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イタリア語 時制の一致 4

こんにちは Minori です。YouTubeで学ぶイタリア語。今月のテーマは《時制の一致》です。第4回目から取り上げるのは,こちらのチャンネル,Lingua Italiana Insieme です。

解説してくれるのは,この Simona。彼女の解説は,一言でいうと《力強い》。毎回,ものすごく力が入っています。私が思うに,彼女もかなりの文法オタクです。時に,深堀りしすぎて,ドツボにハマる?こともありますが,こちらのチャンネルもお勧めです。動画だけでなく,ポットキャストや練習サイトも充実しています。今回も,動画を翻訳しながら,ご紹介していきますが,私が口を挟んだ部分には 👧 マークがついています。今回は,《主節》の動詞が《従属節に接続法を要求しない動詞》で,時制が《直説法現在》の場合の《時制の一致》の解説です。
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みなさん,こんにちは。私たちのチャンネルへようこそ。

(しばらく,チャンネルの宣伝が入りますので,ここは省略します。)

さて,本日のレッスンに入ります。今回は,C1,C2レベルの上級文法のレッスンです。テーマは《時制の一致》についてです。さっそく,《時制の一致》とは何かを,見ていきましょう。

イタリア語で《動詞の時制の一致》について話すということは,常に,主節の動詞の時制と,従属節の動詞の時制との《接続》,つまり両者の関連性と接続の規則について話すことです。繰り返しになりますが,《動詞の時制の一致》とは,主節の動詞の時制と,従属節の動詞の時制との間で,《文中》における接続の規則のことを指します。

主節と従属節間における接続,つまり,接続の規則について話す時に《文中》と言った場合,その文とは複文la frase complessaを指して言っているということを強調して申し上げておきます。

複文la frase complessaとは,《複数の動詞から構成されている文》のことです。つまり,少なくとも2つ以上の動詞から成り立っている文章ということで,時には,3つ,4つ,それ以上の動詞で構成されることもあります。(動詞の数は)どれだけ,複雑な文章を作りたいかによります。例えば …。

Luca va al mare.

と言った場合,これは単文la frase sempliceです。なぜなら,(文章の中の)動詞は va ひとつだけだからです。 では,これならどうでしょう。

Luca va al mare quando è estate.

この文章には,いくつ動詞があるでしょうか。この文章の中には vaè の2つの動詞があります。動詞が 2 つあるという事実により、この文は《単文》ではなく《複文》に変換されました。

つまり,主節の動詞の時制と,従属節の動詞の時制の一致について話す時,その一致は《複文》において起こります。つまり,文章中に《複数の動詞》が含まれている文章内で起こるということです。これはとても重要なポイントです。なぜなら …。

Luca va al mare.

このような《単文》には動詞が一つしかなく,動詞同士のつながりが存在しないからです。動詞が一つしかなく,それだけで機能しているため,この場合(単文の場合)には,《時制の一致》のルールは存在しません。

主節と従属節の時制の一致のルールを見ていく前に,主節la frase principaleとは何か,従属節la frase subordinataとは何かを簡単にご説明しましょう。これを理解するのは,とても簡単です。今から皆さんにちょっとしたコツをお教えします。

Elisabetta è tornata in Italia → 単文1
エリザベッタはイタリアに戻った。
      +
perché ha trovato un lavoro → 単文2
仕事を見つけたので
       II
      複 文
Elisabetta è tornata in Italia perché ha trovato un lavoro.
仕事を見つけたので,エリザベッタはイタリアに戻った。

è tornataha trovato ,それぞれ動詞を1つずつ持つ2つの《単文》が,1つの《複文》を構成しています。

《単文》とは,単に1つの動詞から構成される文であり,2つ以上の動詞から構成される《複文》とは異なるのです。先ほどの複文を見て下さい。

Elisabetta è ritornata in Italia perché ha trovato un lavoro.

では,この文のどの部分が《主節》で,どの部分が《従属節》なのでしょう。答えはいたってシンプルです。《主節》とは,その文単独で意味をなし,他の要素がなくても意味が成り立つ文章です。一方,《従属節》とは,その文だけでは意味をなさず,意味が成り立つためには,他の要素を必要とする文です。

この文の主節は,Elisabetta è ritornata in Italiaエリザベッタはイタリアに戻ってきたです。なぜなら,この文だけで意味が成り立っているからです。この一文から,会話を始めることができます。「エリザベッタがイタリアに戻って来たんだよ」と。この一文から,小説を始めることができます。この文は,これ以外の要素なしで,一文だけで意味をなしています。

一方,Perché ha trovato un lavoro.彼(彼女)は仕事を見つけたからもし,私がこの文章だけを言ったなら,それを聞いた人は私にこう言うでしょう。「なんのために?分かんない!」って。だって,この文は,単独では存在できませんもの。他の情報がなければ、意味が通じません。

常に,小説の始まりを想像してください。 Elisabetta è ritornata in Italiaエリザベッタはイタリアに戻ってきた という文章からは,小説を始めることができます。これは非常に良い始まりです。理解できます。では,Perché ha trovato un lavoro.彼(彼女)は仕事を見つけたからという文で小説を始められるでしょうか? Perché ha trovato un lavoro.彼(彼女)は仕事を見つけたからという一文で始まる小説を読んでいるところを想像してみてください。読者のあなたが自問する最初の問いは、「なんのために?誰が?仕事を見つけたの? 」ということです。この文を理解するために必要な情報、「なんのために,誰が仕事を見つけたのか」という部分が欠けているのです。つまり,この文章を理解するために,このような問いを,必ずしなければならなくなります。《主節》というのは,小説を始める事ができ,それ一文で意味をなしているもので,《従属節》というのは,それだけでは小説を始めることはできず,他の情報が必要とするものです。なぜなら,《従属節》というのは,その意味を成すために《主節》に依存しているからです。Elisabetta è ritornata in Italia という《主節》は,《従属節》に意味を与える情報です。この《主節》がなければ,《従属節》の Perché ha trovato un lavoro. という文は,意味を成しません。

それでは,文の構造を考える練習をしてみましょう。今,見たばかりのこのテーマについて,つまり,《主節》と《従属節》を見分ける練習です。よろしいですか?

文章を考えるのが苦手なので,本から抜粋します。

Non posso andare in vacanza se non finisco gli esami.
試験を終えない限り,ヴァカンスにいけません。

《主節》と《従属節》を見つけてください。この《複文》を構成する2つの《単文》のうち,どちらから小説を始めますか?
《主節》は,Non posso andare in vacanza で,《従属節》は,se non finisco gli esami です。なぜなら,Non posso andare in vacanza は,単独で完全な意味を持っています。

Marta è rimasta in ufficio fino a tardi perché non ha finito il suo lavoro.
マルタは遅くまでオフィスに残っていました。なぜなら,彼女は自分の仕事を終わらせなかったからです。

《主節》は,Marta è rimasta in ufficio fino a tardi で,《従属節》は,perché non ha finito il suo lavoro. です。なぜなら,Marta è rimasta in un ufficio fino a tardi という文は,小説を始めることができるからです。

Volevo venire alla tua festa ma mi sono ammalata.
あなたのパーティに生きたかったのですが,体調を崩してしまいました。

《主節》は,Volevo venire alla tua festa で,《従属節》は,ma mi sono ammalata です。Volevo venire alla tua festa は,単独で意味をなしています。

主節と従属節の違いを説明したので,次は《一致》,つまり,複文の中で,主節と従属節の時制の関連性のルールに移りましょう。

《複文》では,主節と従属節が時間的に結びついていて,時間軸上で,《現在》《過去》《未来》から成り立っています。そのため,主節と従属節は,《3つの異なる方法》で,時間的に関連付けることができます。

主節と従属節は,時間的に《同時》に起きる場合があります。その場合は,主節と従属節は《同じ時制》を持つことになります。また,主節と従属節は,時間的に異なる2つの瞬間に起きる場合もあります。つまり,主節が従属節より《前》に起こることもあれば,逆に,主節が従属節より《後》に起こることもあります。

主節と従属節の間にある《3つ》の異なる結びつきを理解するために,例を挙げてみましょう。

このレッスンでは,主節が《直説法現在》の場合のみをみていきます。そして,接続法についてはふれません。主節が《直説法現在》であり,《従属節》に《直説法》を用いる場合の《時制の一致》についてのみ解説します。

最初の例から始めましょう。《主節》と《従属節》が,《同時》に起こる場合です。

Studio perché mi piace.
好きだから勉強する。

主節は,Studio で,従属節が perché mi piace です。主節には《直説法現在》を用い Studio。従属節にも《直説法現在》を用い perché mi piace となっています。

主節に《直説法現在》を使用する場合,《従属節》にも《直説法現在》を使います。この場合,主節と従属節の間には同時性contemporaneitàの関係が生まれ,主節と従属節は,時間軸上で同じ瞬間に起こる(起こっている)ということで,2つの文 Studio perché mi piace も,どちらも《現在》に起こります。例えば,今日は3月16日火曜日だとしたら,3月16日火曜日に《勉強する》,3月16日火曜日に《好きだから》ということです。

次に,《主節》と《従属節》との間に作ることができる,2つめのタイプの関係を見ていきましょう。2つ目の接続のタイプは,先行性anterioritàと呼ばれます。これは,時間軸上で,《従属節》が《主節》よりも《前》に起こることを意味します。《主節》が《現在時制》で,《従属節》は《過去時制》である時,《従属節》は《主節》よりも《前・過去》の時点に起こります。

Io studio perché ho capito l'importanza dello studio.
勉強の重要性を理解したので,勉強します。

Io studio が《主節》で,perché ho capito l'importanza dello studio が《従属節》です。《主節》は《直説法現在》で,《従属節》は《直説法近過去》の場合,2つの文の間に 先行性anterioritàの関係が生まれます。これは,《従属節》が,《主節》よりも時間的に《前》,つまり《過去》に起こることを意味します。また,《従属節》に《直説法半過去》を使っても,この関係を作ることができます。もちろんそれは,《行動の種類》によります。

Sono in forma perché andavo in palestra.
ジムに通っていたので,元気です。

このように言うことができます。主節は,Sono in forma で,《直説法現在》。従属節は perché andavo in palestra で,《直説法半過去》。この場合,《特定の行動》ではなく,過去の不明確な行動un'azione imprecisa nel passatoについて話しているので,従属節に,《直説法半過去》を使っています。《主節》が《直説法現在》で,《従属節》が《直説法半過去》でも,2つの文の間に 先行性anterioritàの関係を作ることができます。

👧 《過去の不明確な行動》とは,具体的な開始や終了の時点が定義されていない過去の行動,という意味です。つまり,過去に何度も行われたが,いつ始まって,いつ終わったかが特定できない,《継続的》または《習慣的》な行動を指します。過去のこのような行動については,イタリア語では《直説法半過去》が使われます。

それでは,《主節》と《従属節》の間に作ることができる3つめの関係を見ていきましょう。《主節》と《従属節》の間には,後行性posterioritàの関係も作ることができます。後行性posterioritàとは,《従属節》が《主節》より《後》に起こることを意味します。つまり,《主節》が《直説法現在》で,《従属節》が《直説法単純未来》であるということです。2つの文は,後行性posterioritàの関係になります。

Mi alleno perché parteciperò alla maratona.
マラソンに参加するので,トレーニングをしています。

mi alleno が《主節》で,《直説法現在》。perché parteciperò alla maratona が《従属節》で,《直説法単純未来》です。私は現在トレーニンしていて,未来にマラソンに参加する,という意味です。

まとめると,《複文》で,主節が《直説法現在》である場合,同時性contemporaneitàの関係を作るためには,従属節でも《直説法現在》を使う必要があります。そして,先行性anterioritàの関係を作るためには,従属節には《直説法近過去》または《直説法半過去》を使い,後行性posterioritàの関係をつくるには,従属節に《直説法単純未来》を使う必要があります。

それでは以上です。すべて明確にお伝えできたことを願っています。もし,質問があればコメントをお寄せください。次回のレッスンでは,《主節》が《過去時制》の場合を解説します。
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はい,お疲れ様でした。今回はここまでです。では,復習も兼ねて,第1回目でご紹介した Lucrezia の解説と比較してみましょう。《主節》が《直説法現在》の場合の時制の一致です。

まず,複文における,主節と従属節の《時制における関係性》を表す《3つの組み合わせ》をしっかり確認してください。

主節と従属節が《同時》なら,contemporaneità。従属節が,主節よりも《前・過去》のことであるなら,anteriorità 。従属節が,主節よりも《後・未来》のことであるなら,posteriorità です。

主節《直説法現在》と従属節の関係が 
contemporaneità である時,
従属節には《直説法現在》を用いる。

この点については,LucreziaSimona も共通しています。ただ,Lucrezia は,主節に用いるのは,基本的には《直説法現在》だが,Ho appena detto che … のような,《現在に限りなく近い過去》も,形の上では《直説法近過去》であるが,これも《現在の動作》と,イタリア人は考えている,という説明をしてくれていました。

主節《直説法現在》と従属節の関係が
anteriorità である時,従属節には
《直説法近過去》または,《直説法半過去》
または,《直説法遠過去》を用いる。

Simone は,《直説法近過去》か《直説法半過去》のどちらかだと解説していましたが,Lucrezia は,そこにさらに,《直説法遠過去》を使うという選択肢もあると解説し,その使い分けについても触れています。

主節《直説法現在》と従属節の関係が
posteriorità である時,
従属節には《直説法単純未来》を用いる。

はい,とりあえず,ここまで,頭で整理しましょう。

次回は,Simone が予告していたように,《主節》が《過去時制》の場合の時制の一致の解説動画を取り上げます。

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