いのかもしれない。もう、間に合わないのかもしれない。それでも、できることがあるとすれば、ぶれない強さと優しさを身に付けること。これだけだと思う。
年明けの一月、大きな仕事を二つ、同時並行で進めていかなくてはいけない。遅れも誤りも、絶対に許されない。正直、不安しかない。
でも、今度こそ笑顔で、心に余裕を持って、やり遂げてみせる。助け出してくれる誰かに縋る他力本願ではなく、乗り越える強さを自分自身の中に育てたい。
彼が元気にしているのか、今はそれさえも分からない。でも、いつかきっと、笑顔で会える日が来ると信じている。
ただ、仮にもしも、もう素敵な人と巡り会っているのなら、…そのときは、彼の幸せを願って、それで終わりにしようと思う。しばらくは落ち込むかもしれないけれど。
今のところ、リフレッシュ休暇なのか、病休なのか、理由は知り得ないが、当面出社していないらしい、というところで話が止まっているので、もうしばらく、彼への「好き」を継続してみようと思う。…いつか、会えたらいいな。
noteを読んでくださっているじゃむぱんだ様が紹介してくださった歌がとても素敵で、心情がリンクする。
歌詞の中に、「あなたは私の希望」というフレーズが出てくる。彼が、同じことを言ってくれたことがあった。今は、どう思っているのかな。
「お願い どこかで笑ってて それだけでいい」終盤の歌詞に、涙が溢れた。本当にそう。どこかで笑っていてほしい。
願いは届くだろうか。
明日から、また日常が始まる。待ちぼうけの日々だけど、少しは気も紛れるのかな。前向きに、強く、逞しく、素敵な毎日を作っていきたい。
改めて、支えてくださる方々、励ましてくださる方々に感謝の気持ちを込めて。ありがとうございます。
全ての人に幸せが訪れますように。
頑張りすぎない程度に頑張っていきましょう🕊️