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Devcon5@大阪に参加しました

こんにちは。Fintertechストラテジーグループの恩田です。

10月8日(火)~11日(金)に大阪のATCホールで開催されたDevcon5に参加しました。
Devconへの参加自体が初めてだったので、その技術への特化具合に驚きました。学会のようなカンファレンスとまでは言いませんが、スライドにもコードが書かれているセッション、数式をひたすら追うセッション、デモを動かすセッション、ライブコーディングをするセッションなど、完全に技術寄りでした。相互接続性のデモで実際に動くものを見ると、自分も手を動かしたくなり、モチベーション的にもすごく得るものが大きかったです。

技術的な所感

全体を通して、zk-SNARKs、eWASM、Formal Verificationのセッションを中心に参加しました。zk-SNARKsに比べて、eWASMやFormal Verificationの方が盛況だったと思います。技術者の興味が移り変わっているのでしょうか。
ただ、eWASMについては、発表者の方が「難しい、難しい」と言っていたのが印象に残っています。プライバシー、形式検証、LLVM、WASM、など、今まで実装できていなかったけど普及(+開発者を増やす)に必要な技術が粛々と進められているのを実感しました。
個人的にはTEEのようなExecution Environmentのようなあまりアンテナを張れていなかった分野が盛況だったので勉強しようと思います。

biz的な所感

昨年のMakerDAOのような、今後一年を占うようなプロジェクトは見当たらなかったように感じます。むしろ、いろいろな発表中の例で、DaiやMakerDAOが登場し、その健在っぷりを実感しました。Makerからは70人くらいがDevconに参加していたようです。
とはいえ、UNICEFの仮想通貨ファンド設立OpenLibraも発表されたのでMakerDAO以外にもアンテナを張らなければならないですね。。。

Ethereum2.0について

Devcon5に参加する前に、予習として以下の記事を書きました。

正直、ロードマップのスケジュール通りに移行が完了するのか、かなり難しいような印象です。今回Devconに参加し、現場の開発者も同じような感覚なんじゃないかと感じました。「Serenityはいつくるのか?」⇛「Coming soon(since 2015)」のスライドが端的に状況を表しているんじゃないでしょうか。以下の2つが大きな課題でしょう。

・Cross-shard communication
・Eth1.xの資産(トークンだけでなく、スマートコントラクト含む)をEth2.0にどうやって移行するか

おもしろかったセッション

ここからは、参加したセッションの中からいくつかピックアップし、感想を書きたいと思います。

Formal Verification of Smart Contracts and Protocols: What, Why, How
仕様に従ってアノテーションが書けるのがよさそうでした。コンパイラには想像よりバグが入り込むので、バイトコードでの検証を行うとのことでした。Eth1.xからEth2.0への移行にも使えるとの話があったのが興味深かったです。

Pairing Based SNARKS
BLS署名を調べていたときにペアリングの勉強をしていたので聞けるかなと思ったのものの追いきれませんでした。。。Overview的な内容だったのですが、一つ一つの主張に論文の引用がなされており骨太な印象でした。資料が公開されたらもう一度見たいので、公開されたら教えてください。(探したものの見つけられず)

The Use of Utility Token Staking Rewards to Encourage User Ownership
ここ1年くらいでデュアルトークンモデル(ユーティリティ+ガバナンス)が流行っています。Relayer、Market maker、Retail traderと異なる主体が存在する中で、利益相反・インセンティブ設計の観点から誰にガバナンスをやらせるのがいいのかというお話でした。結論は、Market makerとのことでした。

An Examination of the Evolution of Staking and Validators
stake.fishのステーキング事業のお話。ステーキング事業で考慮すべき観点をUIや流動性から報酬の法的な位置づけまで幅広く紹介されていました。かなりおもしろかったので、資料が公開されたら社内LT会で共有したいです。

Demystifying libp2p Gossipsub: A Scalable and Extensible p2p Gossip Protocol
libp2pのお話。個人的にあまり情報収集していなかったlibp2pなんですが、内容的にはネットワークやプロトコルレイヤーのトピックが多くて、pub-sub modelやQUIC(draft-23で実装されているとのことでした)など、もともとネットワークエンジニアだった身としては非常に興味深い分野だと気付かされました。GoやRustの実装もあるようなので、まずはそのあたりから触ってみようと思います。

Building a Community-Driven Anime Studio
アニメスタジオをDAO+NFTで実現するBlockPunkのお話。たまたま微睡みのヴェヴァラを視聴していたのでとても楽しくお話を聞けました。発表を聞きながら、社内slackで実況していたんですが、こちらでも盛り上がりました笑

世界初4Kアニメとして砂ノ灯を実際に流していただきました。「解像度が上がるだけでしょ?」と思っていたら、全然違いました。作品タイトルにもある砂や都市の灯りの情報量が圧倒的で、「こんなにも映像体験が変わるのか!」と驚きました。QAで「DAOに悪意あるプロデューサーが参加したらどうするのか?」との質問に対して、「何を言いだすかわからない人たちとアニメを作って、どんな成功を作り出すのかという話をしている」と返していたのはとても熱かったです。ブロックチェーンというよりは、熱さが一番響いたセッションでした。
我々もアニメ業界とFintech活用には注目しており、大島からも記事が投稿されていますので、よろしければご一読ください。

Measuring Decentralization of Blockchain Networks
ブロックチェーンの分散化を測るメトリクスの提案。プロトコル、エコシステム(マイナーなど)、ノード、トークンの4カテゴリに分け、それぞれでどのような指標をみるかというお話でした。Ethereumに関しては、トークン(富)の分布は偏っているが、徐々に分散化が進んでいると結論付けられていました。

Future of Open Hardware in a (Verifiable) Decentralised World
ハードウェアウォレットをはじめ企業を信用するしかない現状に対して、ハードウェアもオープンにして、誰でも検証ができるようにしよう!というお話でした。実際に標準化を進めており、いろいろなアライアンス(OpenSSDなど)と進めていて、すごく着実に進んでいるという印象でした。検証可能性だけでなく、教育も重要な点として強調していたのも好印象でした。個人的には、とても興味深い内容でしたが、人が少なかったのがもったいない。

Monitoring an Ethereum infrastructure
Ethereumのインフラの監視のお話。通常のシステムで監視するような項目(CPU、メモリ、ディスク)に加えて、gas costの監視も含められたのが特徴的でした。スマートコントラクトによる自動実行が増えてくると重要なメトリクスになりそうですね。どうやって運用体制を構築すればいいのか考えさせられる内容でした。

Supersonic: Transparent SNARKs from DARK Compilers
zk技術にどのようなものがあり、zk-SNARKs、zk-STARKs、bulletproofの比較のお話から始まり、Polynominal Commitmentについて数式やプロトコルフローの説明されていました。準同型性があり、多項式演算が高速化できそうで興味深かったです。

最後に

大阪での開催ということもあり、日本からの参加者も多かったですが、外国の方のほうが断然多かったです。参加者の国籍も様々で開発者コミュニティの強さを体感しました。ただ一人で行動してる人が多いところはエンジニアっぽいですね笑。

個人的にも、英語力は言わずもがな、EEなど技術的にも初めて聞いたトピックやlibp2pまわりなど興味惹かれる分野と課題が見えてきました。一つひとつ学んでいきたいと思います!

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