【レポート】プラントベースフードの不健康イメージ払拭策
【レポート】プラントベースフードの不健康イメージ払拭策(本文1,660文字)
株式会社農林中金総合研究所は、令和7年1月10日付けにて、「プラントベースフードは不健康なイメージを払拭できるか ―超加工食品UPFという食品分類がもたらすイメージ悪化への対応―」と題したレポートを公表しました。
プラントベースフード(PBF)は「超加工食品(UPF)」と見なされ、一部では健康に良くないというイメージが持たれています。企業は加工度を低減し、栄養バランスを改善した製品開発が求められています。消費者教育や明確なUPFの定義付けも必要ですが、即時の対応は難しく、UPFを敬遠するトレンドは続くという予想もあります。
ここでは、PBFに関するレポートのエッセンスをご紹介します。詳しくは<一次情報>からご確認ください。
1. 超加工食品UPFとは
プラントベースフード(PBF)は、環境負荷の低さやコレステロールゼロなどの栄養面での利点を強調し、需要を拡大してきた。しかし、近年ではPBFが「超加工食品(UPF)」と見なされることから、健康に悪いというイメージが広がっている。UPFは、ブラジル・サンパウロ大学名誉教授のMonteiro氏らが提唱した食品分類「NOVA分類」に基づくもので、家庭で一般に使われない原材料や添加物を含む高加工度の食品を指す。これらの食品は、肥満や生活習慣病のリスクが懸念されており、疫学研究ではUPF摂取と疾病リスクの関連が報告されているが、加工度合いの影響は明確ではない。また、UPFに分類されても食品によってはリスクが上昇しないことも示唆されている。
表1 NOVA分類(食肉製品や乳製品の事例、FAOの資料を基に作成)
2. 消費者受容を意識した製品開発
PBFはUPFに分類されることが多く、健康に悪いという誤解が広がっている。欧州イノベーション・技術機構(EIT)の2024年の調査によれば、回答者の65%がUPFが健康に悪いと心配しており、54%がPBFはUPFのため摂取を控えていると回答している。米国のPBF企業Beyond MeatのCEOも、PBFの健康効果に関する誤解が消費者のPBF離れを招いていると指摘している。こうした課題に対し、企業は消費者の受容性を意識したPBF開発を進めている。例えば、スロベニアのスタートアップ企業BEVO社と米国のFormidable Foods社は、加工度を低減し栄養バランスを改善した「Baby Ribs」を開発した。この製品は、UPFの要素である増粘剤を不使用とし、栄養バランスを改善するためにタンパク質の増量や微量栄養素の補充を行っている。これにより、健康志向の消費者からの支持を得やすくなっている。
Baby Ribsの原材料表示
3. 市場拡大に向けて直面する新たな課題
市場拡大に向けて、PBF企業は消費者の健康面での受容性を考慮した製品開発が求められている。具体的には、環境負荷軽減や味の再現、美味しさだけでなく、加工食品としての健康面での消費者受容性も加味する必要がある。PBF業界は、消費者に広く普及していくための様々な工夫が求められており、市場拡大に向けた新たな局面を迎えている。例えば、豆腐やテンペといった加工度の低いPBFにとっては追い風となる一方、代替肉のような加工度の高いPBF企業は原材料や製造工程の簡素化を迫られる。EITは、当局による食品加工に関する消費者教育や、区分誤認が生じないような明確なUPFの定義付けが必要としているが、即時の対応は難しく、UPFを敬遠するトレンドは今後も続くとみられる。
レポートでは、プラントベースフード(PBF)が「超加工食品(UPF)」と見なされ健康に悪いというイメージが広がっていること、そして加工度を低減しつつ栄養バランスを改善した製品開発が必要であることを指摘しています。
PBF市場拡大に向けた今後の展望として、消費者の健康面での受容性を高める製品開発、具体的には、環境負荷軽減や味の再現、美味しさだけでなく健康面での消費者受容性の検討などが求められていくと考えられます。
詳しくは<一次情報>からご確認ください。
<一次情報>
【農林中金総合研究所】プラントベースフードは不健康なイメージを払拭できるか~超加工食品UPFという食品分類がもたらすイメージ悪化への対応
https://www.nochuri.co.jp/report/pdf/nri2501re2.pdf