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我が家のから揚げ狂騒曲

きっかけは息子の一言

「もう、食べなくていい!!」

気づいたら声を荒げていた、ある日の夕飯。
原因は、、、からあげ。
我ながら心が狭かったと思いながらも、言わずにはいられなかった。

我が家は家で揚げ物はほとんどしない。
油の処理や時間を考えたら買ってしまうほうが効率が良いと思っている。
ただ、そうはいかないときがある。
子どもの遠足のお弁当だ。年に2回のこのイベント。
リクエストは「おにぎり、から揚げ、ミニトマト、フルーツ」

なんとか簡単にできる方法がないかと先輩ママさんに相談すると・・・
「から揚げ粉で十分!」という意見が多く、そう言うならと、買ったものの私自身とは相性が悪かった。
でも、3回目のこの日、上出来!と思え、意気揚々と食卓へ出して・・・からの、最初のくだり。

息子は、一目見て「これ、いらない」と言い放ったのである。
夫が「イイ感じだよ」とアシストしても、頑なに食べない息子。
そしてしぶしぶひとかけら。「これ、あじが好きじゃない。」

ぷちん。

「子供の一言でそんなに・・・」と思う人もいると思う。
でも、お惣菜なら何の文句も言わず食べる彼の言い放った「いらない」の一言には、ただただ悲しかった。

夫のやさしさ・妻の意地

嵐の去った翌日、夫からLINEが入った。
「揚げ物のコツ、わかったよ!」
昨日の今日で、グサッと来るひと言。ぐっとこらえ、”ありがとう”のスタンプひとつ。すると、「帰ってきたら一緒にやってみよう!」

感情派の私とは正反対の論理派の夫。帰宅すると、諸々準備されていた。
・鶏もも肉
・きっちり測った下味のたれ
・片栗粉と小麦粉を合わせた粉
・キッチンタイマー
・油の新品ボトル&鍋

夫の意見はこうだった。
「油の量は鍋から5-7cmぐらい(ほんとに定規を当てて)この辺ね。
 コンロの油は180度に設定。下味のたれは、ボールの底のたれがなくなるくらいしっかりもみ込む。そのあと粉をまぶす。
 鶏肉を油に入れたら、キッチンタイマーで3分。
 最初は触らずに、浮かんでくるのを待つ。3分経ったら、裏返す。
 最後は、温度を200度に設定して1分!
 ・・・多分だけど、油の量が少なかったんだと思う。後の処理を考えて少なくしていたけど、それが一番違うところかなと」

人に説明するのが上手な夫。料理は感覚派の私からしたらぐうの音も出ない。むむむ・・・でもこれまでの料理担当はほぼ私である。

下味は付けてもらったけど、揚げるのはできるぞ、と思い、夫にお風呂を勧めて、1人揚げる。
『油の量は確かに少なかったけど・・・なんだか悔しいなぁ』
そんなことを思いながら、お互いが揚げた唐揚げを入れて食卓へ。

夫が務めて明るく「お、今日の唐揚げはおいしそうだよー!」と言う。
息子もしぶしぶ見る。昨日の今日なのでさすがに察知したのか「いらない」とは言わず、完食した。

それを見て、この方法で準備して、我が家のから揚げの準備は整い、遠足の日を無事に迎えることができた。

結局、報われるのも息子からの言葉

夫から論理的に言われて、改めて振り返ってみた。(noteもその一環)
確かに油の量はかなり少なめで揚げていた。油の量も少なからず関係はしていると思う。

でもこれ・・・単純に『私が唐揚げ粉を使い慣れてないせい』じゃなかろうか。もちろん唐揚げ粉は揚げ物に慣れていない人でもやりやすいように作られてはあるはず。
だとしても、どんな味(濃いか薄いか)になるのかもわからなくて不安なまま揚げて、感覚がいつも安定しないのは事実。
それを見透かしたかのような子どもからの一言に傷ついた自分・・・本当の原因はそこだったような気がした。

遠足の日を目いっぱい楽しんできた息子。そして、戻ってきたお弁当は「からっぽ」だった。

後日、「遠足の日の思い出」として保育園に貼りだされていた絵には、先生が本人から説明を受けて書いたメモ書きにこう書かれていた。

「お弁当は好きなものばっかりで、ぜーんぶおいしかった!」

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