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事業再構築補助金の手引き ~"業種転換"について~

こんにちは、予算管理に特化した税理士&コンサルタントのT.Hiroです。

ついに事業再構築補助金の手引き が発表されましたね!前回記事で、「事業再構築補助金の手引き」について、ポイント3選や売上高要件などについてお伝えしましたが、今回は5類型のうちの1つ、「業種転換」への考察をお届けします。

(前回記事もご参照ください!)


1.事業再構築の定義の1つ、"業種転換"とは?


今回、事業再構築補助金の対象となる事業を定義するために、新たに"事業再構指針"という新しい用語がでてきたことは前回記事でもお伝えしました!

「事業再構築」とは、「新分野展開」、「事業転換」、「業種転換」、「業態転換」又は「事業再編」の5つを指し、本事業に申請するためには、これら5つのうち、いずれかの類型に該当する事業計画を認定支援機関と策定することが必要となります。


と述べられていることから、まずはこの5類型から、自社に当てはまるものを選択する必要があります!

その中で、業種転換とは?

●業種転換

 新たな製品等を製造等することにより、主たる業種を変更すること。例えば、レンタカー事業を行っていた事業者が、新たに宿泊業に算入するなど。


と定義されています。


つまり、業種自体を従来から変更して、新たな業種での収益をメインとするような事業計画を指すと考えられます。


宿泊業のケースはイメージしやすいですが、

 ●例えば、製造業であれば、今後ますますデータ通信量の増大が見込まれる中、生産用機械の製造業を営んでいる事業者が、工場を閉鎖し、跡地に新たにデータセンターを建設し、5年間の事業計画期間終了時点において、データセンター事業を含む業種の売上高構成比が最も高くなる計画を策定している場合

などが、事例として挙げられています。

実質製造業は廃業し、新たにデータセンター事業(情報通信業)を始めるという、かなり思い切ったケースですよね!


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2.業種転換のメリットとは?


事業再構築の定義の中で、業種転換を選択した場合、メリットとしては、これまでの業種と別業種に算入できる点です!

先祖代々続けてきた業種から、新たな業種にトライすることは非常に重い決断になるとは思います。

しかしながら、これまで、


 ●世の中のトレンドに取り残されてる・・。

 ●AI化、IT化、カーボンニュートラル・・・進めないと・・。

 ●SDGsの目線を大事にできる事業をしたい・・。


といった想いを抱きつつ、これまでの業種を続けてこられた経営者の方も多いのではないでしょうか?


そういった想いを形にし、一歩前に踏み出すチャンスとして、今回の事業再構築補助金があるような気がしています。


また、売上高規模の要件で、新業種を売上高に占める最大の割合にする必要がありますが、従来の業種の売上があってもOKな点もメリットといえるのではないでしょうか?

突然これまでのビジネスをやめてしまうと、経営者自身も収入がなくなってしまいますし、取引先やお客さんなどにも大きな迷惑をかけてしまうことになります。

そのため、従来業種の事業も続けつつ、より大きなチャレンジを並行して進められる。

そんな点が、業種転換のメリットではないでしょうか?


3.業種転換に該当する要件とは?


業種転換は、事業再構築指針の5定義の中の1つで、新たな製品等を製造等することにより、主たる業種を変更すること。例えば、レンタカー事業を行っていた事業者が、新たに宿泊業に算入するなどを指します。

具体的には、下記3要件が設定されています!

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 (1) 製品等の新規性要件

 (2) 市場の新規性要件

 (3) 売上高構成比要件

この3つを満たすことを、事業計画において示すことが、申請するための最低条件となるようです!

それぞれについて簡単にみていきましょう。

 (1) 製品等の新規性要件

製品等の新規性については、下記のように定められています。

製品等の新規性要件を満たすためには、①過去に製造等した実績がないこと、②主要な設備を変更すること、 ③競合他社の多くが既に製造等している製品等ではないこと、④定量的に性能又は効能が異なること(計測できる場合)の4つを全て満たす(=事業計画において示す)必要があります。
つまり、①~④の4要件をすべて満たし、事業計画においてそれを記載することで初めて製品等の新規性要件を満たすことになります。

設備を導入して、新たな製品をつくって売り出すこと。既存の設備では、製造要件やスペック的に満たせないようなものを、新たな設備を導入することで満たしていく必要があると考えれます。

新分野展開の新規性要件ともほぼほぼ同義になっているようです。

①~③はあくまで定性的な要件である一方、④は定量要件なので、いかに技術的に性能が有能であり、既存製品とは異なるかを示すことで、評価される可能性が高いです!


(2) 市場の新規性要件

市場の新規性要件を満たすためには、①既存製品等と新製品等の代替性が低いことを事業計画において示す必要があります。また、加えて、②既存製品等と新製品等の顧客層が異なることを事業計画において示す場合には、審査において、より高い評価を受けることができる場合があります。
市場の新規性とは、代替性が低いもの、つまり、現在事業主が展開しているビジネスと比較して、顧客を食い合わないような新規性を求めらています!

世の中において、新規というよりは、その会社の中で新規性があることが必要なようです。

さらに、既存製品等と新製品等の顧客層がことなることを事業計画で示すことで加点ポイントともなるようです。


(3) 売上高構成比要件

業種転換に該当するためには、 3~5年間の事業計画期間終了後、新たな製品の属する業種が、売上高構成比の最も高い事業となる計画を策定することが必要です。

つまり、自社の売上高ポートフォリオの中で、最大の売上高に変更していく必要があるということです!これ、事業転換とも同じ要件ですが、同じくかなり厳しい要件ですよね・・・。

計画段階でも、売上高比率を最大にすることに困難さを感じる方も多いのではないのでしょうか?

そのため、業種転換に踏み出す場合には、明確なビジネスプランや計画を立てたうえで、実行に移していくことが大事なのではないでしょうか?



最後までお読みいただきありがとうございました!


次回あたりに、事業再構築補助金の公募要領が発表されているかもしれませんので、速報情報をお伝えできればと思います!



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