タプローネという料理



映えない。
これほどまでに映えない料理があるのだろうか。
見た目は“そぼろ”である。

がしかし、これが旨いのだ。

そしてこの料理にはこの料理のストーリーがある。

そりゃそうだ。何かしらの理由がない限り、こんな映えない料理が今に伝わっているはずがない。

料理名は「タプローネ」。

そのストーリーとは……

北イタリアはノヴァーラ県にあるボルゴマネロという村。ここに伝わる“タプローネ”という料理がある。



ボルゴマネロ村はここ。


このタプローネは「細切りにした、細かくした」という意味のこの地の言葉「タプレ」からつけられた名前で、小さめにカットした肉を香辛料をきかせ、この地方の赤ワインとちりめんキャベツとの煮込みである。

1000年前以上前に生まれたというこの料理は…

ボルゴマネーロ村の北に位置するオルタ湖の中の小さな島、イゾラ・ディ・サン・ジューリオ。


ここにある教会に、1000年前から巡礼に訪れるたくさんの信者たちがいた。その信者たちの巡礼からの帰りのこと、食料がつきてしまい、引き連れていたロバを食べたという。
それは荷物運びをするロバで食用ではなくとても固い肉だった。
そこで、細かく刻む「タプレ」をし、煮込んだのだという。
それが、ボルゴマネーロという町あたりでのことでこの地の郷土料理になったとか。

さてそのタプローネの作り方とは…

先ずは鍋にオイルで細かくしたラルド(豚の背脂の塩漬け)を炒める。脂が流れ出てきたらニンニクとバターを投入。

画像が分かりにくくて申し訳ない。。。




ニンニクに火が通ったら、ローリエと刻んだちりめんキャベツを加えて炒める。

なにせ肉と同量のキャベツなので、蒸し炒めのような状態になる。





しっかり炒まったらいよいよタプレした肉を投入。


文献によると、ロバかラバの肉とある。流石に手に入らないので馬のスネ肉で作ることにしたが、これがまた美味しい。

肉の水分が落ち着くまでしっかり炒めたら、

ワインを投入。しっかり煮詰める。

次にブロード(鷄出汁)を投入。


文献にもブロードを入れるとあるが、これはなくても良いと思う。

画像が全て同じような絵でこれまた申し訳ない。。。


グローブを多めに入れて


こうして炒めては炒めて、そして煮込んで出来上がったタプローネをポレンタと一緒に器に盛り付けて完成。



この地のガッティナーラワインと、ことのほか好相性。

こんな郷土料理、多くの方に知ってもらいたい。

堀川バーでお出ししたいなぁ~

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