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令和5年度から令和6年度の消費者委員会活動報告 概要

令和5年度から令和6年度の消費者委員会活動報告 概要(本文2,471文字)
 
 
内閣府消費者委員会は、令和6年12月27日に「令和5年度から令和6年度消費者委員会活動報告」を公表しました。報告は消費者委員会の活動全般を収載していますが、ここでは食品に関する事項のみ取り扱います。
 
 
<令和5年度から令和6年度消費者委員会活動報告>
第1章 消費者委員会の活動概要(令和5年9月~令和6年8月)
第2章 第8次委員会における主な調査審議事項
1. 消費者基本計画の検証・評価・監視
(1)消費者基本計画の検証・評価・監視等に係る対応
(2)消費者基本計画工程表に係る答申について
2. 消費者委員会の建議、提言、意見、調査報告書
(1)「定形郵便物(25 グラム以下のものに限る。)及び料金上限規制の対象となる 25 グラム以下の信書便物の料金の上限の改定案」に関する消費者委員会意見
(2)「NTT 東西の加入電話、公衆電話、ISDN の料金に係る基準料金指数の算出方法の変更案」に関する消費者委員会意見
(3)サプリメント食品に係る消費者問題に関する意見
3. 諮問を受けて答申を行った事項
(1)特定保健用食品の表示許可に係る答申
(2)家庭用品品質表示法に係る告示改正についての答申
(3)食品表示基準の一部改正に係る答申
4. 外部との意見交換
(1)消費者団体ほか関係団体等との意見交換会
(2)消費者行政に係る現地調査
 
 
<食品関連活動の事項>
活動報告から、食品に関連する事項を抽出しまとめました。
2. 消費者委員会の建議、提言、意見、調査報告書
(3)サプリメント食品に係る消費者問題に関する意見
消費者委員会は、令和6年6月27日付けで、内閣総理大臣から食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)の一部改正(機能性表示食品)についての諮問を受けた。委員会は、サプリメント食品に関する消費者問題について以下の懸念を示している。
まず、サプリメント食品の多くが、保健機能食品としての表示が許可されていないにもかかわらず、健康効果を謳う表示や広告を行っている点が問題である。特に、長期間・大量摂取の安全性が実証されていない点が懸念されている。また、サプリメント食品の製造過程で有害物質が濃縮されたり、新たに生成されたりするリスクがあることも指摘されている。これに対して、健康被害情報の収集と活用、有効性・安全性の確保が不十分である。
さらに、欧米主要国と異なり、日本にはサプリメント食品を包括的に規律する法律がないため、消費者保護の視点からの規律や監視・執行体制が不十分である。このような状況を踏まえ、消費者委員会は以下の提言を行っている。
①健康被害情報の収集・活用、有効性・安全性の実効性の確保
サプリメント食品全般に対する健康被害情報の収集とGMP(適正製造規範)に基づく製造管理の強化が必要である。また、科学的知見を有する専門家の意見を聴く仕組みの構築も求められる。
②表示・広告規制の強化
不適切な表示・広告に対する規制を強化し、消費者が誤解しないようにする必要がある。特に、薬機法の広告規制を参考に、サプリメント食品の広告規制を強化することが重要である。
③消費者への情報提供及び注意喚起
サプリメント食品が医薬品ではないこと、長期間・過量摂取のリスクについての情報提供を充実させる必要がある。また、消費者の食品安全に関する知識と理解を深めるための施策を講じることが求められる。
④消費者保護の取組を規律する法制度や組織の明確化
サプリメント食品を包括的に規律する法制度の整備が必要である。また、消費者保護の取組を担う組織の在り方についても検討が求められる。
 
3. 諮問を受けて答申を行った事項
(1)特定保健用食品の表示許可に係る答申
消費者庁長官が特定保健用食品の表示許可を行う際には、健康増進法に基づき定められた内閣府令(平成21年内閣府令第57号)により、その製品の安全性及び効果について委員会の意見を聴かなければならないとされている。内閣総理大臣からの諮問に関し、新開発食品調査部会で審議を行った結果、令和5年10月に1品目、令和6年2月に1品目、同年3月に2品目について「特定保健用食品として認めることとして差し支えない」との答申を行った。
(3)食品表示基準の一部改正に係る答申
食品表示法において、内閣総理大臣が同法第4条に規定する食品表示基準を定めようとする際には、委員会の意見を聴かなければならないとされている。「紅麹関連製品に係る事案を受けた機能性表示食品制度等に関する今後の対応」(令和6年5月31日紅麹関連製品への対応に関する関係閣僚会合)において、機能性表示食品による健康被害の情報提供の義務化や、機能性表示を行うサプリメントについて適正製造規範(GMP)に基づく製造管理の要件化等の措置が講じられることとなった。これに伴い、食品表示基準を改正する必要性が生じた。令和6年6月27日に内閣総理大臣から諮問があり、委員会では本会議及び食品表示部会において4回の審議を行い、令和6年7月16日に改正案を適当とした上で、附帯意見を付した答申を発出した。
 
<今後の展望>
・ サプリメント食品に係る消費者問題
今後、サプリメント食品に関する消費者問題への対応が強化される見込みです。特に、健康被害情報の収集とGMPに基づく製造管理の強化が求められます。また、表示・広告規制の強化や消費者への情報提供の充実が進められます。引き続きサプリメント食品を包括的に規律する法制度の整備や、消費者保護の取組を担う組織の在り方の検討が期待されます。
・ 特定保健用食品の表示許可
今後、特定保健用食品の表示許可に関する審査が一層厳格化される見通しです。消費者庁長官が表示許可を行う際には、引き続き委員会の意見を聴くことが求められます。安全性及び効果の確認が強化され、また、新たな特定保健用食品の開発に伴い、審査基準の見直しや改正が行われます。
・ 食品表示基準の一部改正
食品表示基準の改正が進められ、機能性表示食品に関する規制も強化されます。特に、健康被害情報の提供義務化やGMPに基づく製造管理の要件化が実施されるでしょう。この取組みにより、消費者の安全性が一層確保されるとともに、事業者に対する監視・指導体制が強化されます。
 
 
<公開資料>
活動報告本文および資料
表紙、目次、本文(表紙から18ページ)
https://www.cao.go.jp/consumer/iinkaikouhyou/2024/doc/202412_katsudouhoukoku_01.pdf
資料編表紙、資料目次、資料1-1から資料2-2-6(20から127ページ)
https://www.cao.go.jp/consumer/iinkaikouhyou/2024/doc/202412_katsudouhoukoku_02.pdf
 
 
<一次情報>
令和5年度から令和6年度消費者委員会活動報告
https://www.cao.go.jp/consumer/iinkaikouhyou/2024/202412_katsudouhoukoku.html
 
 

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