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【レポート】高度経済成長期以降の食生活の変化

【レポート】高度経済成長期以降の食生活の変化(本文1,590文字)
 
株式会社農林中金総合研究所は、令和6年9月01日付刊行の「農林金融」にて「高度経済成長期以降の食生活の変化」を発表しました。1963年から2023年までの総務省家計調査データを基に、日本の食生活の変化を分析しています。本報告のエッセンスをご案内いたします。
 
<報告の概要>
1. はじめに
日本が高度経済成長を遂げ社会全体が大きく変化した時期には、冷蔵庫の普及やコールドチェーン(低温物流網)の整備が進んだことで、食材の保存方法や流通が劇的に変わり、食卓に並ぶ料理のバリエーションが大幅に増加しました。
この1963年から2023年までの60年間にわたる日本の食生活の変化とその影響について、家計調査データを基に分析しています。
 
2. 高度経済成長期以降の食生活の変化
2-1. 家計におけるエンゲル係数と食料への支出額の推移
エンゲル係数とは、家計の消費支出に占める食料費の割合を示す指標です。高度経済成長期以降、エンゲル係数は徐々に低下してきましたが、近年では再び上昇傾向にあります。これは、食料品の価格上昇や健康志向の高まりによる高価な食品の購入が増えたためです。
 
2-2. 技術革新によって支出額が拡大した「もち」
もちの製造技術の進歩により、家庭でのもちの消費が増加しました。特に、冷凍技術の発展により、もちの保存が容易になり、年間を通じて消費されるようになりました。
 
2-3. 購入量が伸びた鶏肉とベーコン
鶏肉とベーコンの購入量は、健康志向の高まりや調理の手軽さから増加しました。特に、鶏肉は低脂肪・高タンパク質であるため、健康志向の消費者に人気があります。
 
2-4. 購入量が大幅に減少した生鮮魚介
生鮮魚介の購入量は、価格の上昇や調理の手間から減少しました。また、若い世代の魚離れも一因とされています。
 
2-5. 購入量が増加したレタスと、減少した根菜類
レタスの購入量は、サラダの人気が高まったことから増加しました。一方、根菜類の購入量は、調理の手間や保存の難しさから減少しました。
 
2-6. 購入量が減少傾向にある牛乳と、増加傾向にあるチーズ
牛乳の購入量は減少傾向にありますが、チーズの購入量は増加しています。これは、チーズが手軽に摂取できるカルシウム源として人気があるためです。
 
2-7. 健康志向が高まるようになった菓子類
健康志向の高まりにより、低カロリーや低糖質の菓子類の需要が増加しました。これにより、菓子メーカーは健康志向の商品開発に力を入れるようになりました。
 
2-8. さまざまなニーズを捉え、成長を遂げてきた飲料
飲料市場は、健康志向や多様なニーズに応える形で成長を遂げてきました。特に、機能性飲料や無糖飲料の需要が増加しています。
 
2-9. 支出額が増加したドレッシング、減少する伝統調味料
ドレッシングの支出額は増加していますが、伝統的な調味料の支出額は減少しています。これは、サラダの人気が高まり、ドレッシングの需要が増えたためです。
 
2-10. 共働き世帯の増加や個食化の進展を受け、支出額が増加する調理食品
共働き世帯の増加や個食化の進展により、調理食品の支出額が増加しています。特に、手軽に調理できる冷凍食品やレトルト食品の需要が高まっています。
 
2-11. 低価格路線が進む酒類
酒類市場では、低価格路線が進んでいます。特に、若い世代のアルコール離れが進んでいるため、価格競争が激化しています。
 
2-12. 低価格競争やコロナ禍から回復しつつある外食
外食産業は、低価格競争やコロナ禍の影響を受けましたが、徐々に回復しつつあります。特に、テイクアウトやデリバリーの需要が増加しています。
 
3. おわりに
1963年から2023年までの日本の食生活の変化は、技術の進歩やインフラの整備、環境問題など多岐にわたる要因によってもたらされました。これにより、食生活が豊かになった一方で、伝統的な食文化の消失や環境への影響も懸念されています。持続可能な食生活の実現に向けてさらなる取り組みが必要であり、特に、環境保護や伝統的な食文化の継承が重要です。
 
 
<一次情報>
【株式会社農林中金総合研究所】
「高度経済成長期以降の食生活の変化」
定期刊行物 『農林金融』 2024年09月号 第77巻 第9号 通巻943号
https://www.nochuri.co.jp/report/pdf/n2409jo1.pdf
 
 

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