
従属動詞の複合時制,助動詞は essre? avere?
こんにちは Minori です。YouTubeで学ぶイタリア語,今回はおなじみ Raff の動画をご紹介します。
日常頻繁に使う従属動詞,イタリア語では i verbi modali とか i verbi servili と呼ばれていて,一般的には dovere, potere, volere の3つの動詞を従属動詞としていますが,potere と同じようなう用法・意味 で用いられる sapere も含まれることがあります。
従属動詞というのは,後ろに別の動詞の不定詞を伴って Devo parlare ,Posso entrare,Voglio mangiare といった使い方をする動詞ですが,この動画はこのような従属動詞を使った文を複合時制にするときに使用する助動詞は avere なのか essere なのかを考える動画です。従属動詞が従える動詞(不定詞)が《自動詞》の場合,《他動詞》の場合,《再帰動詞》の場合,さらに《受動態》になった場合,複合時制の助動詞には essere を使うのでしょうか,avere を使うのでしょうか❓️自信を持ってすぐに判断することができますか❓️また,このような文で直接目的語代名詞を使う場合,置く位置はどうしたらいいのでしょうか❓️そんな疑問に答えてくれる動画です。いつものように,動画の内容をそのまま日本語に訳してご紹介していきますが,ところどころ私が補足している部分があります。その部分には 👧 マークをつけました。それでは行ってみよう‼️
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ようこそ,Raff です。この動画では,従属動詞 dovere, volere, potere と一緒に使われる助動詞について解説します。まずは,一般的なルールを見ていき,その後,より特別なケースや少し疑問の残るケースについても取り上げます。
1.従属動詞を単独で使う場合
まず,これらの動詞(dovere, volere, potere)が単独で使われる場合は,複合時制の助動詞は常に avere が使われるところから始めましょう。例えば …。
Ho potuto …
Avrebbe dovuto ….
Non ha voluto ….
👧 従属動詞(potere, dovere, volere)というのは,通常,後ろに動詞の不定詞を従えて使用する動詞ですが,Raff が言う「従属動詞が単独で使われる場合」というのは,従属動詞が後ろに不定詞を従えないで,それだけで使う場合という意味です。
もちろん,これらは私たちが注目しているケースではありません。私たちが関心を持っているのは,従属動詞が不定詞を伴う場合です。例えば,Non posso uscire「出かけられない」,Devo parlare 「話さなければならない」のような文です。これらの文を過去形,つまり複合時制にするときの話です。では,このような文で複合時制を作るときに用いる助動詞は essere でしょうか,avere でしょうか。
2.基本ルール
もっとも簡単で確実なルールは,従属動詞の後に置く動詞(不定詞)の助動詞を使うことです。例えば ….。
Non ho potuto parlare.
話すことができなかった。
この場合,動詞 parlare は複合時制を作るとき,助動詞に avere を用いる動詞です。ですから,補助動詞を使う場合でも,そのルールに従って助動詞には avere を使います。一方 … 。
Sono dovuto uscire.
出かけなければならなかった。
動詞 uscire は複合時制を作るとき,助動詞に essere を用いる動詞です。ですから,補助動詞 dovere と組み合わせた場合も助動詞には essere を用いることになります。
興味深いのは,これは従属動詞だけに起こる現象で(従属動詞以外の)他の動詞が不定詞を伴う場合には起こりません。例えば,動詞 preferire で見ていくと …。
Ho preferito dirlo.
Ho preferito tornare presto.
このように,常に助動詞には avere が用いられます。
👧 補足します。preferire も,後ろに不定詞を続けて使うことができる動詞ですが,preferire の後の不定詞が,助動詞に avere を使う動詞 dire でも,助動詞に essere を使う tornare でも,複合時制の助動詞は avere 一択であるということです。
ここでは 従属動詞 Verbi Servili について話しています。(従属動詞は)Verbi Servili や Verbi Modali と呼ばれますが,同じ意味です。私も時々 Verbi Servili と言ったり,Verbi Modali と言ったりします。とにかく,私がここでお話しているのは,dovere, potere, volere の3つの動詞についてです。
3.過去分詞の語尾と主語の性・数の一致
助動詞に essere を使う場合,過去分詞は主語と一致させることを忘れないでください。
Anna è dovuta uscire.
アンナは出かけなければならなかった。
dovere の過去分詞 dovuto の語尾が - a になっています。これは女性単数形で,主語 Anna に一致しています。一方,助動詞に avere を用いる場合は,主語との一致はありません。
Anna non ha potuto parlare.
アンナは話すことができなかった。
👧 助動詞に avere を使う場合は,主語が女性でも,potere の過去分詞 potuto の語尾は - o のままでいいということです。
しかし,助動詞に avere を使う文で【直接目的語代名詞】を使う場合は,直接目的語代名詞を置く位置でルールが異なります。従属動詞と不定詞の組み合わせの文において,直接目的語代名詞の位置 は,《動詞の前》と《不定詞の語尾に結合》の2通りから選ぶことができます。例えば ….。
Gianna ha voluto invitare Anna.
ジャンナはアンナを招待したかった。
👧 この文の不定詞 invitare の直接目的語 Anna を直接目的語代名詞 la にして「ジャンニは彼女を招待したかった」という文にするなら,どうするのかって話です。
Gianni ha voluto invitarla.
このように,直接目的語代名詞 la を不定詞の語尾に結合させる場合は,従属動詞 volere の過去分詞 voluto の語尾を直接目的語代名詞の性・数に一致させる必要はありません。しかし …。
Gianni l'ha voluta invitare.
このように,直接目的語代名詞 la を動詞の前に置く場合は,従属動詞 volere の過去分詞 voluto の語尾は,直接目的語代名詞の性・数に一致させて voluta としなければなりません。
以上のルールがもっとも確実で,またもっとも広く使われているよううに思います。このルールに従っていれば,安心して使うことができ,誰からも間違えていると言われることはないでしょう。
4.許容されているケース
しかし,実際には(従属動詞が従える動詞が)助動詞に essere を使う自動詞であっても(複合時制の)助動詞に avere を使うことが可能であることもあります。日常的な会話では,essere を使うべき自動詞に対して avere を使うことも広く許容されています。したがって,次のような表現も完全に間違いではありません。
✅️ Ho dovuto andare.
✅️ Aveva potuto andare.
✅️ Avremmo potuto partire.
👧 これは驚きです。従属動詞が従えている動詞 andare, partire は自動詞ですから,本来,複合時制を作るときの助動詞は essere ですよね。ですから,セオリー通りなら,ここは …. 。
Sono dovuto[dovuta] andare.
Era potuto[potuta] andare.
Saremmo potuti[potute] partire.
👧 このようになるはずです。ですが,avere を使うことも許容されてるってぇ❓️どういうことなんでしょうか。続きを聞いてみましょう。
ここで私が「助動詞に essere を使う動詞」というのは,entrare, uscire, partire, andare, tornare といった自動詞を指しています。これらの動詞は通常,(複合時制を作る場合)助動詞に essere を用います。したがって,従属動詞とともに使う場合でも,複合時背荷の助動詞には essere を使います。ですが,これらの動詞に関して,実際には助動詞に avere を使うことも可能なんです。つまり …。
Anna è dovuta uscire presto.
Anna ha dovuto uscire presto.
このように,助動詞に essere を使っても avere も使って言ってもいいということです。ですが,前述したように助動詞に essere を使う場合,従属動詞の過去分詞 dovuto の語尾は主語の性・数に一致させる必要があります。一方,助動詞に avere を使う場合は一致させる必要はありません。こちらも前述のルール通りです。
この二つの文は許容されていますが,文法学者や文法書によっては意見が分かれることがあります。ある学者たちは,どちらも同じでどちらを使っても違いはないと考えています。一方,他の学者は最初の文(助動詞に essere を使った方)を使うほうが望ましいと考えています。つまり,不定詞 uscire の助動詞 essere を使うほうがいいということです。私もそのほうが好ましいと考えています。学生にもそのように勧めています。
👧 なんと,従属動詞が従える動詞(不定詞)が自動詞であっても,複合時制の助動詞に avere を使うことも許容されていると Raff は言っています。ですが,王道のルールはやはり essere ですから,私も essere を使うべきだと考えます。Raff の話から察するに,こういうことだと思います。日常会話でよく使われる自動詞 entrare, uscire, partire, andare, tornare については,複合時制の助動詞に avere を使ってもよしとされている,ということだと。しかし、許容されているとはいえ essere を使う方が無難でしょう。
次に例外的なルールについて見ていきましょう。
不定詞が受動態の場合
不定詞が再帰動詞の場合
以上のケースで,助動詞には essere を使うのか avere を使うのかを解説しています。
5.従属動詞が essere を従える場合
例外というのは,従属動詞が従える動詞が essere の場合です。essere は複合時制を作るとき,助動詞に essere を使う動詞です。
Non sono mai stata a Genova.
Il film è stato bello.
Sarebbe stato meglio che ….
このように,essere の複合時制は 助動詞 essere を使って作ります。しかし,動詞 essere が従属動詞の後に続く場合は,助動詞は常に avere を使います。
Avrebbe potuto essere più gentile. ⭕️
Sarebbe potuto essere più gentile. ❌️
彼はもっと親切になれたかもしれない。
Ho voluto essere il primo a congratularsi con lei. ⭕️
È voluto essere il primo a congratularsi con lei. ❌️
私は彼女にお祝いを言う最初の人になりたかった。
→ 私は彼女に最初にお祝いを言いたかった。
👧 わぉっ‼️これは知りませんでした。だって,従属動詞と essere を組み合わせて文章が作れるなんて,思いもしませんでしたから。
6.従属動詞が受動態を従える場合
次に受動態の文ではどうなるか見ていきましょう。つまり,従属動詞 dovere, potere, volere が受動態の不定詞(essere + 過去分詞)を従える場合です。この場合も複合時制の助動詞には常に avere を用います。
Avrebbe dovuto essere informato prima.
彼には事前に知らされるべきだった。
essere informato 「知らされる」は,受動態の不定詞です。ですから,ご覧のように avere を用いて複合時制を作ります。しかし,この場合,過去分詞の語尾を主語の性・数 に一致させる必要がありますが,一致させる過去分詞は,受動態を作っている過去分詞 informato のみです。主語を女性にして文を作ってみます。
Anna avrebbe dovuto essere informata prima.
アンナには事前に知らされるべきだった。
(受動態を構成している)過去分詞 informato の語尾を,主語(女性単数)に一致させ informata とします。ですが,従属動詞の過去分詞 dovuto の語尾は主語に一致させる必要はありません。(助動詞に avere を使っているからです。)主語が複数形になるとこうなります。
Gianni e Paolo avrebbero dovuto essere informati prima.
(受動態を構成している)過去分詞 informato の語尾は主語 Gianni e Paolo (男性複数) と一致させ informatiとします。
7.従属動詞が再帰動詞を従える場合
もっとも複雑なのは,従属動詞が再帰動詞を従える場合です。なぜなら,助動詞 avere, essere の選択は,再帰代名詞の位置に依存するからです。
👧 つまり,再帰代名詞の位置によって,助動詞に avere を使うか essere を使うかが決まる,ということです。わぉっ‼️
実際は,これがより一般的な規則であることが後で分かります。最後にいくつか例を挙げますが、ここで私が特に再帰動詞について話しているのは、部分的には物事を単純化するためであり、部分的にはそれが私にとって最も適切でよくあるケースであると考えるからです。
(従属動詞が再帰動詞を従える文で)再帰代名詞は《動詞の前》に置くこともできるし,《不定詞の語尾に結合》することもできます。例えば,再帰動詞 svegliarsi で文章を作ってみます。
Mi devo vegliare presto.
Devo svegliarmi presto.
私は早起きしなければならない。
この2つの文の意味は全く同じです。ですが,この文を複合時制にすると,再帰代名詞の位置によって使う助動詞が異なります。
Mi devo svegliare presto.
↓
Mi sono dovuto svegliare presto.
このように,再帰代名詞を動詞の前に置く場合,複合時制の助動詞には essere を使います。一方 …。
Devo svegliarmi presto.
↓
Ho dovuto svegliarmi presto.
このように,再帰代名詞を不定詞の語尾に結合する場合には,複合時制の助動詞には avere を使うことになります。もう一つ例を挙げましょう。
Gianni si sarebbe voluto sposare.
Gianni avrebbe voluto sposarsi.
ジャンニは結婚したかっただろうに。
助動詞に essere を使うなら,今まで言ってきたように過去分詞の語尾を主語の性・数に一致させる必要があります。主語を Gianni (男性単数)から,Anna (女性単数)に変えてみましょう。
Anna si sarebbe voluta sposare.
Anna avrebbe voluto sposarsi.
助動詞に avere を使う場合は,性・数の一致は必要ないことは言うまでもありません。先ほども申し上げたように,これは再帰動詞に限ったルールではなく,一般的なルールです。ですからこのルールは 代名小詞 ci にも適用されます。
Non ho potuto andarci.
そこに行けなかった。
助動詞に avere を使いました。なぜなら,代名小詞 ci の位置に《不定詞の語尾に結合》を選択したからです。
Non ci sono potuto andare.
一方,この文では助動詞に essere を使います。代名小詞 ci の位置に《動詞の前》を選択したからです。
ですが,実際は(さらに複雑になるのですが)両方の文(再帰代名詞を動詞の前に置く文と,不定詞に結合させる文)のどちらにも助動詞 essere を使うことができます。Lucas Arianni の文法書にはこう書かれています。
Nei tempi composti l'ausiliare è quello dell'infinito quando il pronome atono è anteposto al verbo reggente ( " Non di sono potuto entrare." perché si dice "sono entrato"), può essere quello del verbo servile quando il pronome è enclitico ( "Non ho potuto entrarci," come si dice assolutamente "ho potuto"; ma è altrettanto corretto: "Non sono potuto entrarci".)
彼(Luca Serianni)はこのように言っています。代名詞が動詞の前に来る場合は … 。
Non ci sono potuto entrare.
このように,不定詞 entrare の助動詞を使用します。自動詞 entrare は,複合時制の助動詞に essere を要求しますから,Non ci sono potuto entrare. となります。
一方,代名詞が後置される場合,つまり,不定詞の語尾に結合される場合(これを encilitico 後置代名詞と呼びます),不定詞 entrare の助動詞 essere または 主動詞 potere の助動詞 avere (の両者)を使うことができます。最初に申し上げましたよね,従属動詞を単独で使用する場合の複合時制の助動詞は avere です。ですから,次のように言うことができます。
✅️ Non ho potuto entrarci.
✅️ Non sono potuto entrarci.
さっきの状況と似ていますね。何人かの文法学者によると,この2つの文章は同等であり,Non ho potuto entrarci. も Non sono potuto entrarci. もどちらも正しいとされています。(助動詞に essere を使っても avere を使っても)どちらでも問題はないと。一方,他の文法学者によると,Non ho potuo entrarci. という方が望ましいとされています。ですが,実際は Non sono potuto entrarci. も許容されています。
個人的には,代名詞を不定詞の語尾に結合させる場合は avere を使う方がいいと思っています。つまり,Non ho potuto andarci. です。そして,代名詞を動詞の前に置く場合は essere を使って Non ci sono potuto andare. と言うのが好ましいと考えていて,生徒にもそうするように指導しています。
今日はここまです。動画を見てくださりありがとうございます。気に入っていただけたら,高評価をお願いします。チャンネル登録も忘れずに。
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いかがでしたでしょうか。初めて聞くことも多かったです。一度聞いただけでは、なかなか頭の中が整理できませんが、以前から気になっていたことが少しすっきりした気がします。この従属動詞と助動詞,さらには目的語代名詞との関係、検定ではどのように出題されるのか、そのあたりも気になりますね。いやいや、さすが Raff 先生、いつも重要なポイントを分かりやすく解説してくれますね。今回もお付き合いありがとうございました‼️次回の記事でまたお会いしましょう。
🇮🇹 Skype イタリア語 レッスン 🇮🇹
フィレンツェ出身のイタリア人,
Valentino がオンラインでイタリア語を
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