新入社員の残念な電話応対!?「○○は行方が分からなくなっております!!」「○○は立てこもっておりまして??」
自己紹介
記事を読んでいただきありがとうございます。私は昭和から平成に替わる時期にANAに入社し10年余り国内線~国際線CA~本部勤務を行い退職。その後結婚、出産を経て、みずほ証券で秘書勤務。JAL系の研修会社で講師業の経験を積み、研修会社FINEST株式会社を設立しました。皆様のお悩みを聞きながら伝えたい思いや、離婚経験や子育ての事などHPや研修では伝えきれないことをnoteに書かせていただいております。
「TELハラ」とは?新入社員は電話応対が大の苦手・・・。
4月からフレッシュな新入社員が皆様の会社にも入社してきたことと思います。最近のニュースで新入社員に電話応対を強要することを「TELハラ」と言うのだと知りましたが、きちんと電話応対の基本のマナーやトークスクリプトなどを指導してから電話応対にあたらせることは、「TELハラ」にはならないという解説もありました。
そういった意味で、しっかりと新入社員研修を実施する会社は社員を大切にしていると言えるでしょう。また大掛かりな研修をしなくても、先輩が最初につきっきりで指導してくれる会社も、社員の定着率が良いと感じます。
携帯電話の普及で、かしこまった電話応対の経験がない中、突然ビジネスシーンの電話応対を担当しろと言われても、新入社員は困ってしまいます。弊社で承る新入社員向けのビジネスマナー研修でも、ここ数年、電話応対に費やす時間が増えてきました。研修の中で沢山失敗しておくと現場で落ち着いて対応できるようになるので、研修ではありとあらゆる電話のシーンを想定して事例練習をします。
入社したての頃は、まだ自分宛ての電話はかかってこないでしょう。そこで先ずは、社内の他の方(以後:名指し人)にかかってきた電話を取り次ぐ練習をします。名指し人がすぐに電話に出れる状態なら「ただいまお繋ぎします。」と言って電話を替わればよいのでそんなに大変なことではありません。困ってしまうのが、名指し人が電話に出れない状態の時です。この時に新入社員の皆さんは、対応に四苦八苦してしまいます。
今回ご紹介する、研修の中でつい発してしまった新入社員の方々の間違った電話対応は、言いたいことが分かるだけに惜しい!残念な事例です。皆様もつい言ってしまいがちかもしれません。研修の中ではほっこり笑ってしまう間違いですが、実務では間違わないようにしたいですね。
電話応対事例① 山田さんに電話がかかってきたが、PCはついたままで席にいない。
山田さん、PCつけっぱなしだし、きっと社内のどこかにはいそうだな~。でもどこにいるのかまでは分からないし・・・。こんな事例は、きっと実務で一番多いのではないでしょうか。
それでは、この事例のワークで、惜しい!残念だった対応をご紹介します。
●新入社員「大変申し訳ございません。山田はただいま、行方が分からなくなっております。」
●お客様「え~!!!!!それは、捜索願いを出した方がよいのでは?」
このかたは、とっても正直な人ですね。そうです!確かに山田さんの行方は分からないのですが、正直にそのまま伝えてしまうと、これを聞いた人はどこかに消えてしまったのか?逃げ出したのか?といった印象を受けてしまいますね(泣)。
●正解対応例「大変申し訳ございません。山田はただいま、席を外しております。」
このように、「席外し」は、電話応対では使い勝手が良い言葉です。例えば、名指し人がお手洗いに行っている時にも、「ただいまトイレに行っております。」などと説明されると、名指し人も、そう言われた人も、恥ずかしい思いをしてしまいますね。こんな時も「席を外しておりますが、すぐに戻ると思います。」とお伝えすると良いでしょう。
最初の事例の様に、どこにいるか分からない場合は、
「大変申し訳ございません。山田はただいま、席を外しております。戻り次第折り返しのお電話をさしあげましょうか?」
のように、次の提案をするとよいですね。すぐに戻るかどうか分からないので、
「よろしければご用件を伺います。」
まで言えたら、もはや新入社員とは思えない余裕の電話応対ですね。
電話応対使い勝手NO.1 「ただいま、席を外しております。」
電話応対事例② 朝10時に加藤さん宛の電話があり、確認すると加藤さんは遅刻で11時に会社に出社するとのこと。
遅刻の社員のかたがいた場合、これまた素直な対応だと、
「大変申し訳ございません。加藤は遅刻しておりましてまだ出社しておりません。」
と言ってしまいがちです。しかし、これには2つのデメリットがあります。
・加藤さんの信用を落としてしまう。
・組織として遅刻者がいるようなルーズな会社だと思われてしまう。
そこで、以下のように加藤さんも会社も守るような対応をするのが一般的です。
●正解対応例「大変申し訳ございません。加藤は立ち寄り先がございまして、11時に出社予定でございます。」
新入社員研修でこの対応を説明した時には、皆さん理解した!という表情をしてくれるのですが、ロールプレイングのワークをすると、下記の様な言葉が出てきたりします。
●新入社員「大変申し訳ございません。加藤は立てこもっておりまして、11時に出社予定でございます。」
●お客様「え!部屋に立てこもっちゃったの?(何か嫌なことでもあったのかしら・・・)」
惜しかった!ですね。「立ち寄り先がある」と「立てこもる」。「立つ」という字だけは同じでしたが、意味が全く変わってきます。笑ってしまったかたもいるかもしれませんが、このような事例は新入社員研修で非常によくある間違いです。学生時代までの学びで「脳」の奥の記憶にストックされていた言葉を、社会人になって初めて「口」が話そうとすると、耳で聞いた感じは似ているけれど、意味は全く違ってしまうことがよくあるものです。
「脳」から「口」までの通路は、言葉を発しないと詰まったままです。是非研修中、練習中に沢山言葉を発して、通路を開通してあげてください。
電話応対フォローNO.1 「立ち寄り先がございまして~」
新入社員の時にいっぱい失敗しておこう!失敗談こそ心に響く。
このような新入社員の失敗は、研修であればほほえましいエピソードとしてお伝え出来ますが、実業務の中では厳しく叱責されることもあるかもしれません。
「TELハラ」と言われないためにも、上司や先輩の皆様には自分が新入だったころの失敗談などを交えながら、愛情を持って指導していただきたいと思います。きっとその指導は愛情リレーとなって、次の新入社員にバトンが渡されていくでしょう。
私たちFINESTはANA CA出身の講師陣なので新入社員時代の経験が共有でき、ミーティングの休憩時間などにはいまだに新入時代の失敗談が話題にでます。それが今では笑い話になったり先輩の指導に感謝したりと広がっていき、遂にはこのnoteに「お局CA」というページを作って紹介しております。
「ご苦労様でした」と言ってチーフパーサーに怒られた話など、新入社員の皆さんにもあるあるかもしれません!
最初から何でもできる人はいません。何度も失敗を繰り返して成長していきますが、私たちの失敗談が皆様の未知の経験の参考になれば幸いです。
FINESTで承る研修は新入社員研修だけではありません。ある程度の経験を重ねて、今まで指導を受けてこなかった、自己流だったという理由でご受講される方も多くあります。今更他の人に聞けなくてずっと悩んできたという方もいらっしゃいます。
新入社員の時こそ、沢山失敗して、沢山指導を受けられる貴重な時期だと思います。そして、研修講師として指導している私が一番感じているのは、失敗経験の方が受講者に響くということです。成功経験は、時に自慢話に聞こえてしまいます。失敗経験は、相手に共感をもたらします。相手に共感できる素敵な先輩になるためにも、沢山失敗してくださいね!