最強一般人、シン博士の片思い〜映画『アクアマン』二部作への愛とツッコミが止められない8
決めるときはばっちり決める、が普段はごくフツーの人。映画『アクアマン』二部作唯一の一般人かもしれないシン博士。でもよくよく観察してみると、能力高すぎ、地上人にしてはタフすぎ?そんな最強一般人、シン博士についてもツッコミが止まりません。
映画『アクアマン/失われた王国』で、きらりと存在感を放っていたスティーブン・シン博士。アトランティスの存在を信じ、その秘密を解き明かして人々に伝えることに全力を尽くす海洋生物学者である。
超人、変人(海底人)入り乱れる中で、唯一の一般人というか随一の常識人というか、とにかく普通の人。なのだが、研究のためにマンタと行動を共にしつつも良心を保ち続ける。そしていざというときには自らの危険も顧みず、筋の通った行動を貫くカッコいい人。おまけに、相当危ない目に遭っている割に大した怪我もなく、実は一般人にしてはかなり強いのかも?
マンタを拾うシン博士
前作『アクアマン』で、シン博士はまずニュース番組のコメンテーターとして登場。『アクアマン』二部作でおなじみの「GBS」ニュースにて、大西洋沿岸を襲った津波がアトランティス人の攻撃であると主張し、キャスターに「またその話?」とか「証拠がない」とか言われていた(事実オームの攻撃なので、当たっているのだけれど)。
そして映画の最後(ポストクレジットシーン)で、アーサーに倒され漂流していたマンタを救助することになる。小さい調査船の上から必死に呼びかけて、あっ生きてる!みたいに笑顔になるのすごくかわいい。博士個人の小さな研究所のような部屋で、マンタを介抱しつつあの黒いアーマーを調べるが、マンタもやったようにうっかりヘルメットからビーム出しちゃって、頭を抱えてよける。そして全然よける必要なかったのがまたかわいい。
シン博士はマンタに、アトランティスの技術なんだね?どこで手に入れた?と勢い込んで尋ね、その後アトランティスへの探究心のため彼に手を貸すことになる。
アトランティス本も出しちゃってるシン博士
研究部屋のテレビで流れているGBSのインタビューと壁中に貼られている記事の切り抜きやメモ*、津波のときに話していた内容を合わせると、シン博士についていくつかのことが分かる。
専門は海洋生物学であること、海洋科学研究所で15年間海洋現象を研究していたが解雇されたこと(やっぱりアトランティスへの傾倒が原因?)、『ATLANTEANS AMONG US : A SECRET HISTORY』という書籍を出版していること、海底での爆発の記録や戦艦の破片の衛星画像(直近の四王国の戦争の影響かな)を保有しており、アトランティスの有力な証拠と見なしていること、たびたび目撃される「アクアマン」はアトランティス人であり、彼がアトランティスの存在の証明になると考えていること。
アクアマン(=アーサー)って、マンタから救ったロシアの潜水艦のクルーにも顔が知られていたし、地元のヒーローっぽく飲んでたら写真を頼まれたりしている。なので既知の存在なのかと思いきや、そのバーで流れていたやはりGBSニュースでは「ソーシャルメディアで『アクアマン』と呼ばれている超人(メタヒューマン)が救出に関与したという未確認情報がある」くらいの言い方をしており、世間に大々的に知られているわけではないらしい。
悪の一味?なシン博士
さてシン博士だが、今作『アクアマン/失われた王国』では最初からしっかり海賊チームの中にいる。えっあの善良キュートが服を着て歩いているようなシン博士が悪の一味に?と思うけれど、本人はおそらくチームに入ったつもりはなく、研究のため個人的にマンタに手を貸しているという意識なのだろう。1人だけマンタを「デイヴィッド」とファーストネームで呼んでいるし(マンタは博士をだいたい「ドク」と呼ぶ)、基本マンタとばかり話す。でもマンタがいないときは、名前からしてサブリーダーっぽいスティングレイから指示が飛んできて、「何をグズグズしている」(What are you waiting for?)と怒られたりしている(後にマンタにも同じセリフで怒られる)。
劇中でわりといろいろな衣装を着ていて、黒シャツやハーフジップのニットみたいな普通の服が一番似合うのだけれど、いくつかのシーンではスティングレイたちメンバーとおそろいの、いかにも悪の組織っぽい黒いオールインワンを着ている。レザーとゴムの中間くらいの質感やパイピング、ダブルの打ち合わせが日本のレトロなマンガのようで、あのかわいいタコ型マシン(オクトボット)やメカメカしい古代の潜水艦とも雰囲気ぴったりなのだが、これが意外にもかなり似合っている。決まりすぎていないところが逆にリアルで、コスプレ感がないのがなんかいい。
この衣装で初めてアトランティスを見て歓喜するシン博士はとてもかわいい。鼻血がちびっと出てるのもまたかわいい(アトランティス見て鼻血が出たわけではなく、深海の影響らしい)。
解説員/狂言回しなシン博士
今作の特に冒頭で、シン博士はマンタ一行の歩みや動きを説明する役割を果たしている。彼がレコーダー(なんとICではなくテープレコーダーらしい)に吹き込むログで、調査の旅がすでに463日目であること、マンタの求めるアトランティスの手がかりを探して地の果て(南極大陸)までやってきたこと、マンタに強いプレッシャーをかけられていることなどが分かる。
その日にマンタは古代ネクラスの王コーダックスの意識が宿るブラックトライデントを手にすることになり、コーダックスに取り憑かれて力と秘密を得る。マンタのこの変化や知った秘密についても、シン博士が録音する調査ログで補足説明がされる。
万能の天才にされるシン博士
もちろん本業の研究者としても、シン博士は目覚ましい活躍を見せる。ていうか、南極大陸の洞窟の奥深くで海底国(後にネクラスと判明)の遺跡を見て「数千年前のものに違いない」とか即座に判断するし、そこで見つけたオクトボットやら潜水艦やらはマンタたちが使いやすいように改造しちゃうし、アーサーたちを大いに悩ます武器のソニック砲も仕組みを把握して使えるようにしちゃうし。「博士」ってだけで能力持たせすぎ!
そのあまりの万能ぶりに、あなた海洋生物学者でしたよね?天才すぎん?ていうか「何でも屋さん」にされてない?とか言いたくなってしまう。
実は最強一般人なシン博士
シン博士、マンタと行動を共にする中で、けっこうな危ない目にたびたび遭っている。が、大した怪我もせずその後も何事もなかったかのように行動していたりして、実はかなり頑強らしい。
まず南極大陸での探検で、割れた氷床の裂け目から落ちる(落ちた先も氷)。おそらく十数メートル以上は落下したのだが、博士は無傷。常にかけているメガネも飛ばされたけれど無傷。救難信号に応じて駆けつけたマンタたちと合流、裂け目の奥の氷の巨大洞窟を探検し潜水までする。ネクラスの遺跡を見つけて大はしゃぎする博士。マンタのプレッシャーから解放されたという背景もあるんだろうけど、元気……。
その後、次第にマンタについて行けなくなり、悪魔の深奥のコントロールルームでアーサーとオームに遭遇し(アーサー=アクアマンと瞬時に悟って)助けを求めるが、スティングレイたちの爆撃でアーサーたちもろとも吹っ飛ばされる。さすがに無傷とはいかないが、すぐに息を吹き返し潜水艦に乗せられ、マンタに命じられアーサーに向けてソニック砲を撃つことになる。回復早い……。
極め付きはこれ。ネクラスの王の間でマンタに通電ケーブル付き銛を打ち込まれ、ビリビリさせられる。死ぬがな!アーサーならともかく。なのにものの数分で起き上がり、壁に刺さったアーサーのトライデントを引き抜いて投げて渡すまでする。
シン博士、なんちゅうタフさ……。そしてメガネはずっと無傷(ちなみに、エンドクレジットでシン博士の中の人=ランドール・パークの背景に使われるオブジェはメガネ)。
決めるときは決めるシン博士
当初は利害の一致でマンタと組んでいたシン博士は、マンタに取り憑いたコーダックスの影響が大きくなっていくにつれ、彼の行動やその結果を恐れて離れたいと願うようになる。マンタは博士を脅迫し協力を続けさせる。
アーサーたちに助けを求めるもマンタの部下に阻止される形になり、嫌々ながら協力していた博士だが、マンタがアーサージュニアを(ぬいぐるみ付きで)さらってきたことを知り、ついに決意を固めて行動を起こす。
乗組員の目を盗み、アーサーたちに届くように潜水艦の位置情報と目的地を送信する。マンタに指示されジュニアを連れてネクラスの王の間まで付き従うが、隙をついて爆弾を渡し、ジュニアを抱いて逃げる(そして通電銛で攻撃される)。その時間稼ぎの効果もあって、ジュニアは駆けつけたアーサーとメラに救われる(そもそもシン博士が行動しなければ、居場所も分からなかったしね)。生身の一般人ながらジュニアを守って奮闘したシン博士はほんとにカッコいい!
シン博士はジュニアを抱いたメラとともに、崩壊するネクラスから脱出する。氷山の上で、マンタとコーダックスを倒したアーサーたちと再会し、アーサーとメラにお礼を言われて皆の無事を喜ぶ。
そして今作のラストで、アーサーは地上にアトランティスの存在を明かし、シン博士の長年の願いが叶うことになる。1人でずっとその存在を主張してきたアトランティスが、以前考えていたような地上への脅威ではなく、団結と協調を呼びかける友好国として現実のものになった。アーサーが人々に向けたスピーチに聞き入るシン博士の、実に晴々とした笑みがとてもいい。
片思いぎみなシン博士
シン博士はマンタを恐れて逃げようとはしたものの、同志意識や友情のようなものを抱いていたこともあったのではないだろうか。マンタの方は命の恩人でもあるシン博士のことをどう思っていたのか、単に利用価値の高い何でも屋と考えていたのか、そっちは分からないが。
コーダックスに取り憑かれたマンタの変化に博士は戸惑い、ブラックトライデントがその原因だと正確に見抜く。あるときブラックトライデントに触れた博士はコーダックスの幻影を見、マンタに脅迫される。怯えながらも博士は「デイヴィッド、そのトライデントに惑わされてはダメだ」と説得にかかるが、ナイフを突きつけられ失敗に終わる(そのとき、マンタの目はコーダックスの影響を表す緑色になっている)。
なにも、もしコーダックスに取り憑かれなかったら、シン博士とマンタが仲良しになれたかもとまでは言わない(アーサーとオームみたいに?)。けれどその影響がなければ、地球の気温を上げて南極の氷を溶かすとか仇の息子に手を出すとかの暴挙に出ることはなかったろう。変わっていくマンタを見ていた博士の不安や実らなかった必死の説得を思うと、ちょっと切ない。
結局マンタは南極大陸の地底深くで氷に埋もれてしまったのだが、ジュニアの件でマンタを完全に見限ったらしい博士はその行く末に興味を示すこともなく、ただただアーサー一家の無事に晴れやかな笑みを浮かべていた。それも切ない。
おまけ:片思いだけどIWCのペアウォッチ
切ないと思うのは、ペアウォッチの影響もあるかもしれない(?)。今作はGUINNESSのロゴの多さにも驚いたが、IWCのロゴの強烈さにははっきりいってドン引きした。どこ案件?!?
劇中でマンタが着けている黒ベースに赤のリストウォッチ。アトランティスから古代の燃料オリカルクムを盗み出すシーンで制限時間を確認する際、ウォッチと文字盤中央上の「IWC」のロゴが大写しになる。インパクトありすぎて、その後も赤く光るウォッチが画面に映るたびに、IWCのロゴが脳裏にちらついてしまった。
と思ったらコラボウォッチが出ていた。レッドのマンタモデルとブルーのシン博士モデル(最初気づかなかったけれど、シン博士も劇中で青く光るウォッチを着けているのですね)。税込み838万7500円だそうです。シン博士が泣きそうな顔でポーズ決めてるビジュアルがかわいいです。
IWCの日本サイトにはコラボに関する内容が見つからなかったので、代わりに「GOETHE WEB」のリンクを貼っておきます。
↓これこれ!かわいい!!
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