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民主国家でおきている政治の劣化、今こそ国のために働く政治家を選ばなけれならない

イギリスにおいて

7月末から8月上旬にロンドンとオックスフォードをまわってきました。そしてイギリスの研究者(筆者は大学研究者)やビジネスマンと話す中で「イギリスは政治が不安定化しており、首相も頻繁にかわる。そして、保守党から労働党に政権が移ったが、ますます政治は不安定化するであろう」という話が頻繁に聞かれた。

そのようななかで「3人の女の子が殺害された事件が起き、犯人は亡命希望者だという意識的なフェイク(偽)情報がインターネット上で拡散され、暴動に発展した。このフェイクニュースは単なるきっかけであり、国民には不満が充満しおり、それが爆発したのだ」と説明された。

また「日本とイタリアとイギリスで進めようと合意した次世代戦闘機開発が反故にされる」というニュースが流れてきた。イギリスの民主主義も漂流していると感じる。

アメリカにおいて

今年3月にワシントンDCに行き、友人の元米連邦議員と話をした。彼との話で印象深かったのは「アメリカにおいては国会議員のなり手がいなくなりつつある」ということだ。

その時点で、2024年11月の連邦議員選挙においても現職の議員が30名近く出馬しないことを決めていた。その中には私が付き合っていたマイク・ギャラハー下院議員も含まれており、非常に残念な気持ちになった。

彼は私と同じように博士号を二つ持つ学者タイプの政治家でありアメリカ議会においても政策を作れる議員として評価されていたのだ。日米の若手議員交流会も一緒に事務局を行っており、非常に近い関係だったが、彼も政治家を辞めると聞き非常にショックだった。

前連邦議員の友人の話によると、アメリカの国会議員は3つの理由で政治家をやめるという。

一つは給料が安いこと。年間20万ドル約3000万円と日本から見ると非常に高い給料だが、アメリカでは物価が上がっており、ニューヨークなどのレストランで働くとチップなどを含め1000万円以上の給与をもらうことができる(ニューヨークではちょっとしたレストランに行くとディナーで4、5万円掛かる)。

相対的にアメリカの国会議員の給料は安くなっている。マイク・ギャラハーだけでなく知り合いの上院議員も議員をやめて医者に戻ることを決めた。私が付き合っていた外交などに関心がある連邦議員はこのままではいなくなるのではないかと憂慮している。

また、2つ目の理由として家族さえもプライバシーを奪われるというのがある。SNSに議員本人だけでなく家族のことも書かれてしまう。家族に大きな迷惑をかけることを嫌う政治家が多いといっていた。これは民主党と共和党が激しく争う中から生まれた現象であり、とにかく選挙相手を批判し引きずりおろすこと、相手である政治家のみならず相手の家族までを巻き込みスキャンダルで叩くということがアメリカで起こっていると言っていた。

そして3つ目にあるのが、政治家が全く尊敬されていないという現実。アメリカという国のために一生懸命働いても国民からは、社会をどんどん悪くしている存在というふうに見られており、調査でも政治家はなりたくない職業になっていると聞いた。友人はアメリカにおいても政治家のスキャンダル暴きが横行しており、政治家に対する評価は非常に低くなっていると嘆いていた。

私も彼に対して、日本も同じであると伝えた。マスコミが政治家のスキャンダルを叩くため政治家に対する評価は著しく低くなっており、またプライバシーも全くない状況になっていると話した。

ちなみに10年前のデータでは、なりたい職業の141位が政治家で、140位はなんと「入れ墨師」でした。2023年の中高生を対象とした調査ではなりたい職業ナンバーワンは「大学教授・教師」でした。確かに筆者は大学教授に戻った現在、周りから受けるストレスは全くない状況だ。

前下院議員の友人は、「250年前に初代大統領ワシントンは民衆が理性的にリーダーを選ばなくなる民主主義の危機が来る」と予言していた。これが現実になろうとしていると言っていた。日本も同じ状況になりつつあると思う。

日本においても

確かに世界中において民主主義国家が迷っている。日本も岸田総理がつぎの自民党総裁選挙への不出馬を公表し、日本も総理大臣の交代が決定した。円が安くなり、インフレがひどくなり、株の一時的な暴落が起きた時点での総理の交代は日本にとっては大きなマイナスだと私は考えている。

一方で、ロシアや中国といった専制的国家が力を増しており、民主主義が試されているという状況にあると私は思っている。

ちなみに、オックスフォード大学の調査で、現在世界にある190近い国家の中で民主主義国家は90カ国と全体の約半分しかない。人口で見るとなんと2/3が非民主主義国家に住んでいる。これらの国々は、ロシアの戦争や中国の言論統制も支持している。

民主主義が不安定になる中で、専制的な国が戦争を起こしている。ロシアとウクライナの戦争、イスラエルとパレスチナの戦争、イランとアメリカの戦争、また、中国も戦争を起こす可能性がある。民主国家と違いトップが専断すれば戦争も始まってしまうのだ。

おそらく年内に総選挙が起きる可能性は高い。

そのような中で、本当に日本のために働く政治家を今こそ選びだし、国のために働いてもらう必要があると、政治家を経験した身だからこそ強く感じる。

2024年8月15日 アイアン

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