第3回食品寄附等に関する官民協議会 概要
第3回食品寄附等に関する官民協議会 概要(本文4,273文字)
消費者庁は、食品ロス削減目標達成に向けて、令和6年12月04日に「第3回食品寄附等に関する官民協議会」を開催しました。検討内容のエッセンスをまとめます。
<趣旨>
<議事次第>
1 食品寄附等に関するガイドライン素案について
2 フードバンクの認証制度について
3 食品寄附等に関する保険分科会のご報告
4 食品寄附等に関するDX分科会のご報告
5 モデル事業のご報告
<食品寄附等に関するガイドライン素案>
食品寄附ガイドライン案の概要図
「食品寄附ガイドライン」は、食品ロス削減を目的として、約150ページに渡って未利用食品の有効活用を促進するための枠組みの詳細を提供するものです。このガイドラインは、食品寄附者、ファシリテーター、フードバンク、フードパントリー、こども食堂、資源提供者を対象としています。
ガイドラインは、提供食品の情報管理、品質確保、転売禁止、事故時の対応、安全管理、トレーサビリティの確保、保険加入、財務管理と情報開示などについて言及し、食品寄附の信頼性と透明性を高め、関係者が一定の管理責任を果たすことができるようにすることを目指しています。また、法令遵守や推奨事項を示し、食品寄附がより効果的かつ安全に行われることを目指しています。
今回検討されたガイドライン(案)の内容は非常に多岐にわたるため、詳細は<配布資料>からご確認ください。
<フードバンクの認証制度>
1. 目的
一定の管理責任を果たすことができるフードバンクを認証することにより、食品寄附活動への社会的信頼を高め、企業等からフードバンクへの食品寄附活動の拡大につなげることを目的とする。
2. 概要
2-1. 自己申告制度
希望するフードバンクが団体の情報を申告し、「フードバンク活動団体オープンリスト(P)」に掲載、公表する。
2-2. 認証制度
「フードバンク活動団体オープンリスト(P)」に掲載されているフードバンクの申請に基づき、食品寄附ガイドラインに基づき作成された認証用チェックリストに則り、一定の管理責任を果たすことができるフードバンクを認証する。
3. 認証用チェックリストの主な項目
3-1. 運営管理上講ずべき措置に関する体制の整備
・ 提供食品の情報(保存方法、期限表示、アレルゲン等)の把握
・ 情報の記録及び伝達(トレーサビリティ)
・ 提供食品の転売等の禁止
・ 提供食品に係る事故発生時における対応
・ 提供食品の提供先及び譲渡先との合意等
3-2. 品質及び衛生管理上講ずべき措置に関する体制の整備
・ 提供食品の品質及び衛生管理(食品の保管、取扱い等)
・ 提供食品の期限表示等の表示の伝達・管理
・ 食品の受取及び輸配送時における検品
・ 施設設備の衛生管理
3-3. 活動に必要な施設設備の保有
3-4. 提供食品による事故が発生した場合に備えた保険加入
4. 認証の流れ
4-1. 必要書類作成
4-2. 書類審査・実績等チェック
4-3. 認証書発行・認証リスト公表
フードバンクの認証制度
<分科会からの報告>
1. 食品寄附等に関する保険分科会から
有償で飲食物を提供する場合の食品事故をカバーする保険は既存のものがあるが、無償の食品提供に特化した保険は存在しない。既存のボランティア活動保険は活動者の名簿提出が必要であり、団体として登録し、食品事故に対する補償がある保険制度の方が利用しやすい。個々の食品寄附関係者と保険会社で契約を結ぶのではなく、窓口団体が仲介する形が提案されている。窓口団体が各団体からの相談に応じることが望ましい。食品寄附に関する事故発生の事例は少なく、活動参加者数や活動時間に基づくリスク算定が検討されている。団体契約のメリットとして、保険料が割安になり、事故発生時の保険料引き上げへの影響が薄まることが挙げられる。食中毒等の事故に対する補償(見舞金)、対物対人の損害補償などが検討されている。
2. 食品寄附等に関するDX分科会から
食品寄附関係事業者レジストリの整備について、フードバンクやこども食堂などの情報を一覧化し、寄附者や受入団体が利用できるようにすることが検討されている。データ標準化ガイドラインとAPI仕様書の作成により、食品寄附関係者間の情報連携を促進し、寄附機会の増加を目指す。APIを活用することで、寄附食品の登録や受領書の取得、寄附食品の一覧取得などの業務が効率化される。実証事業では、フードバンク山梨やセカンドハーベストジャパンと連携し、需給調整システムの構築と運用を行い、業務負荷の軽減と改善点の確認を進める。
<モデル事業について>
1. 結果の分析と考察
モデル事業とヒアリング調査を通じて、ガイドライン案と実際の活動との間にいくつかの差異が確認された。特に、食品寄附の受入れや保管、提供に関する具体的な手順やトレーサビリティの確保において、現場での実施状況とガイドライン案の間にギャップが存在することが明らかになった。また、関係者からのフィードバックを基に、ガイドライン案の改訂が必要であることが確認された。これにより、ガイドラインの実効性を高め、食品寄附活動の効率化と安全性の向上が期待される。
2. 問題点とその原因のピックアップ
問題点として、食品寄附のトレーサビリティ確保が十分に行われていない点が挙げられる。原因として、現場での記録作業が煩雑であり、実務上の負荷が大きいことが考えられる。改善案として、クラウドベースの管理システムを導入し、記録作業の効率化を図ることが提案されている。また、賞味期限切れ食品の取り扱いについても統一された基準がなく、提供先との合意形成が不十分である点が問題視されている。これに対して、ガイドラインに具体的な取り扱い基準を明記し、関係者間での合意を促進することが改善案として示されている。
3. 今後の展望
今後の展望として、ガイドラインの改訂を通じて食品寄附活動の標準化と効率化が進むことが期待される。特に、トレーサビリティの確保や賞味期限切れ食品の取り扱いに関する基準の明確化により、食品寄附の安全性と信頼性が向上するであろう。また、クラウドベースの管理システムの導入により、現場での記録作業が効率化され、関係者間の情報共有が円滑に行われるようになると考えられる。これにより、食品ロスの削減と寄附活動の拡大が期待される。
<配布資料>
議事次第
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_education/meeting_materials/assets/consumer_education_cms201_241203_01.pdf
資料1 食品寄附ガイドライン案
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_education/meeting_materials/assets/consumer_education_cms201_241203_02.pdf
資料2 食品寄附ガイドライン案(概要)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_education/meeting_materials/assets/consumer_education_cms201_241203_03.pdf
資料3 食品寄附ガイドライン第2回官民協議会後の主な変更点について
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_education/meeting_materials/assets/consumer_education_cms201_241203_04.pdf
資料4 一定の管理責任を果たすことのできるフードバンクの認証制度
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_education/meeting_materials/assets/consumer_education_cms201_241203_05.pdf
資料5 食品寄附等に関する保険分科会のご報告
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_education/meeting_materials/assets/consumer_education_cms201_241203_06.pdf
資料6 食品寄附等に関するDX分科会のご報告
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_education/meeting_materials/assets/consumer_education_cms201_241203_07.pdf
資料7 モデル事業及び関係者へのヒアリング実施報告
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_education/meeting_materials/assets/consumer_education_cms201_241203_08.pdf
<参考 これまでの議事の要旨>
第1回食品寄附等に関する官民協議会(令和6年5月9日開催)
1. 本官民協議会の設置の趣旨・背景について
本官民協議会の設置の趣旨は、食品ロス削減目標達成に向けた施策パッケージに基づき、未利用食品等の提供を促進するためのガイドラインを官民で作成し、食品寄附への社会的信頼を高めることである。背景として、食品ロス削減の重要性が増していることが挙げられる。具体的には、食品ロスの現状とその影響についてのデータが共有され、ガイドライン作成の必要性が強調された。
2. 食品寄附等の現状と食品寄附等に関するガイドラインの考え方・進め方について
食品寄附等の現状について報告があり、食品寄附に関するガイドラインの考え方と進め方が議論された。ガイドラインの標準化と普及が求められ、具体的な進め方について意見が交わされた。特に、食品の安全性確保や寄附先の選定基準について詳細な議論が行われた。例えば、食品の品質管理方法や、寄附先の適正評価基準の設定について具体的な提案がなされた。
3. その他の食品寄附等に関する取組について
その他の食品寄附等に関する取組として、広報活動の強化や評価方法の標準化が提案された。特に、SNSやインターネットを活用した情報発信の重要性が指摘され、今後の課題として挙げられた。また、地域コミュニティとの連携強化や、消費者教育の一環としての食品寄附の位置づけについても議論された。具体的には、地域イベントでの啓発活動や、学校教育における消費者教育プログラムの導入についての提案がなされた。
第2回食品寄附等に関する官民協議会(令和6年9月5日開催)
1. 食品寄附等に関するガイドライン素案について
食品寄附等に関するガイドラインの素案が提示され、その内容について詳細な検討が行われた。ガイドラインの目的は、食品ロス削減を促進し、食品寄附の信頼性を高めることである。具体的には、食品の安全性確保や寄附先の選定基準、寄附の手続きに関する標準化が議論された。特に、食品の品質管理方法や寄附先の適正評価基準の設定について具体的な提案がなされた。
2. モデル事業の概要について
食品寄附ガイドライン作成に向けたモデル事業の実施概要が紹介された。このモデル事業は、ガイドラインの実効性を検証するために実施されるものであり、具体的な事例を通じてガイドラインの適用方法や課題を明らかにすることを目的としている。参加者からは、モデル事業の進行状況や初期の成果について報告があった。例えば、特定の地域での食品寄附活動の実施状況や、寄附された食品の流通過程についての詳細なデータが共有された。
3. 分科会(DX及び保険)について
DX(デジタルトランスフォーメーション)及び保険に関する分科会の検討状況が報告された。DX分科会では、デジタル技術を活用した食品寄附の効率化やトレーサビリティの向上について議論が行われた。具体的には、寄附食品のデジタル管理システムの導入や、ブロックチェーン技術を用いたトレーサビリティの確保についての提案がなされた。一方、保険分科会では、食品寄附に伴うリスク管理や保険制度の整備について検討が進められた。特に、寄附食品の品質保証や、万が一の事故に備えた保険商品の開発について具体的な議論が行われた。
<一次情報>
【消費者庁】第3回食品寄附等に関する官民協議会開催のお知らせ
https://www.caa.go.jp/notice/entry/040169/
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_education_cms201_241127_01.pdf
【消費者庁】第3回食品寄附等に関する官民協議会(2024年12月4日)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_education/meeting_materials/review_meeting_007/040298.html
<参考情報>
【消費者庁】食品寄附等に関する官民協議会
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/information/food_loss/conference/index.html#contribution
【消費者庁】第1回 食品寄附等に関する官民協議会
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_education/meeting_materials/review_meeting_007/037658.html
【消費者庁】第1回食品寄附等に関する官民協議会のアーカイブ配信
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/information/food_loss/conference/movie_001
【消費者庁】第2回食品寄附等に関する官民協議会
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_education/meeting_materials/review_meeting_007/039233.html
【消費者庁】第2回食品寄附等に関する官民協議会のアーカイブ配信
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/information/food_loss/conference/movie_002