美を極めたい
秘書課のイケメン君に、「髪切った?めっちゃ可愛い。似合ってる」って言われた。普通に嬉しかった。
しかしながら、現在音沙汰のない彼がかつて褒めてくれたときの喜びには程遠い。
彼は、「なっちゃんの瞳が美しすぎて、見惚れてしまっていた」とか言ってくれる人だった。
もしかしたら、もう死ぬまで会えないのかもしれない。うっすら覚悟の欠片みたいなものはあるが、会える日が来ると信じたい自分がいる。
だけど、もしも会えたとして、私は彼を散々振り回し、傷付けるような理由を告げて去ったから、彼はもう振り向いてはくれないようにも思う。
それでも、私という人間を見たとき、どこまでもキュンとしてほしいし、僕はやっぱりこの子を嫌いにはなれないと、彼のハートを掴みたい。
だから、ただ待ちぼうけするのではなく、昨日より今日、今日より明日、美しいを更新し続けたい。
幸い、コツコツ努力するのが得意。目標を立て、計画を練り、地道に頑張る力には自信がある。
私は身長が高めで目鼻立ちがはっきりしているタイプなので、小柄で華奢な、THE・女子を狙うと、痛い感じに仕上がってしまう自覚がある。
だから、髪や歯、体型のケアをしっかり並行して、長谷川潤さんや、すみれさんのような、健康的で、かっこよさも兼ね備えたトータルビューティーを狙っていきたい。
本当は、彼に会いたくて、ただただ寂しくて苦しい。結局のところ、気を紛らわせたいだけなのだと思う。
ただ、どうせ同じ、気を紛らわせるなら、前向きで生産性のあることをしたい。ただそれだけ。
いつか彼に、「見惚れてしまった」ともう一度言ってもらえる日が来ますように。
おやすみなさい。