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第450回消費者委員会本会議「加工食品の原料原産地表示制度に関する事後検証について」 概要

第450回消費者委員会本会議「加工食品の原料原産地表示制度に関する事後検証について」 概要(本文3,140文字)
 
 
内閣府消費者委員会は、令和6年12月25日に第450回消費者委員会本会議を開催しました。本会議では4議事がありましたが、ここでは「加工食品の原料原産地表示制度に関する事後検証について」に関連する内容のみを取り扱います。
 
 
<議事次第>
・ 伊東内閣府特命担当大臣 御挨拶
・ 今井内閣府大臣政務官 御挨拶
・ 消費者基本計画の検証・評価・監視(第5期消費者基本計画素案について)
・ 加工食品の原料原産地表示制度に関する事後検証について
 
 
<原料原産地表示制度の検討について>
原料原産地表示制度は、消費者が商品の選択を合理的に行うために必要な情報を提供することを目的としている。制度の導入により、全ての加工食品に原料原産地表示が義務付けられる。これにより、消費者は商品の原産地情報を基に、より適切な選択が可能となる。
 
論点としては、消費者の理解度向上と事業者の正確な表示の実施が挙げられる。問題点として、消費者の表示に対する理解不足や、事業者による誤表示のリスクが指摘されている。これに対し、消費者への普及・啓発活動の強化や、事業者向けのQ&Aの充実が改善点として示されている。
 
また、経過措置期間中の周知状況の把握と分析、監視体制の強化、別表第十五への品目追加基準の明確化、例外表示の検証、理解度調査の実施、制度の見直しが重要なポイントとして挙げられている。これらの施策を通じて、制度の適正な運用と効果的な改善が図られることが期待されている。

原料原産地表示制度パンフレット
 
 
<検討概要>
加工食品の原料原産地表示制度に関する事後検証についてまとめます。
全ての加工食品に原料原産地表示を義務付ける制度は、消費者が商品の合理的選択を行うために設計されています。消費者と事業者の理解度向上のため、目標値を設定し、普及・啓発活動を強化することが求められています。事業者への周知には、中小・零細事業者への配慮や相談窓口の設置が重要です。事業者向けQ&Aの充実や例外表示の検証を通じて、誤表示を防ぐための具体的な解説が必要です。経過措置期間中の周知状況を把握し、柔軟に対応することが求められています。また、監視体制を強化し、基準の明確化や理解度調査を実施することで、制度の適正な運用を確保します。最終的には、制度導入の効果を検証し、必要に応じて見直しを行うことが重要です。
 
1. 消費者・事業者の理解状況に関する目標値の設定
全ての加工食品に原料原産地表示を義務付ける制度は、消費者が商品の合理的選択を行うために設計された。消費者が表示の意味を正しく理解し活用しなければ、制度の目的は達成されない。また、事業者が制度を正しく理解し、誤表示が発生しないようにするため、行政が十分に周知を行うことが必須である。このため、消費者への普及・啓発、事業者への制度周知にあたっては、理解度等に関して達成すべき目標値を設定し、達成状況を適宜確認しつつ、周知活動を行うことが求められている。
 
2. 消費者への普及・啓発
消費者への普及・啓発にあたっては、従前の食品表示に関する消費者の理解が進んでいない現状を鑑み、新たな普及・啓発方法を取り入れることが求められている。具体的には、消費者向けQ&Aの作成などを通じて、消費者が表示制度を正しく理解し、活用できるようにすることが重要である。目標達成に向けて、丁寧かつ十分に情報提供を行い、消費者の理解を深めるための取り組みを強化することが必要である。
 
3. 事業者への周知
本制度は、事業者の規模に関わらず、国内で活動する全事業者に加工食品の原料原産地表示を義務付けるものである。事業者向けの周知にあたっては、説明会の開催だけでなく、説明会に参加する時間が取りにくい中小・零細事業者にも十分に配慮した施策を実施することが求められている。併せて、事業者が必要とする時に具体的な個別相談を行うことができる相談窓口を全国各地に常設し、事業者の理解不足に基づく誤表示が発生しないよう、丁寧かつ十分に周知を行うことが重要である。
 
4. 事業者向けQ&Aの充実
事業者向けQ&Aの充実にあたっては、食品表示部会での議論を踏まえ、Q&Aをさらに拡充することが求められている。事業者が制度を誤って解釈しないように、例外要件の判断基準や原料原産地表示の根拠資料の保管ルール、検査時に説明を求められる事項などを明確に解説することが重要である。また、表示例の精査を行い、事業者が作成する表示が消費者の誤解を招かないようにすることも必要である。
 
5. 経過措置期間中の周知状況に関する状況把握・分析
消費者庁が実施する「周知状況を把握する調査」は、消費者のみならず事業者に対しても実施することが求められている。経過措置期間中、毎年調査を実施し、周知状況の現状分析を行う。これにより、目標達成状況に応じて周知活動の追加実施や周知方法の変更を行うなど、柔軟な対応を行うことが重要である。これにより、制度の効果的な運用と改善が図られる。
 
6. 監視
本制度の導入にあたっては、故意に実際と異なる表示を行った事業者を的確に把握し、処分できる監視体制と制度運用が必須である。食品表示に関する監視体制を強化し、国と地方自治体が連携して不正表示を許さない制度運用を速やかに確立することが求められている。監視に関する運用を具体的に検討し、指針や手順書を作成することで、効果的な監視体制を構築することが重要である。
 
7. 別表第十五への品目の追加基準の明確化
今後、「おにぎりののり」のように別表第十五に追加する品目を選定する場合の基準を明確化し、公表することが求められている。これにより、追加される品目の選定基準が透明で一貫性のあるものとなり、事業者や消費者に対して信頼性を確保することができる。基準の明確化は、制度の公平性と透明性を高めるために重要である。
 
8. 例外表示の検証
制度施行後、定期的に国別重量順表示と例外表示の割合を調査し、例外表示が多く使用される原材料や製品群についても検証を行うことが求められている。例外表示が行われる事情を明確に把握し、制度の適正な運用を確保するためのデータを収集することが重要である。これにより、例外表示の適用状況を正確に理解し、必要に応じて制度の改善を図ることができる。
 
9. 理解度調査等の実施
経過措置期間終了後、国別重量順表示と例外表示に分けて、加工食品の原料原産地表示に関する消費者の理解度・活用度・表示に対する満足度などを定期的に調査することが求められている。また、事業者のコスト負担状況についても調査し、現状を分析の上、その結果を公表することが重要である。さらに、事業者に寄せられた消費者からの質問や意見も調査し、消費者の現状分析に活用することが必要である。
 
10. 制度の見直し
今回の原料原産地表示制度は、全ての加工食品を対象とするため、事業者の実行可能性を担保するために複雑な制度となっている。消費者に提供する情報量の拡大というメリットがある一方で、中小事業者への負担増や食品産業の競争力低下などのデメリットも懸念される。このため、経過措置期間終了から2年後を目途に、各種調査結果に基づき、消費者ニーズや事業者の状況を確認し、制度導入の効果を検証する。必要に応じて、制度の拡大や廃止も含めた見直しを行うことが求められている。
 
 
※詳細は<配布資料>ならびに<一次情報>からご確認ください。
 
 
<配付資料>
議事次第
https://www.cao.go.jp/consumer/iinkai/2024/450/doc/20241225_gijishidai.pdf
【資料1-1】 消費者基本計画の検討状況について
https://www.cao.go.jp/consumer/iinkai/2024/450/doc/20241225_shiryou1-1.pdf
【資料1-2】 第5期消費者基本計画(素案)
https://www.cao.go.jp/consumer/iinkai/2024/450/doc/20241225_shiryou1-2.pdf
【資料2-1】 原料原産地表示制度パンフレット
https://www.cao.go.jp/consumer/iinkai/2024/450/doc/20241225_shiryou2-1.pdf
【資料2-2】 原料原産地表示制度答申への対応の報告について
https://www.cao.go.jp/consumer/iinkai/2024/450/doc/20241225_shiryou2-2.pdf
【参考資料1-1】 原料原産地表示制度について
https://www.cao.go.jp/consumer/iinkai/2024/450/doc/20241225_sankou1-1.pdf
【参考資料1-2】 答申書
https://www.cao.go.jp/consumer/iinkai/2024/450/doc/20241225_sankou1-2.pdf
【参考資料2】 委員間打合せ概要メモ
https://www.cao.go.jp/consumer/iinkai/2024/450/doc/20241225_sankou2.pdf
 
 
 
<一次情報>
第450回消費者委員会本会議
https://www.cao.go.jp/consumer/iinkai/2024/450/shiryou/index.html
 
<動画>
内閣府共通ストリーミング、第450回 消費者委員会本会議
https://wwwc.cao.go.jp/lib_001/shohisha_20241225.html
 
 

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