【レポート】食生活に関する生活者調査2024
【レポート】食生活に関する生活者調査2024 (本文1,988文字)
株式会社電通は、令和6年10月30日付にて「食生活に関する生活者調査2024」と題した調査レポートを公表しました。
<レポートのアウトライン>
本調査は、現代の食生活の変化について調査したものである。調査対象は全国の15歳から79歳までの1300人で、インターネット調査と対面インタビューを実施した。主な調査項目は、料理の時間と意識、家庭の味の有無、健康志向と食材の選択基準、外食・中食の利用状況などである。電通は、料理の時短意識の高まり、「我が家の味」を持つ家庭の減少、健康志向の増加、外食・中食の利用増加、食材選択基準の変化を指摘している。
<主なファインディングス>
1. 料理を面倒に感じる人:約6割が料理を面倒に感じ、「我が家の味」がある家庭は約1割
2. 調理の時短意識:時短を意識する人が増加し、ミールキットにお金をかけたい人は約3割
3. 食事の楽しみの減少:家族や友人との食事がストレス緩和になると答える人が減少
4. 食のトレンド認知:ヴィーガンやグルテンフリーの認知率は8割以上
<結果の分析>
1. 料理をするのを面倒に感じる人は、約6割。「我が家の味」があると考える人は約1割で、直近3年間で減少傾向。
料理を面倒に感じる人は約6割に達しており、特に40代では73.0%と高い割合を示している。また、「我が家の味」があると考える人は約1割にとどまり、直近3年間で減少傾向にある。料理をするのが好きな人は2割弱で、2022年の21.8%から2023年の20.4%を経て、2024年には16.8%に減少している。これらのデータは、忙しい生活や物価高騰が家庭料理の減少に影響を与えていることを示唆している。
図1 料理をするのを面倒に感じる人の割合(調査レポート原文【図表1】)
2. 調理の時短を意識している人が直近3年間で増加傾向。食品価格の値上げが起きている中で「メニュー用調味料やミールキット」にお金をかけたい人は約3割で、前年より5.6ポイント増加。
調理の時短を意識する人が増加している。特に、食品価格の値上げが続く中で、メニュー用調味料やミールキットにお金をかけたいと考える人は約3割に達し、前年より5.6ポイント増加している。普段の食生活で「自宅での調理の手間や時間」を意識している人は、2022年の24.3%から2024年には28.2%に増加している。これらのデータは、忙しい生活や物価高騰が家庭の調理習慣に影響を与えていることを示している。
図2 自宅での調理の手間や時間を意識している人の割合の推移(調査レポート原文【図表5】)
3. 「おいしいものは一人ではなく、誰かと一緒に食べたい」「家族・友人との食事は、ストレス緩和になる」「食べることに幸せを感じる」は直近3年間で減少傾向に。
「おいしいものは一人ではなく、誰かと一緒に食べたい」と考える人は約3割に減少しており、2022年の39.5%から2024年には32.4%に減少している。また、家族や友人との食事がストレス緩和になると感じる人も減少しており、家族との食事は21.2%、友人との食事は16.8%にとどまっている。さらに、食べることに幸せを感じる人も減少傾向にあり、2022年の67.6%から2024年には60.5%に減少している。これらのデータは、食事の楽しみやコミュニケーションの重要性が低下していることを示している。
図3 おいしいものは一人でなく、誰かと一緒に食べたい」と考える人の割合の推移(調査レポート原文【図表7】)
4. 「ヴィーガン」「グルテンフリー」の認知率は8割を超え、「完全栄養食」の認知率も8割に迫る。
「ヴィーガン」や「グルテンフリー」の認知率はそれぞれ85.1%と84.0%に達しており、8割を超えている。また、「完全栄養食」の認知率も74.8%と高く、8割に迫っている。これらのデータは、健康志向や特定の食事制限に対する関心が高まっていることを示している。一方で、植物性の肉(大豆ミートなど)を食べたいと考える人は37.8%にとどまり、直近3年間で減少傾向にある。
図4 ヴィーガン」「グルテンフリー」「完全栄養食」の認知率(調査レポート原文【図表10】)
<まとめ>
調査結果から、現代の食生活にはいくつかの顕著な傾向が見られました。
まず、料理を面倒に感じる人が増加し、「我が家の味」を持つ家庭が減少しています。これには、忙しい生活や物価高騰が影響していると考えられます。また、調理の時短意識が高まり、ミールキットやメニュー用調味料の需要が増加しています。さらに、食事の楽しみやコミュニケーションの重要性が低下しており、家族や友人との食事がストレス緩和になると感じる人が減少しているためと推測されます。ヴィーガンやグルテンフリー、完全栄養食などの健康志向の食事に対する認知度が高まっていることにも注目されます。
今後の展望として、食品業界や外食産業は、時短調理や健康志向の商品開発に注力する必要があり、また、食事の楽しみやコミュニケーションを促進するサービスやイベントの提供も重要であると考えられます。ますます多様化する消費者のニーズに応えるため、品質や安全性を重視した商品開発が求められています。
<一次情報>
【電通】「食生活に関する生活者調査2024」を実施
https://www.dentsu.co.jp/news/release/2024/1030-010797.html
電通、「食生活に関する生活者調査2024」を実施
https://www.dentsu.co.jp/news/item-cms/2024023-1030_3.pdf