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令和6年度食品表示懇談会 第7回 個別品目ごとの表示ルール見直し分科会 概要

令和6年度食品表示懇談会 第7回 個別品目ごとの表示ルール見直し分科会 概要(本文4,103文字)
 
 
1. はじめに
内閣府消費者庁は、令和6年11月27日に「令和6年度食品表示懇談会 第7回 個別品目ごとの表示ルール見直し分科会」を開催しました。

趣旨(原文)
現在、コーデックス委員会の食品表示部会において、「技術革新を利用した食品情報の提供に関するガイドライン」の策定に向け、国際ルールづくりの議論が進んでおり、このような国際的な議論に我が国としても能動的に対応していく必要がある。
政府としても、「消費者基本計画工程表」において、「合理的でシンプルかつ分かりやすい食品表示制度の在り方について、国際基準(コーデックス規格)との整合性も踏まえながら、有識者から成る懇談会において順次議論していく。」としていることから、「令和5年度食品表示懇談会」を開催し、今後の食品表示が目指していく方向性について、中長期的な羅針盤となるような食品表示制度の大枠の議論を行った。「令和6年度食品表示懇談会」では、個別品目ごとの表示ルールと食品表示へのデジタルツールの活用について議論を行っていく。


 
2. 議題
(1) レトルトパウチ食品の個別品目ルールの説明及びヒアリング(第6回分科会の積み残し部分(畜産物缶詰及び畜産物瓶詰、調理食品缶詰及び調理食品瓶詰の別表4 原材料名の香辛料の表示方法に関する規定)を含む。)(公益社団法人日本缶詰びん詰レトルト食品協会)
(2) 魚肉ハム及び魚肉ソーセージの個別品目ルールの説明及びヒアリング(公益社団法人日本缶詰びん詰レトルト食品協会)
(3) パン類の個別品目ルールの説明及びヒアリング(一般社団法人日本パン工業会)
(4) 第3回分科会で議論したマーガリン類の個別品目ルールについて日本マーガリン工業会からの検討結果の報告
(5) その他
 
 
3. 議事概要
3-1. レトルトパウチ食品の個別品目ルールの説明及びヒアリング
3-1-1. レトルトパウチ食品の個別ルール
・ 別表第3、第4、第5、第19に基づく表示義務事項
・ 名称、原材料名、添加物、内容量、調理方法、レトルトパウチ食品である旨の表示
3-1-2. レトルトパウチ食品の定義
・ レトルトパウチ食品: プラスチックフィルムや金属箔などを多層に合わせた袋状の容器に食品を詰め、熱溶融により密封し、加圧加熱殺菌したもの
・ 例: カレー、パスタソース、シチュー、スープ、どんぶりのもと、混ぜごはんのもと
3-1-3. 個別ルールの詳細
・ 原材料名・添加物: 使用した原材料を重量の割合が高い順に表示香辛料は「香辛料」とまとめて表示可能
・ 内容量: グラム単位で表示ソースを加えたものは内容重量とソースを除いた固形量を表示
・ 調理方法: 調理しないもの(単に温めるものを含む)以外のものについて表示
・ レトルトパウチ食品である旨: 容器包装の見やすい箇所に表示
3-1-4. 表示禁止事項
・ 「天然」「純正」などの用語の使用禁止
・ 肉様植たんを使用したものについて、原材料の全てが食肉等又は魚肉であるかのように誤認させる用語の使用禁止
・ 特定の原材料を強調する用語の使用禁止(例外あり)
3-1-5. 業界団体等の要望の概要
・ 表示ルールの簡素化: 各品目ごとの表示ルールを見直し、簡素化することを要望
・ 省略規定の拡大: レトルトパウチ食品の表示事項に関して、缶詰・瓶詰と同様に表示が省略できるよう要望
・ 定義の見直し: レトルトパウチ食品の定義を見直し、生産量の少ない品目を除き修正して存続することを要望
 
3-2. 第6回分科会の積み残し部分(畜産物缶詰及び畜産物瓶詰、調理食品缶詰及び調理食品瓶詰)、横断的表示ルールへの要望
3-2-1. 横断的表示ルール
・ 別表第3、第4、第5、第19、第20、第22に基づく表示義務事項
・ 添加物の表示
3-2-2. 横断的表示ルールの定義
・ 添加物: 重量の割合が高いものから順に表示ただし、栄養強化目的のもの、加工助剤、キャリーオーバーは例外
3-2-3. 個別ルールの詳細
・ 添加物の表示: 添加物は製品全体で微量であるため、原料の変更で順序が入れ替わることがある包装資材のロス削減の観点から、重量の割合が低い添加物については順不同で表示することを要望
3-2-4. 表示禁止事項
・ 特になし
3-2-5. 業界団体等の要望の概要
・ 添加物の表示順序: 重量の割合が低い添加物については順不同で表示することを認めるよう要望
・ 目的: 改版による包装資材のロス削減
 
3-3. 魚肉ハム及び魚肉ソーセージの個別品目ルールの説明及びヒアリング
3-3-1. 魚肉ハム及び魚肉ソーセージの個別ルール
・ 別表第3、第4、第5、第19、第20、第22に基づく表示義務事項
・ 名称、原材料名、添加物、内容量、でん粉含有率の表示
3-3-2. 魚肉ハム及び魚肉ソーセージの定義
・ 魚肉ハム: 魚肉(鯨その他魚以外の水産動物の肉を含む)を塩漬けし、肉様植たんや脂肪層を混ぜ合わせたものに調味料や香辛料を加え、ケーシングに充てんし加熱したもの、魚肉の重量割合が50%以上、肉片の重量割合が20%以上、つなぎの重量割合が50%未満、植物性たんぱくの重量割合が20%以下
・ 普通魚肉ソーセージ: 魚肉をひき肉またはすり身にし、調味料や香辛料を加え、でん粉や結着材料を加えて練り合わせたものをケーシングに充てんし加熱したもの、魚肉の重量割合が50%以上、植物性たんぱくの重量割合が20%以下
・ 特種魚肉ソーセージ: 練合わせ魚肉にチーズやグリンピースなどの種ものを加えて混ぜ合わせたものをケーシングに充てんし加熱したもの
・ ハンバーグ風特種魚肉ソーセージ: 練合わせ魚肉に荒びき肉やたまねぎを加え、油焼きなどの調理後にハンバーグ類似の香味と食感を有するもの
3-3-3. 個別ルールの詳細
・ 原材料名: 魚肉ハムに使用する魚肉や食肉、肉様植たん、脂肪層は「肉片等」として表示つなぎや結着材料、種ものもそれぞれの名称を表示
・ 添加物: 使用した添加物を重量の割合が高い順に表示ただし、栄養強化の目的で使用される添加物の表示は省略可能
・ 内容量: グラム単位で表示複数個が同一容器に入っている場合は個数や枚数も表示
・ でん粉含有率: でん粉、小麦粉、コーンミールの含有率が規定値を超える場合に表示
3-3-4. 表示禁止事項
・ 「骨付きハム」「ボンレスハム」などの用語の使用禁止
・ 原材料の一部を特に強調する用語の使用禁止
3-3-5. 業界団体等の要望の概要
・ 定義の一部修正: 使用できる原材料の範囲を修正
・ 個別ルールの簡素化: スライスやブロックなどの表示義務を削とともに、原材料名、添加物、内容量の個別ルールを廃止し、横断ルールのみで対応
・ 名称の規制: 現状維持を希望
・ 個別義務表示の廃止: 魚肉ハム・魚肉ソーセージにのみ個別的義務表示を上乗せする理由がないため廃止
・ 表示の方法の廃止: 横断ルールのみで現行の食品表示と同様に対応可能なため廃止
・ 表示禁止事項の廃止: 横断的な表示禁止事項や景品表示法を参考に判断可能なため廃止
 
3-4. パン類の個別品目ルールの説明及びヒアリング
3-4-1. パン類の個別ルール
・ 別表第3、第4、第5に基づく表示義務事項
・ 名称、原材料名、内容量の表示
3-4-2. パン類の定義
・ パン類: 小麦粉または穀粉類を主原料とし、イースト(パン酵母)を加え、水、食塩、砂糖類、食用油脂、乳製品などを加えて練り合わせ、発酵させたものを焼いたもの、水分が10%以上のもの
・ 食パン: パン生地を食パン型(直方体または円柱状の焼型)に入れて焼いたもの
・ 菓子パン: あん、クリーム、ジャム類、食用油脂などをパン生地で包み込んだり、上部に乗せたりしたものを焼いたもの
・ その他のパン: 上記以外のパン
3-4-3. 個別ルールの詳細
・ 名称: 食パンは「食パン」、菓子パンは「菓子パン」、その他のパンは「パン」と表示し、パン生地を圧延し、切断、成形したものは「カットパン」と表示可能
・ 原材料名: 使用した原材料を重量の割合が高い順に表示し、砂糖類は「砂糖類」、香辛料は「香辛料」とまとめて表示可能
・ 内容量: 内容数量を表示ただし、1個のものは表示を省略可能、パン生地を圧延し、切断、成形したものは内容重量をグラムまたはキログラム単位で表示
3-4-4. 表示禁止事項
・ 特になし
3-4-5. 業界団体等の要望の概要
・ 定義の現状維持: 「イースト」を「パン酵母」に修正する以外は現状維持
・ 個別ルールの現状維持: 名称の表示は現状維持
・ 個別ルールの廃止: 原材料名と内容量の個別ルールを廃止し、横断ルールに移行
・ 移行期間の要望: 表示方法変更の周知や包材の変更が必要なため、十分な移行期間を要望
3-4-6. 追加情報
3-4-6-1. パン類の生産動向
・ 生産量の動向(農林水産省の統計調査に基づく)
・ 学校給食パン: 安定的に推移、学校給食向けに特化した製品、栄養バランスを考慮
・ その他のパン: 近年増加傾向、ロールパン、フランスパン、ベーグルなど
・ 菓子パン: 高水準を維持、あんぱん、ジャムパン、メロンパンなど
・ 食パン: 最も多く安定的に高水準を維持、主食として広く消費
3-4-6-2. パン類の主な課題
・ 少子高齢化・人口減少: 消費者層の減少により需要が減少する可能性があり、高齢者向けの健康志向のパンや少量パッケージの開発が求められる
・ 労働力不足: 製造、物流、管理面での人手不足が深刻化しており、製造工程の自動化や効率化が必要
・ 環境問題: プラスチック容器包装の削減、食品リサイクル、低炭素化が求められており、生分解性素材の導入やリサイクル可能な包装材の使用が進められている
・ 国産・地域産品の活用: 地域経済の活性化と食の安全性向上のため、国産小麦や地域特産品を使用したパンの開発が進められている
3-4-6-3. パン類の品質表示基準制定等の経緯
平成09年: パン類品質表示基準の告示・施行
平成12年: 包装食パンの表示に関する公正競争規約の告示・施行
平成23年: パン類品質表示基準廃止に係るパブコメ実施(反対意見多数により存続)
平成27年: パン類品質表示基準の内容が食品表示法の食品表示基準別表で規定
3-4-6-4. 対応案の概要
・ 定義・名称: 現行基準を維持(定義中の文言は一部変更)
・ 原材料、内容量の表示方法: 横断ルールに移行ただし、十分な移行期間が必要
 
3-5. 第3回分科会で議論したマーガリン類の個別品目ルールについて検討結果の報告
3-5-1. 検討結果
・ 日本マーガリン工業会は、マーガリン類の別表4(原材料規定)を削除することを決定
3-5-2. 消費者庁への要望
・ 食品表示基準(個別品表)の見直しに際して、Q&Aの早急な作成
・ マーガリン類の表示に関する公正競争規約の見直しに関する適切な指導
 
 
4. 議事・資料
【議事次第】第7回個別品目ごとの表示ルール見直し分科会
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/assets/food_labeling_cms201_241127_01.pdf
【資料1-1】レトルトパウチ食品に関する個別品目ごとの表示ルールの見直しの検討について
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/assets/food_labeling_cms201_241127_02.pdf
【資料1-2】魚肉ハム及び魚肉ソーセージに関する個別品目ごとの表示ルールの見直しの検討について
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/assets/food_labeling_cms201_241127_03.pdf
【資料1-3】公益社団法人日本缶詰びん詰レトルト食品協会提出資料
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/assets/food_labeling_cms201_241127_04.pdf
【資料1-4】追加資料_公益社団法人日本缶詰びん詰レトルト食品協会提出資料
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/assets/food_labeling_cms201_241127_05.pdf
【資料2-1】パン類に関する個別品目ごとの表示ルールの見直しの検討について
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/assets/food_labeling_cms201_241127_06.pdf
【資料2-2】一般社団法人日本パン工業会提出資料
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/assets/food_labeling_cms201_241127_07.pdf
【資料3】日本マーガリン工業会提出資料
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/assets/food_labeling_cms201_241127_08.pdf
【資料4】ヒアリング結果概要
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/assets/food_labeling_cms201_241127_09.pdf
【参考資料1】個別品目ごとの表示ルールの見直しの検討について
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/assets/food_labeling_cms201_241127_10.pdf
【参考資料2】個別品目ごとの表示ルール見直しのスケジュールイメージ
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/assets/food_labeling_cms201_241127_11.pdf
【参考資料3】畜産物缶詰及び畜産物瓶詰に関する個別品目ごとの表示ルールの見直しの検討について
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/assets/food_labeling_cms201_241127_12.pdf
【参考資料4】調理食品缶詰及び調理理食品瓶詰に関する個別品目ごとの表示ルールの見直しの検討について
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/assets/food_labeling_cms201_241127_13.pdf
【参考資料5】マーガリン類に関する個別品目ごとの表示ルールの見直しの検討について(第3回分科会資料)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/assets/food_labeling_cms201_241127_14.pdf
【参考資料6】日本マーガリン工業会提出資料(第3回分科会資料)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/assets/food_labeling_cms201_241127_15.pdf
 
 
 
<一次情報>
第7回 個別品目ごとの表示ルール見直し分科会の開催について
https://www.caa.go.jp/notice/entry/040018/
https://www.caa.go.jp/notice/assets/food_labeling_cms201_241120_02.pdf
第7回 個別品目ごとの表示ルール見直し分科会(2024年11月27日)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/review_meeting_012/040019.html
 
 
<参考情報>


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