対向おじさん
細い道を歩くのが好きだ。
ひと1人、通れるか通れないくらいの。
出川哲朗も好きだと言っていたから狭い道には一定の需要がある。
私には、お気に入りの細い道がある。
昔々に田んぼに水を引くために敷かれた用水路。
ちょろちょろと小さな用水路が下に流れていてその両端が柵で仕切られ高くなっている。
道はその外側に通っているのだがなぜかその道がところどころめちゃくちゃに狭い。
柵を左側に、家の生垣を右側に挟まれて歩く。
水路の反対側へ渡れば広めの道なのだが、私はあえて狭い方の道をいつものように肩を生垣にぶつけながら歩いていた。
すると時々、前から人が来る時がある。
お互いに迷惑だ。
なぜ向こうの広い道をあるかないのだ?どうよける?
そんな事を考えながら自分も狭い道が好きな事を思い返しにやりとしてしまう。
向こうのおじさんも何故か少し照れて、すみませんとか言いながら背中をお互いに向ける。
カニさん歩きですれ違う、この瞬間が好きだ。
本当に迷惑な対向おじさんだ。