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治療のステップに上るまでの、障害。

ポリポーシス(GAPPS)の治療に際して、母から効くかどうかわからないサプリメントを勧められたお話をしました。むかしから母は科学的なことに疎いというのもありましたので、また変なことを言い出すなという感じでした。弟にもその異常さ(違和感)は理解してもらえたのですが、科学的なことやみなの言う“正しいこと”をいつも客観的に話す父さえも、今回ばかりはそのサプリメントを推してきました。正直なところ、じぶんの身におきたことを受け止めるのに精いっぱいなのに、なぜ、まず両親を説得しなければならないのかと、二重の重荷に押しつぶされそうだったのです。


泣き喚いた日

わたしは、プロフィールにも記載のとおり、うつの治療中でした。投薬は受けているものの、週4日程度の出勤と芸術家としての制作活動を平行しながら、バランスをとる生活をしていました。うつは少しずつ良くなっていたのですが、うつの症状がぎりぎり出るか抑えられるかくらいの綱渡りのようなバランスでした。

そこへ、愛犬の旅立ちと病気の確定。さらには、サプリメントをなんとか回避し入院と手術を受けるために、両親を説得しなければいけないという余計な問題。おまけに個展の予定も入っていました。どんなに冷静に「ひとつひとつ別個のことだ」と思考を安定させようとしても、無理があるのです。たくさんの感情が波をつくるなか、入院費や手術費をまかなえるかどうかを考えていたとき、「もう無理やねん!!!!!」「助けて!!!!!!!!!!」と、父や母のいるリビングで子どもみたいに泣き、叫んでいました。

わたしのような人間がうつを発症した原因が、ここにあるようにも思います。無理なことを無理だとなかなか言えない。なんとかじぶんで解決しようと限界まで抱え込んでしまうところです。そして、父や母の言うことにも一理あるかもしれない、父や母だってわたしのことを思って言ってくれてるんだ、だからそのサプリが無意味だと示せれば気持ちよく手術を受けられるかもしれない、と相手の心情をまず受け止めてしまう部分です。
こんな、じぶんがいちばんしんどいときなのに!本当はわたしだって、胃を摘出するということが怖いのに!!

まずは、じぶん自身の感情をいちばん大切に受け止めてください。

まわりの“感情”に振り回されずに、じぶんの納得のいく“こたえ”を選べることが、生きるうえでも、病気を治すうえでも、うつを治すうえでも大切なことであるように思います。「じぶんの身におきたことを受け止めるのに精いっぱいなのに、あなた達を説得する余裕はない」「サプリメントは受け入れられないから手術を受けます」と、客観的なアドバイスや情報を集め、そのなかから、じぶん自身をまもる選択をすることが大事。幸いにも、従兄弟たちや弟はわたしを肯定してくれました。

まわりの“感情”、とくにわたしは“母の感情”を気にしながらずっと生きてきましたので、うつに向き合うという部分では、ここを乗り越えられたことは大きな成果だったと思います。そして、うつを抱えながらの決断という意味でも、こうやって手術を選んだことに後悔はありません。

ニュートラルに考えること

がん治療に関しては、ときに、民間療法などの代替医療を熱心に勧める医者やそれを選択する患者さんが多いようにも感じます。手術を経験した母でさえ、不確かな情報を“確かなもの”として信じていた。信じることは自由ですが、医療は宗教とは別物であるとわたしは考えます。「標準治療」と世界的に認められるにあたり、民間のサプリメントなどとは比較にならないくらいの研究や試験や治験、副作用に関するデータまでが蓄積されているはずです。日々更新されるそれを根拠に医師が勧めることを、素人の思い込みで却下することの怖さ。医療、医学とは、時代を超えて培われてきたものです。

こういった大前提が通じない家族間の価値観のちがいを知ったのは、ある意味では恐怖でした。何を話しても理解が進まないからです。生まれてはじめて手術を受けることになり、このような思いもよらない障害にぶち当たったわけですが、わたし自身も、そして父や母も、多少動揺していたに違いありません。こういうときだからこそ、ニュートラルにニュートラルに・・・ひとつ外側から客観的に見る視点をもつことを、忘れないでいただきたいのです。





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