日本文学で学ぶイタリア語:人間失格11
こんにちは Minori です。
いやいや,暑い,暑い,暑いっ!
連日,命の危険を感じるほどの
暑い日が続いております。
日中は人っ子一人,外を歩いている
人間はおりません。
その上,雨が降らないっ‼️
2ヶ月,いや下手したら3ヶ月,
雨を見ていない….。
庭に水をやるも,焼け石に水。
毎年ね,せっかく買ったお花,
夏にだめにしちゃうんだ。
これも,無駄。
無駄といえば,警報機。
ここは泥棒が多いから,
警報機をつけている家庭が多い。
うちはつけてませんけどね。
夏はヴァカンスで,家を長期で空けるし,
警報機が欠かせないらしい。
でも,これがさぁ,よく誤作動するのよ。
大音響で,ウォ〜ん,ウォ〜ん,鳴るわけさ。
今朝も朝の4時頃から,ウォンウォン。
30分とか,下手したら1時間位
鳴りっぱなしなわけ。
で,たいてい誤作動のことが多い。
意味ないよね,まったく。
日本文学で学ぶイタリア語。
本日は11回目でございます。
人間失格の《はしがき》。
3枚目の写真の描写部分を読んでいます。
なんの特徴もない男の写真。
年の頃も分からない。
表情もなければ,印象さえない。
だが,この写真の男が,
最も奇怪だと語っています。
印象のない写真が,最も奇怪だというのは,
矛盾しているようにも思えますが。
本日読む部分はこちら。
今回はこの3文だけで
終わってしまいそうです。
🐌🐌🐌🐌🐌 のろのろぉ〜。
それでは早速1文目から。
〜がない というと,つい
Non c'è … と言いたくなりますが,
ここは avere でございますよ。
tratto。trarre の過去分詞と,
男性名詞の2つが考えられますが,
ここは un solo …に続いていますので,
男性名詞 tratto でしょうね。
この単語,調べたら意味が
めっちゃめっちゃある超多義語。
こういうの,ほんと困る。
まあ,ここは 2 の意味でしょうね,
複数形じゃないけど。
Non ha un solo tratto.
(3枚目の男の顔には)
ただ一つの特徴もない
↓
何の特徴もない
che 以下は tratto の補足説明。
tratto che non sia banale
banale は,平凡な,ありふれた,
ありきたりな という意味の形容詞。
ド直訳するとこうなります。
平凡じゃない特徴❓️
つまり,独特な特徴,個性的な特徴,
目立つ特徴,際立った特徴,
ってことですよねえ。
素直に,目立った特徴は何もない
って言えばいいのに。例えば。
なのになんで,わざわざ
NON ha un solo tratto
che NON sia banale.
平凡 [じゃない] 特徴が [ない]
と,二重否定の回りくどい言い方
すんだろうねぇと思います。
ないが,ない。
いやぁ,慣れないわあ〜。
確かに,イタリア語の文で
よく見かけるんですよ,こういうの。
イタリア語の特徴なんですかね。
ヴァレにちょっと聞いてみました。
👱♂️ 単純に,独特な特徴がない,
というより,二重否定を使うことで,
否定の度合いが強調される。
平凡じゃないところがない,
つまり,すべてが完全に平凡だ,
と強調して際立たせる効果がある。
例えば ….。
Non c'è niente che non possa fare.
彼にはできないことは何もない。
👱♂️ つまり,Può fare tutto. 彼は何でもできる
ってことなんだけど,二重否定で言うと,
さらに彼の能力の高さが強調される。
👧 言われてみれば,
知らない人は誰もいない
っていう表現,あたしたちも使うよね。
なるほど,二重否定には,強調の機能が
あるのねぇ。
👱♂️ そうだよ,君たちだって言ってるじゃん。
[できない] ことは [ない]
行きたく [ない] わけじゃ [ない] とか。
こっちこそ,分かりにくいよ。
できるの?できないの?
行きたいの?行きたくないの?
まったく分からない。
👧 確かに….。😅
目をつぶった瞬間,どんな顔だっけ?
思い出せないくらい,特徴のない顔。
ここのイタリア語翻訳文で,注目したいのが,
動詞 dimenticare 。
日本語で「忘れる」に当たる語には,
他動詞の dimenticare と,
再帰動詞の dimenticarsi があります。
辞書で調べると,どちらにも「忘れる」と
書いてあるので,どうも使い分けが分からない。
ricordare もそうですよ。
他動詞 ricordare と,再帰動詞 ricordarsi があって,
ついている日本語訳はどちらも「覚えている」。
ヴァレに聞いたところ,
どっち使ってもいいけど,
使い方とニュアンスに違いがあるよ,と。
それが知りたいのよぉ。
まず,使い方の面から考えます。
他動詞 dimenticare は,他動詞ですから,
《忘れる対象》は,直接目的語となりますので,
前置詞を介さず,動詞の直後に置かれます。
一方,再帰動詞 dimenticarsi は,
《忘れる対象》は,前置詞 di を伴います。
一旦,ここまでを整理します。
《〇〇を忘れる》の
〇〇 の部分に 名詞 を使う場合は,
dimenticare 〇〇
dimenticarsi di 〇〇
《忘れる対象》に,前置詞 di を
つけるかつけないかというだけの話。
では,不定詞を使って《〇〇するのを忘れる》
と表現したい場合はどうでしょう。
他動詞 dimenticare も,再帰動詞 dimenticarsi も
di + 不定詞 を続けて《〜するのを忘れた》を
表現することができます。
dimenticare di 不定詞
dimenticarsi di 不定詞
不定詞を使う場合は,他動詞 dimenticare も
前置詞 di がいるよって話。
ここまでOKでしょうか。
両者の使い方大きく違うのは,
複合時制の形ですね。
他動詞と再帰動詞ですから,
複合時制にする場合の助動詞が異なる
ことは言うまでもありません。
dimenticare → Ho dimenticato
dimenticarsi → Mi sono dimenticato/a
このルールさえ守っていれば,
どっち使っても基本的にはいいよ,
とのことですが…。
次はニュアンスの違いで考えます。
ヴァレに聞いたり,ネットで調べたり,
ChatGTP に聞いたりしたことをまとめると,
どうやらこんな微妙な違いがあるらしい。
他動詞 dimenticare と使うときは,
ただ単に《忘れる,忘れた》という事実を
述べたいとき だそうで,
そこに話者の特別な感情は入っていない,と。
とまあ,単に《忘れたこと》のご報告的な感じ。
で,あえて 再帰動詞 dimenticarsi を使う場合は,
忘れる行為が《無意識的》に行われたこと,
《自分の不注意》に対する《感情》が強調
されている。
ここからは私の持論でございますが,
おそらくこういうことかと。
要は,忘れた と 忘れてしまった
の違いなんじゃないかと。
😳 どゆこと❓️
例えば,外国人日本語学習者に,
こう尋ねられたら,どう説明します?
👨🦱 「忘れた」と「忘れてしまった」の
違いってなんですか❓️
例えば「電車に傘を忘れた」と,
「電車に傘を忘れてしまった」って,
意味が違うんですか❓️
どちらも話者が,電車に傘を置いたままに
したことは同じ。
でも,明らかにニュアンスが異なります。
〜てしまう にもいろんな用法が
あるんですが,この 〜てしまった は,
そのつもりではないのに,
ある事態が実現することを表す。
「無意識」と「不注意」の
ニュアンスがプラスされている。
〜てしまった を使うと,
取り返しがつかないことをしてしまった
という話者の《残念・後悔》の感情が
伝わってきます。
👩 : Hai lavato i piatti?
お皿洗った?
👧 : Oh no, mi sono dimenticata!
あっ!忘れちゃったぁ!💦
ここで,👧 が,他動詞 dimenticare で,
Ho dimenticato! と言うと,なんとなく,
ニュアンスの違いを感じます。
忘れたことに,なんの罪悪感も
感じてないというか…。
他動詞ってのは,基本的に,
したいからする,自発的に,意図的に,
意識的にする行為に使うからでしょうか。
さらにネットには,他動詞 dimenticare は,
《忘れる対象》,つまり直接目的語が
基本的には必ず必要で,単独で使えないよ,
という書き込みがありました。
こういうことです。
dimenticarsi は Mi sono dimenticato!
忘れちゃった!と動詞だけで使えるけど,
dimenticare は,Ho dimenticato! と,
動詞だけで普通使わないよ,とのこと。
Ho dimenticato!
と聞くと,イタリア人はきっと
「何を?」が気になってしょうがないんだろう。
「何を」がないことに,ものすごい居心地の
悪さを感じるんじゃなかろうか。
👱♂️ それは,そう。
dimenticare と dimenticarsi の微妙な違いが
なんとなく分かったところで,
今回のイタリア語翻訳文を見てみる。
するとまた,ひとつ疑問が湧いてくるのよ。
me la dimentico subito の la ってなに?
👱♂️ la sua faccia
👧 la って,直接目的語代名詞 よね。
じゃ,おかしくない?この文。
me la dimentico 。
再帰代名詞 me があるってことは,
この dimentico は,再帰代名詞 dimenticarsi
ってことでしょ。
でも,直接目的語代名詞 la をとっている。
これ,おかしいと思いませんか?
だって,再帰代名詞 dimenticarsi の
「忘れる対象」は,前置詞 di を伴うんでしょ?
ちなみに la を la sua faccia に戻すと…。
Mi dimentico subito della sua faccia.
della sua faccia は,直接目的語代名詞 la
に置き換えられないよねえ。
ここは di + 名詞 を置き換える ne を
使わんといけないんじゃないのか?
Me ne dimentico subito.
どうしても la を使いたければ,
他動詞 dimenticare 使って,
こう言うべきでしょ。
Dimentico subito la sua faccia.
↓
La dimentico subito.
納得いかないっ‼️
ME LA dimentico subito って,なにぃ?
👱♂️ まあ,こういうことは結構ある。
理由はざまざま。文のリズムとか,
伝えたいことを強調したいとか。
mi dimentico subito.
それは自分の記憶から,
無意識に意図せずに
すぐに消え去ってしまう。
何が? la sua faccia なんだけど,文脈から
la sua faccia ってのは分かるから,
この単語は繰り返したくない。
じゃ,ne を使うかっていうと,ne だと,
何を指してるのかがいまいち曖昧だ。
ここははっきり la = la sua faccia
としようって考えたんだろう。
真意のほどは翻訳者に聞いてみないと,
分かりませんがね。
とにかく,読んでるのは初心者なんだから,
ちゃんと文法通りのイタリア語使ってよね,
と言いたい (●`ε´●)
はい,本日はここまで。
普段気になってた dimenticare と
dimenticarsi が出てきちゃったもんだから,
今回もほとんど前に進まず…。
最後に 短い会話文を作って見ました。
dimenticare と dimenticarsi の
ニュアンスの違いを感じてください。
👩: Ciao, sei pronto per partire?
どもっ!出かける準備できた?
Hai preso tutto ciò che ti serve?
忘れ物ない?
👧: Oh no, ho dimenticato la patente!
やだっ!免許証忘れたっ!
👩: Davvero? E come hai fatto a dimenticarla?
まじで❓️なんで(免許を)
忘れちゃったの?
👧:Non lo so, mi sono completamente
dimenticata.
知らないよ,完全に忘れちゃったんだもん。
Sono uscita di fretta e me ne sono dimenticata.
急いで出かけたから,忘れちゃったんだよ。
👩 : Capisco. Succede a tutti, ma è un peccato
che tu non l’abbia controllato prima di uscire.
分かるよ,誰にでもあるからことだからさ。
でも,出かける前に確認しなよねえ。
👧:Sì, lo so. La prossima volta starò più attento
a non dimenticare le cose.
はいはい,次は忘れ物しないように気をつけます。
🇮🇹 Skype イタリア語 レッスン 🇮🇹
Skypeで,オンラインイタリア語
プライベートレッスンをしています。
イタリア語講師歴30年。
日本人が陥りやすいミスを熟知
しております。
日本語が話せるので,イタリア語が
あまり話せない方もご安心ください。
日本語で解説します。
現在,イタリアにおりますので,
日本時間の夜中でも対応できます。
詳しいレッスンのご案内
無料体験レッスンのお申し込み
お問い合わせもお気軽に‼️
お待ちしています 🤗