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連絡を絶った日①

正直なところ、何を理由にして連絡を絶ったか、全く覚えていない。記憶が欠落している。

ただただ余裕がなかった。限界だった。
それだけしか記憶にない。

仕事なんて休んでしまえばいい。身体のほうが大切だと言う人もいる。けれど、そんな訳にもいかなかった。

職場の先輩方は、本当に私のことを可愛がってくれた。どんなに忙しくても、分からないことは丁寧に教えてくれ、笑顔が見たいからと、好物のお菓子を山程買って来てくれたこともある。

私は知っていた。ある先輩は毎日3時間睡眠で頑張っていることも。ある先輩は陰で薬を飲んでいることも。

もし私が欠けてしまったら、彼らはどうなるだろう。更に負担が掛かって倒れてしまうかもしれない。家庭のある人もいるから、幼い子が路頭に迷うかもしれない。

それだけは絶対にあってはならないと思った。
彼には申し訳なかったと思う。でも、そうするしかなかった。

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