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消防士が後輩の"現場力"を高める指導するときのコツとは?(3)
前回の続きになります。
初めてご覧になる方はこちらから
では、ここで前回のおさらいしておきます。
後輩の自立支援を促すポイントとして
「可能な範囲で裁量を与える」でした。
また、裁量を与える際に情報をしっかり与え、判断させる。
ということでした。
今回は
自立支援を促すポイント2
行動の意味を腹落ちさせる。
自立支援を促すポイント3
有能感を高める挑戦と評価
のこれら2つをご紹介します。
1.行動の意味を腹落ちさせるとは?
業務の中には”気が進まない””面倒だ””やりたくない”などと感じていても行わなければならない業務があります。
そういった業務に対して行動へと導くことが必要です。
ex:)資機材点検、雑用
・だるいなぁ
・どうせやらなくても同じだし
こういったマインドから
・自分の役目だ
・大切な作業だ、しっかり行おう
とさせるためには
指示や意味を自分のことと受け入れ、行動の意味を肯定させる。
つまり納得(腹落ち)させることが重要になってきます。
ただ腹落ちするのは指導者ではなく、あくまで後輩本人なので指導者が出来るのはその支援だけになります。
2.”とにかく君のためなんだ”
よく使ってしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか?
行動の意味や価値を腹落ちしないまま
ただ指示通り行動することは自立を促すのではなく、
反対に自分で自分を統制させているだけです。
「これをしなければならない」と考えるのではなく
感じさせられているのです。
それではその時間は学びの時間にはならず、ただの指導者の押し付けになってしまいます。
会社でいやいや働く人のイラスト(男性)
3.そもそもなぜそうするのかわかってない
たとえば
・なぜ、いちいち行動を声に出さなければいけないのか?
・なぜ、三連梯子の架梯角度は75度なのか?
・なぜ、三点支持が原則なのか?
・・・など
これらの疑問(Why)に納得できないと、手順を簡略化してしまうこともあります。
→なぜそうしないといけないのか、伝える&質問しやすい雰囲気作りが必須となってきます。
「こうすればいいんだよ」や「こうしとけば上の人に怒られないからそうしろ」などは問題外です。
結果だけ伝えられても、中身が備わっていなければならないです。
4.有能感を高める挑戦と評価
「誰でも生まれつき、”自分自身を試したい、よりうまくなりたい”という有能感に対する欲求を持っている。」
有能感とは 挑戦 + 自発的取り組み + 自分でやり遂げる ことによって得られます。
この有能感を高めるためには、金メダルも、日本新記録などを、とることも必要ありません。
必要なのは自分にとって意味のある挑戦をし、ベストを尽くすことです。
なので、指導者が行うべきは、後輩にとって意味のある挑戦の機会を与える ことと、”自分でやり遂げた”と実感できるフィードバックを与えることです。
5.意味のある挑戦
意味のある挑戦を設定するとき、気を付けることは
高すぎず、低すぎないハードルを設定することです。
・1人では到底できない仕事を与えても挑戦する気になれません。
・3人でできる仕事を10人でさせても意味のある挑戦にはなりません。
過大な負荷や過小な負荷は、いずれも良くないストレスに繋がるだけです。
本人が現状できるレベルに合わせて、「困難だが出来そうだ」と期待できるレベルの課題、訓練を設定することが求められます。
6.”自分でやり遂げた”と実感できるフィードバック
「責任を持とうという姿勢を見出し、積極的に励ましていくことが重要」
フィードバックについては2種類
肯定的フィードバックと否定的フィードバックを紹介します。
どちらも有能感の観点から見た効果的な「褒め方」、「指摘の仕方」となっています。
まず肯定的フィードバックを例をもとにみていきましょう。
良い例
「よくできたね!難しい挑戦だったと思うけど。」
→有能感はUP!!!
義務や期待に触れたり、社会的比較(競争)の意味を含まず、純粋に有能さを賞賛するフィードバックは有能感を与えます。
悪い例
「よくできたね!次はもっとやれるはずだ。」
「もう次の試験には合格しなければならないね。」
→有能感はDAWN。。。
「しなければならない」「できるはずだ」など、相手を統制しようとする言葉を含むフィードバックは外的プレッシャーになり得ます。
※統制とは、プレッシャーなどにより、信念が阻害されていること。
「やらされている」、「やらなければならないからやっている」と感じるます。
次に否定的フィードバックをみていきましょう。
ポイントとして
①.問題に対して率直に切り込み、起こりえた結果に関する情報を与えた。
②.今後注意すべきというメッセージを伝えた。
③.フィードバックの言葉を行為に向けるようにして人格に向けないよう配慮。
これらが挙げられます。
文章だけだとわかりにくいので、これも事例を基にみていきましょう。
ex:)病院で看護学生を監督・指導するベテラン看護師
・看護学生がある男性患者の静脈チューブをうっかり固定し忘れ、静脈に気泡が入るというヒヤリハットを起こした。
・重大な医療ミスになりかねなかったが、同僚看護師の指摘で事なきを得た。
看護師「空気が入ると、静脈中を血液と一緒に流れて心臓、さらに肺にまで到達して、その量が多ければ肺の毛細血管を詰まらせて肺塞栓、さらには呼吸不全になる。」・・・①
「だから、今後必ずチューブを固定するの。」・・・②
「あくまでも行為を批判しているのであって、あなた自身を批判しているのではないよ。」・・・③
となります。
しかしこの看護学生はその失敗について、深刻なヒヤリハットだと気づいていたし、よく注意して行うべきだとわかっていたのでは?
まずはその失敗について自分でどう思っているか尋ねることをしましょう。
「もし、指摘がなかったらどんな影響があったと思う?」
「どうすれば失敗が起こらないようになると思う?」
→多くの場合、本人は正しく事態を評価している。(それを勇気づけるだけでよい)
7.目標(ハードル)に届かなかったとき
「批判の対象とみるのではなく、解決すべき問題として見る」
「何度やっても時間内に仕事を終えることが出来ない」
→指導者が見かねて叱責する
→自律を支援する観点から見てどうだったか?
何が問題なのか一緒に理解して、改善策を見出すことが大切になってきます。
今回で考えると、問題点の可能性として、
1.仕事を要領よくこなす方法がわからない
2.時間内に終わらす意味が見出せていない
3.ほかの仕事に追われている、気になっている
など様々な可能性が考えられます。
目標未達成の原因が本人にあるという結論にすぐ結び付けない。
行動に原因があったとしても、批判の対象ではなく、一緒に解決するように努めましょう。
8.まとめ
今回も長々と書いてしまいました。
いろんな事例を出してきましたが、
意義あるフィードバックの方法や意味ある挑戦をさせていたかなど
自分の過去を基に考えていただければ、このノートを見て頂いた価値が上がると思います。
数分でも振り返っていただければと思います。
次回のnoteでこの題材は終わりになりますので、
ぜひ見て頂ければと思います!