彼の中から消えた私
心のどこかで期待していた。
僕には貴方が必要なんだと言ってくれるのを。
けれど、彼も人間だ。
こんな身勝手な私の相手を、いつまでもしてくれるわけもない。
音信が途絶えてから、彼のいいねが倍近くに増えた。新しい人を見つけてやるんだというエネルギーが伝わってきた。
もうそこに私はいない。
「貴方のことを好きな気持ちは誰にも負けない」そう言っていた彼の心に、私という存在はもはや微塵も残っていなかった。
一か月後、彼は「退会済」と表示されていた。
私をブロックしたのか、恋人ができてやめたのか。いずれにせよ、私は彼の人生から抹消された。
私がここにいる意味はない。その日のうちに、マッチングアプリを退会した。