
オンラインでのビジネスマナー② ~オンライン時代に昭和、平成時代のマナー?~
自己紹介
記事を読んでいただきありがとうございます。私は昭和から平成に替わる時期にANAに入社し10年余り国内線~国際線CA~本部勤務を行い退職。その後結婚、出産を経て、みずほ証券で秘書勤務。JAL系の研修会社で講師業の経験を積み、研修会社FINEST株式会社を設立しました。皆様のお悩みを聞きながら伝えたい思いや、離婚経験や子育ての事などHPや研修では伝えきれないことをnoteに書かせていただいております。
前回のオンラインでのビジネスマナー①では、「おもてなし」の心を中心にお話しいたしました。
今回は、オンラインの時代になっても対面時と同様のマナーが必要なのか?通用するのか?という疑問についてお応えしたいと思います。
(こちらの記事は2020年9月2日時点でのZoomの使用を想定しております。Zoom機能改善により内容に齟齬が生じる可能性もございますのでご了承くださいませ。)⇒この断りを書いた次の日2020年9月3日にZoomの新機能追加の情報を得ました。詳しくはオンラインのビジネスマナー③~Zoomの新機能 日本人的マナーへの配慮?~をご覧ください。
1.オンラインの画面にも「上座席」がある?
ある受講者からこのような質問がありました。オンライン会議の準備をしていると上司より、『○○さん(役職が一番上の人)を常に大画面にしておくように』と指示があったとのこと。「これって意味ありますか?」というものです。
役職が上の人の画面表示を大きくすることが、オンラインでの「上座席」にあたるということと耳にしたことがありますが、対面の会議の「上座席」とは少し意味合いが違うように感じます。対面の場合の「上座席」は、司会に近い席の方が進行が分かりやすかったり、ドアから離れていた方が出入りの喧騒から離れて落ち着いて過ごせるなど、物理的なメリットから定められています。
それではオンライン会議の場合はどうでしょう?オンライン会議の「上座席」のメリットデメリットを考えてみましょう。
オンライン「上座席」のメリット
オンラインの会議においては、リモートワークで対面ではなかなか顔を合わせる機会がない中、画面に大きく映し出されることで、上位役職の方の存在感を示し、発言に強みを持たせる効果はあるかもしれません。ただしこれは会議資料などの画面共有がなく、常に参加者を映している場合に限られてしまうでしょう。
「上座席」のデメリット
実際のオンライン会議では、主に画面共有で会議のアジェンダが進められることが多いと思います。その際ハンドアクションなどで大切な部分を強調することが難しいため、共有画面の重要な部分をポインターで指し示すなど、物理的に叶わない部分をその画面内でフォローする必要があります。その時に、特定の人物が「常に」大画面表示されていると、会議で最も伝えたい核心部分を伝えられない、というケースが発生する可能性もあります。
また「特定の人を常に大画面にしておく」機能は、ホスト側だけが使える「スポットライトビデオ」と、参加者側でも個人で操作できる「ビデオの固定」があります。大切な方を大画面表示することはその方への「配慮」の気持ちかもしれません。しかしながら画面表示は、各自の端末で「ギャラリービュー」(全員を同じ大きさで見る)に切り替えることが可能です。他の会場で見ている人が画面をどう使って見ているかは実際のところ分かりません。
これでは「骨折り損のくたびれ儲け」でせっかく「配慮」と思って行ったことが無駄になってしまいます。つまりこの「配慮」は「自己満足」で終わってしまうのです。
「マナー」は「自己の満足」ではなく「相手の満足」を意識する必要があります。相手にこの「配慮」が伝わり、相手がこの「配慮を喜んで」くれてこそ「マナー」と言えるでしょう。そうなると「これって意味ありますか?」の質問への答えとしては、「あまり意味をなさない」ということになるでしょう。
2.上司への上手な声掛け
話が少しそれますが、1の質問を受けて、「じゃあどう上司に言ったらいいんですか?」という質問が次に生まれてくると思います。
今回の上司の方は、もしかしたら自分は「配慮」しているつもりだったのに、上記のようなデメリットがあるとは知らなかった!という可能性もあります。その場合、次のようにお応えしてみてはいかがでしょうか。
「かしこまりました。○○さん(役職が一番上の人)を常に大画面にするということですね。ただ、こちらでスポットライトビデオ(orビデオの固定)にしましても、皆さんの画面で同じように見ていない可能性もございますが、いかがいたしましょうか?」
上記はごく普通の対応にも見えますが、実は様々な技法が盛り込まれています。
①「Yes , but法」
最初に「かしこまりました」と「Yes」で相手の発言を受け止めてから、その後に「but」で柔らかく反論主張していく方法です。人は最初に否定されると、脳が拒絶されたと感じてその後の話に耳をふさぐと言われます。最初に「Yes」で受け止める!これを覚えておくと、人間関係がスムーズになることでしょう。
②オウム返し
人は自分が言った言葉がそのまま戻ってくると、相手が自分の話を聞いてくれていると確信し、相手に好意を感じると言われます。上司:『○○さん(役職が一番上の人)を常に大画面にしておくように』、自分『○○さんを常に大画面にするということですね。』と返すことで、あなたへの好感度が増します。
③判断をゆだねる
事情を伝えたうえで「いかがいたしましょうか?」と判断を相手に委ねると、相手を立てることが出来ます。色々と部下から進言はしたものの、最終的な指示は上司が出すことが出来て、上司としてのメンツを保つことができます。
ビジネスにおいて、このような言葉選びを面倒だと考える方も多いのですが、少し配慮するだけでその後の人間関係が良好になり、トラブルを未然に防ぐことが出来ます。是非上手に使って見てください。
3.終了時立場や役職が上の方より「先に退出(終了)しない」?
これも非常に多い質問です。『うちの会社では、会議が終了しても上の方が退出するまで退出してはいけないというルールがあるんです。』早く仕事に戻りたいのに。。。というところが本音でしょうか。
これは電話を切るタイミングと似ています。電話の場合は、「かけ手」が先に電話を切るというルールがあります。理由は電話代を負担しているのは「かけ手」だからです。電話代をここで終了する!というのを決めるのは「かけ手」の判断ということです。ところがこれには大前提があって、最優先すべきは相手との関係性です。立場が上の方より先に電話を切らないというルールです。相手がまだ電話をつないでいるのに、「ガチャン」という音が聞こえたら失礼だと感じさせてしまいます。
オンラインの場合、電話代に代わる料金はインターネット接続の料金になりますが、現在の主な料金体系ですと接続時間を気にすること必要はほとんどなく、通信代を負担する方が先に切るというルールも必要なさそうです。考えなければいけないのは相手との関係性だけです。
オンラインの場合の関係性は下記4つがあるでしょう。それぞれの立場から「退出」に関するお悩みをあげてみます。
①会議を主催したホストの悩み:
●ホストとして全員の退出を見届けた方が良いのでは?
●皆自由に「終了」したいだろうから、先に自分だけ「終了」した方が良いのでは?
●皆「終了」のタイミングを見計らっているから「全員に対してミーティングを終了」してあげた方が良いのでは?
*ホストは自分で「全員に対してミーティングを終了」することを選ぶことが出来ます。
②招待された参加者の悩み:
●ホストが皆の終了を待っているので先に「終了」した方が良いのでは?
●招待された側から、先に「終了」しては失礼なので、最後に「終了」した方が良いのでは?
③立場が上の方の悩み:
●皆が気を遣うから先に「終了」してあげた方が良いのでは?
●皆自分に挨拶をしているところを見せたいだろうから、全員を見届けてから「終了」した方が良いのでは?
④立場が下の方の悩み:
●ホストが皆の終了を待っているので先に「終了」した方が良いのでは?
●立場が下の者から、先に「終了」しては失礼なので、最後に「終了」した方が良いのでは?
どうでしょうか。それぞれ様々な考えがあって、①~④それぞれの立場で参加しているメンバーが、全員同じ考えであることはほぼないと思ってよいでしょう。
オンライン会議はようやく各所で活用され始めたところで、「ホストが先に終了する!」という明確なルールがあれば有難いのですが、まだ皆さんが試行錯誤している段階です。
オンライン会議に関わらず、ビジネスシーンでは様々な考え方に対処しなければならないシーンが多くあります。その時に大切なことは、自分の「思い」を伝えることです。
①~④の全てのお悩みが、相手を思ってのことです。しかし、1の「上座席」の「配慮」でもお伝えしたように、相手にこの「思い」が伝わらないと「自己満足」で終わってしまうのです。そうならないために、是非言葉で伝えましょう。
「どうぞ皆様お先にご退出(終了)なさってください。」
「(次のご予定もおありでしょうから)こちらで失礼いたします。」
「それでは、私から全員を終了させていただきます。(ホスト)」
上記の様に相手を気遣っての行動だということを『先に告げる』ことが大切です。
『先に伝えると「案内」になり、後から伝えると「言い訳」になる』
これはお客様や上司などへの言葉かけの大鉄則です。是非あなたの相手に対する優しい「思い」を「先に」言葉にしましょう。
この大鉄則はこちらの本でもご紹介しております。
接客時や社内での言葉かけに悩んでいる方は是非ご一読くださいませ。楽しいイラストでご紹介しているので、楽しい学びができます。楽しい学びは「記憶に残る」ものですよ!
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●ビジネスカラー検定協会 https://bizcolor.biz/