あンまり役に立たない浅草ガイド①
一子さん、どうして浅草に住み始めたのですかと何度も何度も尋ねられる。
亡くなった夫の愛した浅草だから、その夫が晩年病で歩けなくなり、麻布のだだっ広い家ではつかまり歩きが出来ずほどほどの広さの浅草のマンションが丁度良かったから、主なかかりつけの築地のがんセンターにタクシーで直ぐに通えたから、その夫が、縁もゆかりもない場所で逝きたくない僕は僕の家で死にたいんだと言い張ったから…
そして、彼を実際にこの腕の中で看取ったのがこの浅草の部屋であり、そこから離れるのは悲しすぎて無理だ